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■乃木坂46の「世代交代」論-3

乃木坂46の「世代交代」を前提とする議論に異議あり! 「卒業」のモデルを絶対視しなくてもいい理由

文=日刊サイゾー

乃木坂46の「世代交代」を前提とする議論に異議あり! 「卒業」のモデルを絶対視しなくてもいい理由の画像1
1期生の松村沙友理の卒業ソングとなった27thシングル(乃木坂46『ごめんね fingers crossed』TYPE-Dより)

 今年8月に結成10周年を迎えるアイドルグループ・乃木坂46。白石麻衣をはじめとする1期、2期生が卒業していく一方で、3期、4期の新しいメンバーたちが活躍の場を広げつつある。そんな中で、乃木坂ファンの間でも「世代交代」の行方が話題になっているが……?

 あらゆる識者に「世代交代」という現象について話を聞き、乃木坂46の「世代交代」について考える本連載。第3回目は、ポピュラー文化を中心にライティング・批評を手がけ、著書に『乃木坂46のドラマトゥルギー』(青弓社)がある香月孝史さんにインタビュー。香月さんは、「アイドルグループについて「世代交代」という言葉を当たり前のように使うことには、少し抵抗があるんです」と語ってくれた。アイドルの「世代交代」に違和感を覚える、その理由を聞いてみた。

第1回目:乃木坂46の「世代交代」は可能か? 「生物学」から考える「もしかしたら絶滅への過程を見ているだけかもしれない」

第2回目:乃木坂46の「世代交代」を考える──歌舞伎界の“失敗”から学ぶ、成功のカギ「あるスターの人気は永遠ではない」

「世代交代」ありきで語ることの危うさ

──そもそも、アイドルグループにとって「世代交代」って、どういうことなんでしょう。香月さんの考えをお聞かせください。

香月孝史さん(以下、香月):私は、アイドルグループについて「世代交代」という言葉を使うことには、慎重になりたいと思っています。もちろん、大きな視点で見ればメンバーの循環は生じていますし、楽曲も受け継がれていく。それが、芸能が継承されていくということだと思います。ただ、初期からグループを支える1期・2期メンバーがまだ在籍して活動しているわけで、3期生や4期生の台頭を受けて「世代交代」という構図ばかりが注目されると、それ以前からの在籍メンバーをなかば“過去”として扱うことになりかねませんよね。

──なるほど。「世代交代」ありきで乃木坂46を語ってしまうことには、1期生や2期生などの年長メンバーをないがしろにしてしまうような危険が伴うと。

香月:もっと言えば、これは乃木坂46に限った話ではないですが、世の中一般としてはまだごく若い年齢層のメンバーたちを、5年や10年の在籍期間で“過去”に位置づけるような言説が当たり前になってしまうことにも危うさを感じます。アイドルという文化がいまだ抱え込んでいるエイジズム(年齢に対する偏見や固定観念)の再生産、固定化につながりやすくなってしまうのではないかと。

 2010年代以降のアイドルシーンは、むしろアイドルとして活動できる年数をどんどん広げていった側面があります。結成から15年以上がたつAKB48のメンバーをはじめ、グループに10年以上在籍して活動するというキャリアも、珍しいものではなくなっている。それゆえに表現の幅が広がったり、洗練されたりすることもあるはずです。その意味でもなおさら、短い年数で「世代交代」という発想を当たり前にしてしまうことへの疑念があります。

──エイジズムといえば、乃木坂46のバラエティ番組『乃木坂工事中』(テレビ東京系)などでも、年長メンバーに対して「BBA(ババア)いじり」のような演出が普通に行われていて、いちファンとして「嫌だな」「つらいな」と思うこともあります。

香月:年齢を重ねることについて、ネガティブな価値づけをしてからかうということですよね。そうしたエイジズムは特に女性に対して向けられやすいものですが、世の中全般が習慣化してきたその振る舞いが、アイドル周辺のものづくりに落とし込まれやすくなっているところは多分にありますね。

──アイドルを見ていてそういう場面に出会ったとき、どうすればいいんでしょう。

香月:もちろん、違和感を表明することができればよいと思いますが、もしその都度積極的に異議を申し立てたり態度に出すことができなかったとしても、まずはそうした価値観を喜ばない、面白がらないということはできます。そうした受け手の態度は、少しずつ空気を変えていくための一歩にはなるはずです。それから、近年の乃木坂46を見ていると、メンバー自身がそうした価値観を問い返すような振る舞いをしているように思います。

──それはどのような場面で感じられますか?

香月:最近はSNSや動画配信サービスなどで日々、ライブ配信が行われることが多くなっていますが、たまに視聴者からエイジズム的な「いじり」に類するコメントが書き込まれた際などに、メンバーがそれとなくたしなめるような反応を見かけることが少なくありません。こうした発信は近年、他のアイドルグループのメンバーや、元メンバーがSNSやマスメディアを通じて発する言動の中にも、より多くみられることだと思います。

──アイドルたちも、そういう「いじり」に違和感を覚えているということですよね。

香月:また、乃木坂46に関していえば、この数年でInstagramのメンバー個人アカウントなどが増えてきました。Instagramのストーリーでファンのメッセージに応答する際などに、ファンに向けたエンパワーを感じる発信もしばしば見られます。今年卒業された2期生の堀未央奈さんのアカウント(@horimiona_official)でも、グループ在籍中からそうした振る舞いが目立っていたように思います。

──そうやって、メンバーが主体的なメッセージを発信してくれるのはうれしいことです。

香月:乃木坂46だけでなく、日本のアイドルグループについては、主体的な発信のない受動的な客体であるかのような、漠然としたイメージで語られることが少なからずあると思います。でも実際には、社会をとりまく抑圧的な空気に抗うような発信がアイドル本人たちからなされている。そのことも捉えておかないと、現状についての議論もできないように思うんです。

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