テレ東の豪腕が炸裂!? 「旅番組」と「競輪」を強引にくっつけてゴールデンで競輪中継の怪

　テレビ東京が15日、ゴールデンタイムに競輪中継を実施した。それだけでもちょっとした快挙だが、そのやり方が何とも強引で、関係者の間で話題になっている。

　当日、テレビ中継されたのは競輪界の最高峰「GI」の『オールスター競輪』だ。このレースは、ファン投票上位の選手がエントリーし、勝ち残った9人で争われるもの。東京五輪にも出場した脇本雄太、新田祐大ほか、賞金ランキングの上位選手がズラリと揃い、熱いバトルが繰り広げられたが、テレビ中継を見た人の中には、戸惑いを隠せなかった人もいたようだ。たまたま番組を見た都内在住の女性はいう。

「当日は大雨で、コロナで外出も出来ないので、テレビのチャンネルを回していると、テレビ東京で『昼めし旅』の特番をやっていました。この番組は、芸能人が色々な場所を訪れ、『あなたのご飯を見せて下さい』と、お願いしてご相伴に預かるもの。いつも昼ごはんを食べながら見ているので、チャンネルを合わせました。番組ではキンメダイ、アワビ、ウニ、天然うなぎなどが紹介され『美味しそうだな』と思いながらテレビを見ていたんです……。

　しかし、番組は徐々に競輪のことばかり取り上げ始めます。まず、子どもを競輪選手にさせたいという家にお邪魔し、続いて競輪の女子選手のお宅を訪問。そして突然競輪中継に切り替わり、何が何だか分からないうちに競輪のレースを見る羽目になりました。そしてレースが終わると、番組は何もなかったように『昼めし旅』に戻ったのです！」

　アーティストやアスリートがトーク番組に出て笑いを取ったり、お笑い芸人やアイドルがニュース番組を担当したりと、テレビ界はボーダーレス化が進んでいるが、旅番組が競輪番組になるのは画期的だ。キー局関係者はいう。

「テレ東は昨年もゴールデンに競輪中継をやっています。その時は、『Youは何しにニッポンへ』の体裁をパクって、競輪場に来た人に『競輪場に何しに来たの？』と尋ね、来場者の姿を紹介しつつ、GIレース中継を行うという番組内容でした。

　コロナ禍では公営ギャンブルも無観客を強いられていますが、売り上げは減るどころか増えており、特に調子が良いのがボートレースです。渡辺直美や田中圭、武田玲奈を起用したCMの効果もあってか、売り上げは右肩上がり。競輪界もそれに倣えと、あの手この手で集客に努めており、今回はゴールデンタイムの枠をまるまる買ってGIを中継したようです。コロナで広告出稿を減らすスポンサーが多い中、公営ギャンブルはテレビ界にとって大事なスポンサーですし、今後この手のタイアップ番組は増えるかもしれません」（広告代理店関係者）

　ボケーッとテレビを見ていると、気付いた時にはギャンブル中毒になっているかも!?

木村之男（芸能記者、TVウォッチャー）

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社～編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら