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芦田愛菜の名演に「凄み」を感じたアニメ映画『岬のマヨイガ』がコロナ禍の悩みにも効く理由

文=ヒナタカ

芦田愛菜の名演に「凄み」を感じたアニメ映画『岬のマヨイガ』がコロナ禍の悩みにも効く理由の画像1
「岬のマヨイガ」製作委員会

 2021年8月27日よりアニメ映画『岬のマヨイガ』が公開される。

 本作は子どもから大人まで楽しめる良質な作品であり、後述する理由によりコロナ禍でさまざまな悩みを抱えた人にこそおすすめできる内容だった。そして、国民的な女優である芦田愛菜の声の演技の上手さが、本職の声優と全く引けを取らないこと、その「切実さ」が伝わることも重要だった。以下より解説していこう。

芦田愛菜が演じたのは「実年齢が同じ役」

 芦田愛菜は声優としての活躍も多い。2012年の『マジック・ツリーハウス』では好奇心旺盛な女の子を、2010年からの『怪盗グルー』シリーズでは天真爛漫な三姉妹の末っ子の吹き替えを担当した。その『怪盗グルー』の1作目の時に芦田愛菜の実年齢は役とあまり変わらない6歳で、3作目では現実で7年が経ち実年齢が13歳になっていたが、それでも芦田愛菜は小さな女の子のままの同役を「幼さ」も含めて見事に表現していた。

 その後、芦田愛菜は2019年の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の吹き替えでは複雑な心境にいる12歳の少女、『海獣の子供』では不思議な体験をする中学生の少女と、比較的に実年齢に近い役を演じていたが、一転して2020年の『えんとつ町のプペル』では夢見る純粋で幼い少年にもマッチしていた。

 そして今回の『岬のマヨイガ』で17歳になった芦田愛菜が演じるのは、その実年齢と同じ17歳の少女。ある事情により家を飛び出して来た主人公・ユイは「斜に構えたような」クールな印象もあるが、実はとても思いやりのある女の子で、同時に辛い過去も抱えている。

 芦田愛菜は、その豊かなキャラクターを「普段はドライだが、どこかで優しさがにじみ出るような」演技で、トラウマが蘇った時の「息の荒さ」も表現していた。幅広い役をこなしつつもあった芦田愛菜が実年齢と同じ、しかも辛い心境の少女を見事に演じてみせたこと、そこに「凄み」すら覚えたことにも大きな感動があったのだ。

 大竹しのぶも2人の子どもを迎え入れるおばあちゃん役にぴったりであるし、子役の粟野咲莉も(声が出せないという役柄のためわずかな時間ではあるが)熱演している。脇役も「その人が演じていたの?」と後から知ってびっくりするようなキャスティングがされており、違和感を覚えるような場面は1つとしてなかった。その中でも、芦田愛菜の上手さが突出しているというのは驚異的だ。

『となりのトトロ』のような日常ファンタジー

芦田愛菜の名演に「凄み」を感じたアニメ映画『岬のマヨイガ』がコロナ禍の悩みにも効く理由の画像2
「岬のマヨイガ」製作委員会

 映画『岬のマヨイガ』は柏葉幸子による同名の児童小説を原作としている。あらすじは、居場所を失った2人の女の子が、不思議なおばあちゃんと出会い、岬に建つ古民家「マヨイガ」にやってくるというものだ。

 劇中では“ふしぎっと”と呼ばれる妖怪とも交流する「日常ファンタジー」が展開していき、要所要所で「遠野物語」をモチーフにした伝承も盛り込まれている。(血のつながらない)姉妹が古びた屋敷での生活を始めることから『となりのトトロ』(1988)を思い出す方も多いだろう。監督が『のんのんびより』という人気アニメを手がけた川面真也であり、そちらと同じく田舎の風景や生活が「住んでみたいなあ」と心から思えるほど魅力的に描かれていた。

 そして、脚本家は『若おかみは小学生!』(2018)や『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2020)など、近年で高く評価されたアニメ映画も手がけた吉田玲子。原作から物語が見事に再構成されており、特に序盤で出会ったばかりの2人の少女が「傘」でコミュニケーションをするシーンが実に上手い。吉田玲子は『映画 聲の形』(2016)でも同様に傘をもって複雑な心理を表現していたが、その見事な手腕は健在だった。

 ちなみに、映画『岬のマヨイガ』は原作からのアレンジも多く、例えば主人公のユイは原作では暴力をふるう夫から逃げてきた女性であり性格も素直だったのだが、映画では(表面上は)ぶっきらぼうな17歳の少女となり逃げてきた理由も変わっていたりもする。これによって、ティーンエイジャーらしい人生の選択の悩みを描いていたり、中盤まで逃げてきた理由が伏せられたことで先が気になる物語のダイナミズムも作り出しているなど、原作を尊重しつつも、新たな魅力を打ち出していた。

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