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医大生・福岡のMVPで幕引きのラグビー・トップリーグ 来年始まる新リーグの前途多難

文=石井洋男(いしい・ひろお)

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福岡堅樹(パナソニックスポーツ公式サイトより)

 2003年に創設されたラグビーのトップリーグが今年限りで終了。医師になるために引退を発表している福岡堅樹(パナソニック)が、ラストシーズンのMVPに輝いた。来季から新たなリーグがスタートするが、前途は極めて多難だ。

 社会人チームの強豪が一堂に介して切磋琢磨し、競技レベルの向上を図るために作られたトップリーグ。18季にわたるシーズンで、所期の目的は達成されたと言って良いだろう。2015年のW杯では世界的強豪の南アフリカに勝って“世紀の番狂わせ”を起こし、自国開催となった2019年のW杯では予選リーグを全勝で通過。ベスト8に食い込んだ。そして来年1月にスタートする新リーグで、さらなる進化を目指す。

「トップリーグは日本のレベルアップに大きく貢献しましたが、関係者が夢見てきたのが完全プロ化です。トップリーグは同一チーム内にプロ選手と社員選手が混在しており、収益化にも程遠かった。新リーグは、スタート時からの完全プロ化こそ断念しましたが、スタジアムの確保や事業運営力を審査してチームを振り分け、よりビジネス面を強化する狙いです」(フリーのスポーツジャーナリスト)

 選手が力をつけ、注目度も上がったので、金を稼げる仕組みを作ろうということだ。しかし、2015年のW杯以降、ラグビーの人気が高まる一方で、「限界が見えた」という厳しい声もある。

「南ア戦の奇跡の勝利や“五郎丸ブーム”などで、ラグビーが話題になる機会は飛躍的に増えましたが、チケットが取れなくなるような騒ぎはほんの一瞬。ラグビーは同一同会場で2試合やるパターンが多いのですが、観客数の平均は数千人です。そもそもラグビーは1チーム15人で選手数が多く、1シーズン十数試合しかできないので、収益化は極めて難しい。新リーグの振り分けは6月に発表されますが、トップリーグの最終シーズンの成績がそのまま反映されるわけではなく、事業計画が重要視されるので、振り分けの結果で間違いなくモメるでしょう」(週刊誌スポーツ担当記者)

 スタートでDivision1から漏れれば、チームの強化戦略やビジネスに大きなハンデとなるのは明らかだ。また、様々なスポーツを長年にわたって見続けてきたベテランのスポーツライターは、ラグビーというスポーツの“日本人適性”に疑問を投げかける。

「野球やサッカーを見ると、日本のスポーツファンは戦術談議や細かい技術分析が好きですが、ラグビーでそれをやるには相当な知識が必要ですし、語れる相手もいない。また、外国人選手だらけなので感情移入もしにくい。気軽に楽しめるスポーツではないので、観客の大半は未経験者。加えて試合数も少ない。ハマるにはハードルが高すぎます。

 何より最大のネックはルールが難しいことです。ただでさえグラウンド上の人数が多くて、何をしているかわかりにくいのに、ルールも複雑なので、笛で試合が止まっても、多くの人はなぜプレーが止まったのかわからない。ラグビー中継では、しばしば『ラグビーのルールは決して難しくありません』と言いますが、そんなことを言う時点で難しいんですよ(苦笑)」(ベテランスポーツライター)

 ラグビーと同じく楕円球を使うアメリカンフットボールはアメリカNo.1人気スポーツで、商業的に大成功しているが、南アを倒したような“番狂わせ”を新リーグは起こせるのだろうか。

石井洋男(いしい・ひろお)

石井洋男(いしい・ひろお)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

最終更新:2021/05/26 13:00

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