
『シン・エヴァ』『はな恋』ほかコロナ禍でも大健闘した2021年の日本映画
パンドラ映画館 花束みたいな恋をした シン・エヴァンゲリオン 護られなかった者たちへ

日本映画界の年間興行収入は、この20年で最高記録となった2019年の2611億8000万円から、コロナ禍によって2020年は、最低となる1432億8500万円にまで大激減した。2021年も非常事態宣言が秋まで断続的に続き、厳しい状況が続いている。東京都が映画館への休業要請をGW明けも続行したのに対し、全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)が「映画を愛する皆様へ」という声明文を発表して異議を唱えていなければ、数字はさらに悪化していただろう。行政が映画館を休業対象にしたエビデンスは、結局あいまいなままだった。
コロナ禍にあえぐ映画界に活況を与えたのは、日本映画の歴代興収記録を塗り替えた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)に続くアニメ作品だった。3月公開の庵野秀明監督作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は興収102億8000万円、4月公開の『名探偵コナン 緋色の弾丸』は76億5000万円、7月公開の細田守監督作『竜とそばかす姫』は65億3000万円の大ヒットとなった。
二度にわたって公開延期となった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、テレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)の放映終了から四半世紀を経て、壮大なクライマックスを迎えた。14歳のまま成長することのなかった主人公・碇シンジは、すべての発端である父・碇ゲンドウとの落とし前をつけるため、真正面から向き合うことになる。大人としての責任を負うことをシンジは覚悟し、それと同時に幼少期からずっと引きずってきた孤独感や恐怖からも解放される。
永遠の中学2年生・碇シンジが苦悩しながらも大人へと成長する姿には、庵野監督自身の結婚、会社設立、うつ病との闘いなどの実体験が投影されていた。シンジ、綾波レイ、アスカたちメインキャラクターたちがそれぞれの最適解を見つけ出していく様子は、バブル崩壊後の荒廃した日本社会で大人になることができずにいた世代に向けられたものでもあったように思う。庵野監督だけでなく、『エヴァ』をこじらせてきたファンもまた「エヴァの呪い」から解き放たれることになった。オタクたちがオタクなりに大人へと成熟していくことを描いた、清々しさのあるグランドフィナーレだった。
12月17日からオムニバス映画『偶然と想像』の公開が始まった濱口竜介監督は、村上春樹原作の『ドライブ・マイ・カー』がカンヌ映画祭で脚本賞を含む4冠に輝き、国際的に注目される存在となった。西島秀俊、三浦透子、岡田将生らが共演した『ドライブ・マイ・カー』は上映時間2時間59分の中で、現代人が持つ心の空虚さが表現活動や他者とのつながりによって埋められていく過程が繊細に描かれている。多様性を受け入れるテーマ性も、とても現代的だ。
濱口監督の『ドライブ・マイ・カー』が秀作であることは間違いないが、2021年の日本映画はそれ以外にも見逃せない作品が非常に多かった。コロナの影響で国内映画の公開本数が大幅に増えたこともあるが、内容的にも豊饒の1年だった。
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