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小山田圭吾騒動で渦中の「クイック・ジャパン」が創刊初期に起こした“伝説”の事件

小山田圭吾(@sado_PRsaunaより)

 五輪開会式で使われる楽曲を担当する小山田圭吾が、過去に壮絶なイジメを行っていたことを雑誌で語っていた問題は、組織委員会の続投宣言後も批判が止まず、小山田は19日に辞任の意向を示した。問題になったインタビューの1つが、1995年発売の『クイック・ジャパン』に掲載されたもの。当時の状況を知るサブカルライターがいう。

「今では信じられませんが、当時は著しく人権を損なう記事や、不法行為を堂々と掲載する雑誌が書店に平気で並んでいました。“鬼畜系”という単語も存在し、完全なる犯罪行為、悪趣味なもの、モラルに反するものを露悪的に取り上げ、それを“サブカル”として持ち上げ、1つのカウンターカルチャーとして称揚する文化が確実にあったのです。小山田のインタビューもその流れの中に存在するものです。

 少なくともネットでは、小山田がイジメについて語ったインタビューは有名でした。小山田のことが話題になる度に蒸し返され、その都度、激しい憎悪の声が寄せられていた。そんなことは、ほんのちょっと小山田の名前を検索すれば分かることで、五輪とは最も遠い場所にいる人間を起用したセンスを疑います」(サブカルライター)

「クイック・ジャパン」を発行する太田出版は19日にお詫びの文章をHPに掲載。問題が発覚してから謝罪発表まで時間が掛かったことには批判の声も多いが、これについてカルチャー誌編集者はいう。

「太田出版は『完全自殺マニュアル』や少年Aの『絶歌』を出した会社ですから、こういった騒動はハッキリ言って慣れっこ。現在の編集長は30代なので、小山田のインタビュー掲載号が発売された時はまだ小学生です。編集部の対応が遅れたのは、黙って逃げ切ろうと思ったのではなく、上の判断を仰いでいただけでしょう。

『クイック・ジャパン』は、創刊当初は尖った雑誌でしたが、どんどんソフトになり、近年はお笑いや音楽などがメイン。ももいろクローバーにいち早く目を付けたのも同誌で、一時期はももクロばかり取り上げていました。今はいたって普通の雑誌ですよ」(カルチャー誌編集者)

 そんな「クイック・ジャパン」だが、創刊当初には別の騒動も引き起こしている。当時、バンドマン界隈では大騒ぎになった事件を、元ミュージシャンで週刊誌記者の男性が振り返る。

「まだネットが普及していなかった90年代は、バンドマンの悪行が都市伝説のように伝わることがありましたが、『クイック・ジャパン』のライターがロクに事実確認もせず、『暴力行為や破壊行為の限りを尽くすバンドが関西にいる』と書き、それがそのまま掲載されたのです。短い記事でしたが、これを知ったメンバーが激怒し、強硬に抗議。翌々号の表紙に登場した上、問題の記述について1つひとつ疑惑を晴らす壮絶なインタビューが掲載されました。

 確かに当時のバンドの中には、音楽をやりたいのかケンカをしたいのか分からないようなバンドもいました。ライブハウスを破壊して出禁になったり、泥酔したままステージに上がり、全裸になったことを自慢するようなバンドマンもいました。ただ、話に尾ヒレが付くことも多かった。問題となった記事は、書かれた人間がきちんと抗議したので、釈明の場が与えられましたが、真偽が定かではない情報を“面白い”と考え、平気で誌面に掲載するのは、時代というものを考慮してもあり得ません」(週刊誌記者)

 過去の発言がほじくり返される恐怖に怯えているのは、小山田だけではないかもしれない。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2021/07/20 22:00
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