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「遊べる」がコンセプトで大躍進中!──「軽はダサい」はもう古い考え? オトコたちが乗る軽自動車の事情

文=萩原雄太(はぎわら・ゆうた)

──車は単なる道具ではなく、ステイタスを表すシンボルとしても機能してきた。その中で、男女の恋愛に関するアンケートなどで「軽自動車で迎えに来られるのは恥ずかしい」といった結果がもてはやされてもきたわけだが近年、どうやらその事情に変化が訪れているようだ。(サイゾー21年1月号「男性学」特集より一部転載)

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(絵/ぱいせん)

「軽自動車はダサい」
「男性が軽自動車に乗るなんて……」
「男なら大きい車に乗らないと」

 かつて男性にとってのステイタスシンボルだった自家用車には、決して移動のための実用品としてだけではなく、年収、生活環境、美学などを表すという役割があった。だからこそ、車がモテるためのアイテムとみなされ、男性たちはより大きな車や高級な車をゲットしようと血眼になっていた。そして生まれたのが、上記のような「男の軽」に対する蔑視だった。

 しかし、そんな常識も今や昔。2020年、男性が軽自動車に乗ることに対して忌避感を抱いている人は少数派となりつつある。各メーカーでは「軽自動車はユニセックスな乗り物という前提」(ホンダ広報部)「(軽自動車は)男性向けや女性向けと位置付けず、幅広い観点で広告活動を行なっています」(スズキ広報部)と、男性タレントを起用したユニセックスなCMで性別に関係なく軽自動車を訴求。その結果、日本における全自動車保有台数のうち軽自動車の割合は右肩上がりを描き、36・4%を軽自動車が占めている(20年3月末・全国軽自動車協会連合会)。

 今や、CMだけでなく、各メーカーではバラエティに富んだ車種を展開し、男性も乗るようになった軽自動車の多様化するニーズに対応するようになった。いったい、男性と軽自動車の関係はいつ頃から、どのように変わっていったのだろうか? 変わりゆくクルマとオトコの関係を見ていこう。

SUVが牽引する「遊べる軽」の時代

 かつて軽自動車は、圧倒的に女性をメインターゲットにする乗り物だった。84年に登場した2代目スズキ・アルトは当時大人気だった女優・小林麻美をCMタレントとして起用。今井美樹や浅香唯といった有名タレントたちが起用された軽自動車のCMは、「女性のための軽自動車」というイメージを消費者に植え付ける役割を果たしていた。逆に言えば当時、男性が軽自動車に乗ることはほとんど考慮されていなかったのだ。

 しかし、90年に排気量の上限が拡大され、98年には全長も3・4メートル、全幅1・48メートルに広がるなど、軽の規格はどんどんと拡大。スズキ「ワゴンR」、ダイハツ「ムーヴ」、ホンダ「ライフ」、ダイハツ「タント」など、快適性や積載性を訴求する車が市場で受け入れられていった。そして、軽自動車の存在感を決定付けたのが、11年に発売されたホンダの「N-BOX」だ。ホンダ初の軽トールワゴンとして発売されたN-BOXは、広々とした車内空間が消費者の需要に合致し、現在まで累計販売台数は250万台を超える商品となっている。

 軽自動車専門雑誌「K MAGAZINE」(芸文社)の窪田明男編集長は、N-BOXの功績を次のように語る。

「軽自動車のイメージを変えたN-BOXは『Nのある生活』というコンセプトを打ち立てています。そのブランディングは、車単体としての性能だけではなく、ライフスタイルとしての情緒的価値を押し出すもの。そんなNシリーズの世界観を強化するために、N-BOXだけでなくN-WGNやN-ONEといったラインナップを展開しているんです。

 実は、N-WGNやN-ONEといった車はメインのN-BOXに比べると売れ行きはさほどよくはない。けれども、N-BOXの周囲にそれらのラインナップを展開することによって『Nという世界観』を作り上げ、メインであるN-BOXの売り上げを伸ばしているともいえます」

 車の性能ではなく「N」という世界を訴求することで、N-BOXはヒット商品となるばかりでなく、軽自動車の地位をぐっと押し上げることに成功した。

 そして、N-BOXが作り上げた軽自動車の新たな価値に、次の展開をもたらしたのが、スズキのオフロード四輪駆動車「ジムニー」だ。初代は70年に発売されたロングラン商品だが、18年にフルモデルチェンジを行った。

「近年のアウトドアブームも追い風となり、現在も納車1年待ちという大ヒットとなっています。ジムニーの取材に行くと、ベンツからジムニーへ乗り換える人もいるほど。新型ジムニーの登場は『遊べる軽』としての軽自動車の地位を確立するものとなりましたね」(前出・窪田氏)

 ジムニーのヒットに続けとばかりに、スズキでは20年にクロスオーバーSUV・新型ハスラーを投入。さらに、ダイハツでも同じくクロスオーバーSUVの「タフト」が20年初めに復活し、激しい販売合戦が繰り広げられている。

「これまで、軽自動車では女性向けにピンクやパステルイエローといったカラーバリエーションを用意することが多かったんです。しかし、現在はユニセックスに使えるモスグリーンやベージュといったカラーリングが主流になっているし、広告でも大泉洋やムロツヨシなど、男性タレントも出演している。『男が軽に乗るのはダサい』という発想は、もう過去のものになっているのではないでしょうか」(同)

 N-BOXが切り開いた地平を、ジムニーが推し進める。そうして、軽自動車は「女性のための車」から、男女両方が乗れる車へと変わっていったのだ。

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