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新型コロナウイルスの特別措置法、基準も期間も不明瞭…手順も多く目的は“抑止効果”程度?

なぜ刑事罰ではなく行政罰なのか?

 そもそも、憲法第22条第1項では、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定められている。この居住・移転の自由には、どこに住むのか、どこに行くのかだけではなく、旅行の自由も含まれる。さらに、職業選択の自由では職業を自由意志で決められるだけではなく、選択した職業に基づき営業活動を行う自由も保障している。

 特措法の改正において罰則規定を決める際に、“刑事罰”ではなく“行政罰”とせざるを得なかったのは、このためでもある。

 実際、まん延防止等重点措置あるいは緊急事態宣言における罰則の適用までには、多くの段階を経なければならない。都道府県知事により、営業時間の変更や施設の使用制限が行われ、これが拒否されれば立ち入り検査に進み、さらにこれが拒否されれば、命令が下され、そして裁判所に通知された後に行政罰の執行ということになる。(罰則までの流れを参照)

<罰則までの流れ>
営業時間の短縮や休業の要請
拒否
立ち入り検査
拒否
命令
裁判所に通知
行政罰(不服申し立てができる)

 これだけの段階を経ないと行政罰が実施されないとなれば、かなりハードルは高いと言わざるを得ない。それよりも、行政罰を受けたことで経営不振や倒産という事態に追い込まれれば、それが問題視される可能性もあるだろう。

 結局、特措法などの改正は、罰則規定を法律に盛り込んだことでの“抑止効果”が期待できる程度であり、そのアナウンスメント効果以上のものを期待するのは難しいかも知れない。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2021/02/04 17:13
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