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あのアーティストの知られざる魅力を探る TOMCの<ALT View>ビーイング編

DEENはなぜシティポップを歌うのか――R&B/AORと歩んだ28年

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DEEN

 2021年、DEENは明確に“シティポップ”を標榜したアルバムを立て続けにリリースした。1月には「真夜中のドア」「プラスティック・ラブ」をはじめ、近年のリバイバル文脈を押さえた選曲が光るカバー集『POP IN CITY ~for covers only~』。7月には、タイトルの通り黄昏時が似合うオリジナル楽曲で固めた『TWILIGHT IN CITY ~for lovers only~』。いずれもシティポップのアイコンたる永井博のアートワークがあしらわれ、彼らの並々ならぬ意気込みが感じられる逸品である。さらに12月22日には「冬のシティポップ」を掲げた新作『シュプール』の発売も控えており、その多作ぶりには驚くばかりだ。

 その一方で、特に前者のカバー集が発表された当時、ごく一部のネットユーザーから「シティポップ・ブームにメジャーのビッグネームが便乗した」という声が見られたのは残念であった。というのも、DEENは28年のキャリアの大部分でR&B/AOR方面の音楽性を追求し続けており、シティポップへの接近は全く意外に思えないものではなかったからである。この“シティポップ・イヤー”が、彼らの歩みと市場の潮流とが噛み合った”必然”であったことはもっと幅広い層に知られてほしい……そんな思いを込めて、DEENとR&B/AORの関わりについて語っていきたい。

アリーナロックとR&Bの”二刀流”を模索したデビュー期

 しばしばイメージされるDEENの音楽性は「瞳そらさないで」などに代表されるポップで爽快な、アリーナロック的なものだろう。しかし実際のところ、最初期の音楽性はそれに加え、久保田利伸や中西圭三に通じる和製R&B系統の楽曲が並存する“二刀流”的なスタイルであったことはあまり知られていないはずだ。

 DEENのボーカル・池森秀一は、グループとしてのデビュー前年に当たる1992年、ソロ名義でニュージャックスウィング/グラウンドビート調の名曲「DREAMIN’」をテレビドラマに提供している。本曲は編曲・ミキシングのアップデートを経て、DEENのデビュー曲にしてメガヒットを記録したパワーバラード「このまま君だけを奪い去りたい」のB面に収録された。

 同路線を踏襲した2ndシングル「翼を広げて」のB面「夢のつづき・・・Love in my dream」もブラック・コンテンポラリー調であり、この流れは、栗林誠一郎の高速ラップをフィーチャーした3rdシングル「Memories」や1stアルバムの一部曲に引き継がれている。

 これらは、グルーヴィな打ち込みに長けた大島こうすけのアレンジを筆頭に、“ビーイング流”和製R&Bの最良の側面が楽しめる名曲揃いだ。そして、その多くで池森が作詞・作曲を手がけていることからも、彼自身、R&Bに強い関心を寄せていたと思われる。

 それを更に裏付けるものとして、2001年に池森は「SHU」という変名を用い、当時のUSメインストリームR&B直流のビートを持つスロージャム「Another Life」をリリースしている。変名を用いたのは「DEENのヴォーカリストという先入観を抜きに聴いてほしい」という意図があったとのこと。実際、作曲にBoAなどとの仕事で知られる韓国のキム・ヒョンソクを起用し、ティンバランドにも通じる細かいハイハットワークが冴え渡るサウンドデザインは、当時のバンド然としたDEENの方向性からは大きく逸脱するものだ。それに加え、カップリングでは大御所コーラスグループ・スタイリスティックの「You Make Me Feel Brand New」をカバーしていることからも、池森の古今を問わないR&Bへの愛は本物だろう。

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