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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.672

格差社会が生み出したダークヒーロー 上西雄大主演&監督作『西成ゴローの四億円』

豪華俳優がゲスト出演するシリーズ第2弾

格差社会が生み出したダークヒーロー 上西雄大主演&監督作『西成ゴローの四億円』の画像3
続編『西成ゴローの四億円 死闘篇』には笹野高史、石橋蓮司らが出演

 続編『西成ゴローの四億円 死闘篇』の製作からは、『その男、凶暴につき』(89)や『いつかギラギラする日』(92)などで知られる奥山和由プロデューサーが製作総指揮として参加。『死闘篇』には木下ほうか、加藤雅也に加え、石橋蓮司や笹野高史らレジェンド級のベテラン俳優たちがゲスト出演している。

 続編でもお金に困っているゴローは、西成での仕事仲間であるカネやん(笹野高史)と再会する。放蕩を重ね、家族を捨てたカネやんだったが、息子と和解でき、一緒に暮らすことになったという。自分のことのように喜ぶゴローだった。自宅に帰る前、カネやんはゴローと同じように自分の眼球と腎臓を売って、お金を作ろうとする。苦労させた息子への、ダメ親父なりのせめてもの罪滅ぼしのつもりだった。

 韓国系の組織を束ねるウー会長(石橋蓮司)は、闇金姉妹の松子(徳竹未夏)と梅子(古川藍)を溺愛している。血は繋がっていないが、松子&梅子と実の親子同然に接している。ウー会長に見守られ、闇金姉妹はたくましく育った。ウー会長も「理想の父親」のひとりだろう。劇団「第七病棟」の公演を続ける傍ら、松田優作や原田芳雄らと映画共演してきた石橋は、上西にとって憧れの俳優だ。上西がリスペクトするキャストたちを使い、上西にとっての理想の家族像が『西成ゴローの四億円 死闘篇』では描かれる。

 現実世界はままならないことばかりだが、せめて映画の世界だけでもかっこいい父親たち、かっこいいオッサンたちに活躍してほしい。お金にがめつく、子どものために体を張り続ける西成ゴローは、現代社会が生み出した新しいヒーロー像だ。失なわれてしまった家族への想いが、西成ゴローを突き動かしている。

『西成ゴローの四億円』
監督・脚本/上西雄大 製作総指揮/奥山和由
出演/上西雄大、津田寛治、山崎真実、波岡一喜、徳竹未夏、古川藍、奥田瑛二
配給/吉本興業、チームオクヤマ、シネメディア 大阪にて先行上映中。2月12日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開

『西成ゴローの四億円 死闘篇』
監督・脚本/上西雄大 製作総指揮/奥山和由
出演/上西雄大、津田寛治、山崎真実、徳竹未夏、古川藍、笹野高史、木下ほうか、阿部祐二、加藤雅也、松原智恵子、石橋蓮司、奥田瑛二
配給/吉本興業、チームオクヤマ、シネメディア 大阪にて2月5日(土)より先行上映。2月19日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
©上西雄大
goro-movie.com

最終更新:2022/05/17 15:41
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