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ネットニュース編集者・中川淳一郎が総ツッコミレビュー!#10

ドラマ『ゴシップ』にネットニュース編集者・中川淳一郎も謝意表明! “日陰の業界”よ永遠に!?

「ネットニュース編集部」という前代未聞の“地味テーマ”

 しかし、こんな地味なテーマをフジテレビの連ドラにしたというのは前代未聞ではなかろうか。これは散々悪口を言いまくったオレとしても感謝するしかない。ただ、やっぱり溝畑淳平が演じる根津が常に怒っていることと、安藤政信の演技が暗すぎるというこの2点については、もう少し演出を考えてあげてもよかったのでは。

 そして、最終回を見て、各人が幸せそうな第二の人生を送る予感をさせたのは良かった。第二弾も期待したい。漫画編集者への夢を諦めてはいないものの、恐怖の経理部員になった真琴に焦点を絞ったサイドストーリーは間違いなく面白くなると思う。そして、根津と凛々子、そしてカメラマンの笹目(寛一郎)の恋愛事情も気になる。

 あと、個人的には、ワイドショーのイヤミでお調子者なMC役を務める大鶴義丹が毎度、小憎らしい演技をしていたのがよかった。そして最後にまさかの登場というのも素晴らしいオチではないか。

 さて、大団円を迎えた同ドラマ。かなりホメたが、やはり最後にネットニュースのタイトルはツッコミを入れたい。許してくれ。

<『カンフルNEWS』閉鎖の真実!? 編集長の危険な過去とスタッフへのパワハラ疑惑>

 これは、「文春オンライン」を想定した「東西オンライン」のガセ記事だが、そもそも文春オンラインはガセ記事は出さないだろう、という信頼感があるので、その時点でアウトである。そしてガセ記事とはいえ、タイトルもひどい。直してやる。凛々子が同級生を殺害したという疑惑が事実であるとした場合はコレだ。

<カンフルNEWS閉鎖、背景に女性編集長の殺人&パワハラ疑惑の存在>

 そもそもこのネタはガセなので、こんな記事をドラマに出すべきではない。そしてもう一つがコレだ。

<『クスノキ出版』社員が就活生に性的暴行。元人事部長が隠蔽>

 これについては「社員」ではなく「元社員」のため、そこは事実を書かなくてはいけない。そして、このタイトルは穏便過ぎる。

<卑劣な人気企業の就活事情、クスノキ出版元社員が内定ちらつかせ女子学生に性的暴行し役員が隠蔽>

 これだ。

 そして、最後に制作陣に言いたいことがある。

 ありがとう。こんな日陰の業界に日を当ててくれて。

Fin.

※過去回のレビューはこちら!










中川 淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

1973年立川市出身。1997年博報堂入社、2001年無職になりフリーライターになり、雑誌『テレビブロス』のフリー編集者に同年末になる。2006年からネットニュースの仕事を開始。毎月800本ほどの記事を編集する人生に疲れ、2020年8月31日にセミリタイアし、佐賀県唐津市へ。著書は『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『炎上するバカさせるバカ 負のネット炎上史』(小学館新書)等。

Twitter:@unkotaberuno

なかがわじゅんいちろう

最終更新:2022/03/24 19:00
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