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ゲーム業界も日中逆転⁉ 国内産業生き残りのカギは持続的な人気キャラクター創出にある?

文=大橋史彦(おおはし・ふみひこ)

ゲーム業界も日中逆転⁉ 国内産業生き残りのカギは持続的な人気キャラクター創出かの画像1
『イース6 オンライン』開発中の画像。現在、事前登録を受付中だ

 先ごろ、ネット上で日中アニメーターの給与逆転が話題となった。きっかけは、「プレジデントオンライン」が4月に配信した記事で、「アニメーターの平均月収は杭州では3万4062元(約52万円)。一方、日本では月収17万5000円でも業界平均よりずっと高い」と取り上げられていたためだ。

 同様の逆転劇は、アニメとならび日本のお家芸であるはずの、ゲーム業界でも起き始めている。10年以上日中間のゲームビジネスに携わってきた飯島剛氏は、「以前は日本のゲームを中国で安く制作するという構図があり、日本が市場で、中国は“工場”でした。しかし、いまでは完全に逆転しています。中国のパブリッシャーの仕事を日本側が請け負う構造です」と話す。

 今夏リリースされる、人気アクションRPG『イース』シリーズの代表作のスマートフォン向けゲームアプリ『イース6 オンライン~ナピシュテムの匣~』も、ゲーム業界における中国の台頭を如実に示している。

 日本ファルコムの『イース』シリーズは、1987年の第1作発売以来、10作が発売され、ゲームファンの間では『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』に並ぶレジェンド的存在だ。なかでもシリーズ6作目『イースⅥ ~ナピシュテムの匣~』(2003年)は、ファンの間で絶大な支持を集めている。

 ところがその『イースⅥ』のライセンスを取得してスマホ版をリリースするRestar Games社は、コングロマリット復星集団(フォースン・グループ)傘下の復娯文化が日本国内向けに展開する中国系企業なのである。

 同社が日本を進出先に選んだ理由について、マーケティング責任者の王磊氏は「日本は現在のテレビゲームの発祥地であり、最高のゲーム文化とユーザーを持っているからです」と明かす。

 同社はこれまでオリジナルのスマホゲームをリリースしてきたが、なぜ『イースⅥ』のスマホ版を開発することになったのだろうか。自身も『イース』シリーズのファンだという王氏が説明する。

「30年以上の歴史がある『イース』シリーズのなかでも、『イースⅥ』は代表作のひとつ。世界的に大きな成功を収めており、いまだに多くのファンがいます。ここ数年、スマホゲームをする人が増えてきているので、スマホ版にすることで、この名作の魅力を改めて感じてもらえると考えたのです。『イース』シリーズは時が経っても価値が衰えない、時代を超えた作品だと思います」

 とはいっても、『イース6 オンライン』は単なる移植作品ではない。原作のストーリーを重視しながらも新キャラクターを追加し、さらにはオンラインを通じてほかのユーザーとチームを組んでプレイできたりと、オリジナルにはない新たな楽しみを提供。「18年前当時の『イースⅥ』の輝きを再現したい」と王氏は意気込む。同社は日本語版だけでなく中国語版、英語版、韓国語版もリリースする予定で、日本以外の海外市場への進出も視野に入れている。

 ゲーム市場における中国企業のプレゼンスは世界的に高まっており、あまり知られていないかもしれないが、日本にも多くのパブリッシャーが進出している。『崩壊学園』『原神』などを手がけるmiHoYoは上海交通大学の学生が創業した中国企業だし、『ミラクルニキ』などの日本配信を手がけるニキは叠紙遊戯(Papergames)の日本支社だ。

 日本企業への“投資”も進んでいる。ゲーム事業においても世界的パブリッシャーである騰訊控股(テンセント)はAimingやプラチナゲームズに出資しているほか、昨年はマーベラスを子会社化した。市場は中国の方が圧倒的に大きいが、なぜ日本を目指すのだろうか。

 前出の飯島氏がその狙いについてこう説明する。

「とにかく中国側からよく言われるのは、日本のIP(キャラクターやタイトルなどの知的財産)を獲得してほしいということです。中国にはあれだけゲーム作品がありながら、ゲームファンでなくても誰もが知るようなキャラクターがほとんどない。日本のパブリッシャーはIPで相当稼いでいるはずですが、中国は100億円かけても自前でIPを作れないので、ほかから調達するしかない」

 潤沢な資金を擁する中国ゲーム業界がIP獲得を目的に押し寄せる中、日本が単なる下請けになり下がらないためには、やはり魅力的なIPを創出し続けることに尽きるだろう。しかし一方で、今後は中国のゲームパブリッシャーによって、懐かしの名作が復活する可能性もあり、それはそれで楽しみではある。

大橋史彦(おおはし・ふみひこ)

大橋史彦(おおはし・ふみひこ)

福島生まれ埼玉育ち。ライター。法政大学卒業後、06年に中国に移住。現在は埼玉と中国を行き来する。

最終更新:2021/06/07 07:00

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