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『関ジャム』3ピースバンドのギターボーカル特集。TRICERATOPSとNirvanaの代表曲の共通点とは

浅井健一、ジョン・メイヤー……ギタボの名手たち

 番組後半では和田、小出、宮崎が凄いと思うギタボをそれぞれ紹介してくれた。最初に和田が挙げたのは、ジョン・メイヤーだった。いきなり、ガチ! この人こそ、マジで上手すぎる。“現代の世界三大ギタリスト”の一角(あとの2人はジョン・フルシアンテとデレク・トラックス)と言われ、指で弦を叩いてリズム感を出す「ストリングス・ヒット」を広めたギタリストとしても有名だ。あと、ジョン・メイヤーは歌もクソ上手い。ギタボがテーマならば外せない存在だ。

 続いて、小出と宮崎が挙げたのは……やっぱり来たか。ベンジーこと浅井健一! 紹介VTRからも伝わってくるオーラは別格。小出は「ブランキーは『なんでこれ弾きながら歌ってるんだろう?』と思う曲がいっぱいある」と浅井を評した。確かに当時のベンジーは異常に凝ったリフを作っていた印象だし、それを弾きこなすために人知れずかなり練習していたはずだ。あと、宮崎の作る曲にはベンジーからの影響が強烈に窺える。ちなみに、浅井は本日放送の『The Covers』(NHK BSプレミアム)に出演予定。余談だが、『関ジャム』と『Covers』の放送時間帯が被っているのは本当にもったいないと思う。ただでさえ、音楽番組の数は少ないのに……。

 続いて、小出が挙げたギタボは長岡亮介(ペトロールズ)だった。星野源のバンドメンバーとしてお馴染みで、「浮雲」名義で東京事変のメンバーとしても活動中。恐らく、浮雲としての認知度がひときわ高いと思うが、長岡は3ピースバンドのギタボでもあるのだ。『関ジャム』はペトロールズが野外イベント「森、道、市場 2016」に出演した際の映像を放映、このときに長岡が駆使したテクニックを小出が解説した。

「ライブを見たとき、ディレイ(やまびこ効果のような残響音を生み出すエフェクター)を掛けてリフを弾いていると思ったんですよ。で、ライブが終わって見に行ったら機材にディレイが入ってなくて。だから、本人に『あのディレイって何で出してたの?』って聞いたら、亮ちゃんから『いや、あれは“手ディレイ”』って言われて」(小出)

 長岡は残響音を律儀に手動で鳴らしていたのだ。なのに、普通にディレイにしか聴こえないから凄い。ボリュームを絞りながらやまびこのように響かせたということ。これはもう、いい意味で頭がおかしい。しかも、“手ディレイ”と同時に歌も歌っていたのだ。だから、あんな大変そうに弾いていたのか……。ただ、単純に「ディレイを使えば良いのでは?」と思わないでもない。

「もしかしたら、そのときにただ無かっただけかもしれないんです。でも、長岡亮介というギタリストの凄いところは、刀を選ばないし、機材を選ばない。だけど、何を弾いても長岡亮介になるっていうのが本当に素晴らしい」(小出)

 いや、長岡も素晴らしいし、小出も素晴らしい。ギタリスト・長岡の持ち味を「刀を選ばない」という言葉で表現する辺り、相変わらずの解説名手だ。

TRICERATOPS「Raspberry」はどこが発明なのか?

 最後に小出と宮崎が絶賛したギタボは、なんと同じスタジオにいる和田だった。確かに、TRICERATOPSは3人とは思えない音像を作り出すバンドだ。そして、弾きながらダイナミックに歌うことができるボーカリストが和田である。

「私の1番憧れのギターボーカルが和田さん。だから、今日嬉しくて。『和田さんの横でギターについて話せることあるのかな』と思って今日来たんですけど。私もこうなりたいなと思って」(宮崎)

 決して、若手がおべっかを使っているわけじゃない。事実、5月に開催された配信イベント「THINK of MICHINOKU」でSHISHAMOはTRICERATOPSの「Raspberry」をカバーしている。

 ベボマもTRICERATOPSのトリビュート盤『TRIBUTE TO TRICERATOPS』で「Raspberry」をカバーした。しかも、このアルバムでベボマはほぼコピーのような演奏を収録しており、小出はその理由について「崩しようがないから、アレンジの土台は変えずに正面突破しかなかった」と告白している。

「これは大発明の曲なんです。『Raspberry』はリフとコード進行が一体化してるんですよ。で、全編それを弾き続けてるっていう。コード進行みたいだけど、この曲のテーマリフなんです。でも、これ以上付け足しても何か違うし、弾いたらただのコード進行にしか聴こえないし。イジりようがないんですよ。すごい(演奏が)簡単なんで、憧れてああいう曲を作ろうと思ってもあれ以外がないっていう」(小出)

 バッキングがそのままリフになっているのだから、スリーピースバンドにとって理想の曲のはずだ。コード進行がそのままリフになった曲といえば、Nirvanaの「Smells Like Teen Spirit」もそれに当てはまる。シンプルでキャッチ―なほど求心力は高まるし、「3ピースバンドのギタボは大変」という難題もクリアできる。佐野元春が「凛々しいポップ、無駄のないポップ」と評したコメントは、この曲の魅力を端的に表していると思う。

 というわけで、この日はセッションが久々に行われた。和田、小出、宮崎に安田が加わり、4人で「Raspberry」を演奏したのだ。スリーピースどころかギター4本で歌う新機軸! 結果、今回のセッションは特に有意義だったと思う。本編で語られた内容を演奏で答え合わせしたように見えたからだ。あと、演奏中の宮崎の嬉しそうな表情と言ったらなかった。そして、2人の後輩から褒められた和田はいくら何でも照れすぎである。

「今日、神回。神回ですね、俺にとっての」(和田)

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/06/13 22:00
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