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【短期集中連載】音楽ライターが検証する『大豆田とわ子と三人の元夫』のED評

『大豆田とわ子』EDにT-Pablowが登場した意外性―“らしさ”が抜けたテレビ企画への参戦

文=斎井直史(さいい・なおふみ)

『大豆田とわ子』EDにT-Pablowが登場した意外性―らしさが抜けたテレビ企画への参戦の画像1
フジテレビ『大豆田とわ子と三人の元夫』公式サイトより

 松たか子が主演するドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)。ストーリーの評価はもちろんながら、音楽業界界隈で話題になっているのが、「Presence」と命名されたエンディング曲による〈松たか子×ラッパー〉の構図だ。

 これまでフィーチャリングの相手に起用されてきたのは、順にKID FRESINO/BIM/NENE/Daichi Yamamotoで、第5回のEDに登場したのはT-Pablow(BAD HOP)だった。これまでインディー・シーンで活躍するラッパーたちが地上波のドラマに起用された自体が驚きだが、この予想できなかった人選がドラマ以上の盛り上がりを見せている。

 「Presence」シリーズは、楽曲のトラックをSTUTSが手がけ、前述したラッパーたちが松たか子の相手役を務めているわけだが(岡田将生/角田晃広/松田龍平らの3人の夫もスパイス的に楽曲に加わる)、それ以外の客演ラッパーたちの関係性も興味深い。

「Presence II」のBIMはSTUTSと「マジックアワー」で、「Presence III」のNENEはKID FRESINOの「Arcades」で、「Presence IV」のDaichi Yamamotoは自身の楽曲「Let It Be」でKID FRESINOを客演に招いている。

 つまり過去に登場した3者は、今までSTUTSとKID FRESINOのどちらかと曲を制作したつながりを持っているのだ。

 しかし先週、「Presence V」でフィーチャリングされたT-Pablowは過去に彼らと共演もなく、同じ国内のシーンでも活躍の場が異なるために、この起用はまた面白く映し出されたのだ。

 同番組のエンディング・プロデュースを務めるのは、TBSのプロデューサーである藤井健太郎氏。STUTSのツイートによれば、T-Pablowと懇意の仲である藤井氏が互いを引き合わせたとのことだ。

 また「Presence Ⅴ」は、人選だけでなく音楽的にも驚かされる点がある。まず、T-Pablow自身は客演に参加する曲だとしても派手なビートが多く、STUTSのようにソウルフルで柔らかなビートの楽曲は過去に例がない。彼の声の出し方もそれに呼応するように、ライムを突き刺すような鋭さもやや控えめだ。しかし、特有の伸びのある声はメロディアスなフロウとの親和性も高く、過去4人と比べても聴き取りやすいラップとなっていた。

 そして最後にリリックの変化にも触れておきたい。

 T-Pablowは曲のテーマがラブソングだとしても、ラッパーらしいセルフボースト(誇示)”を織り交ぜ、ヒップホップとしてのより強度を高く保ってきた。その一方で今回は、ドラマの主人公を遠くから見守るような言葉が並び、セルフボーストは皆無だ。

 ドラマ終盤にSTUTSと共にカメオ出演するT-Pablow。そして、タトゥーが首まで入った彼がエンディングで松たか子と並ぶ姿はあっぱれでもある。

 今夜放送予定の「Presence ⅤI」では、どんな仕掛けがほどこされるのか――楽しみにしたいところだ。

斎井直史(さいい・なおふみ)

斎井直史(さいい・なおふみ)

音楽ライター。主な執筆の場はOTOTOYでの『パンチライン・オブ・ザ・マンス』の連載。その傍ら年に数回、他媒体での寄稿を行う。

Twitter:@nofm311

最終更新:2021/05/18 11:38

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