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松本人志、20年ぶりのコントと地続きの日常と狂気

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キングオブコント&キングオブコントの会Twitter(@koc_staff)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(6月6~12日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

バカリズム「ピンの良さって、孤高感じゃないですか」

 コント番組が増えている。今年4月からレギュラー放送が始まった『新しいカギ』(フジテレビ系)のほか、昨年から特番で『ただ今、コント中。』(同前)、『お助け!コンコット』(テレビ朝日系)、『東京BABY BOYS 9』(同前)などが放送されている。来月4日には、関西ローカルで『関西コント保安協会』(朝日放送)という特番が放送されるようだ。

 先週は、そんなテレビでのコントを堪能した週だった。9日の『お笑い実力刃』(テレビ朝日系)には、バカリズムが出演。この番組では毎回1~3組程度の芸人がゲストで呼ばれ、通常のネタ番組以上にたっぷりと時間を使ってネタが披露されるのだけれど、今回もバカリズムのひとりコントがじっくりとお届けされた。

 ネタは3本。落語のように1人4役を演じ分けた「悪魔の契約」。担任1人を演じながらも、そこにいない副担任や生徒たちの表情まで見えるような「○○先生」。甲子園の土から妄想が次々と派生する「野球に関する案」。3本目のネタはモニターを使ったフリップ芸の電子版にも見えるけれど、プレゼンという設定の一種のコントとして捉えることもできるだろう。また、特に1本目と2本目のネタは、彼のコントが大喜利力や構成力のようなものだけでなく、演技力に支えられていることも教えてくれる。

 そんなバカリズムにとって、理想のピンネタはどんなものなのか。MCとのトークの中で、彼はこんなことを語った。

「カッコよく思われたいですよね。ピンの良さって、孤高感じゃないですか。体ひとつで戦ってる感」

 バカリズムはこう答えると、邪気のないいつもの笑顔を見せた。その笑顔が意味するように、「カッコよく思われたい」なんてある種の冗談なのかもしれない。虚実が曖昧なテレビの芸能人の中でも、彼の本心はとりわけわかりにくい。そんなところにも彼の“演技力”を垣間見てしまう。防御線をさまざまに張り、見る者の安易な理解を寄せ付けないその佇まいこそが、“孤高感”と呼べるのかもしれない。

 さて、2006年から15年連続で単独ライブをやってきたというバカリズム。その継続の理由を聞かれると、彼は次のように語り始めた。
 
「やっぱりネタはちゃんと作っとかないと。自分が割とネタでなんとかここまでこれたみたいなところがあるし」

 バラエティ番組のMCとしても活躍し、いまでは脚本家としての評価も高いバカリズムだけれど、芸人として自分が評価されてきたコアの部分を怠けないということだろうか。さらに、次のようにも語る。

「5年ぶりに単独ライブをやりますってなったら、たぶんもうセンスは5年前で止まってるから、5年前のセンスで作るんですよ。20年やってなかったら20年前のセンスから入るから、もうそのときには見てる人からすれば『うわぁ懐かしいな』になっちゃう」

 つまり、単独ライブを毎年開きネタを更新し続けることで、自分のセンスも更新し続けるということだろう。バカリズムはそんなネタとセンスの更新作業について、「常に自分を切り捨てていく」とも表現した。

 もちろん、そんな真面目に聞こえる話にもオチがつく。すでにテレビで安定的な地位を保っているにも関わらず単独ライブを長年やり続け、芸人たちから尊敬されているさまぁ~ず。彼らの名前を参照しながら、バカリズムは言う。

「俺らもそう思われたいがありますよね。『売れてるのにまだやんの?』みたいな……っていうところまで含めての計算ですよね」

 そううそぶいて、彼はやはりいつもの邪気のない笑顔を見せた。その本心はやっぱりわかりにくい。

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