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庄村聡泰(ex-[Alexandros])『THE BATMAN』にド陰キャコミュ障ヒキニートの逆ギレを見た!

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映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』公式サイトより

 ”世界74カ国で初登場No.1!”の触れ込みにて現在大ヒット上映中の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』を観て来た。点を入れないで書くとザバットマンになってしまい、何だかやたらの泳ぎの上手そうなヒーロー、或いは快傑ズバットの類似品になってしまうので、注意が必要だ。

 記念すべき1939年5月、DCコミックスにバットマンの名が刻まれてから現在に至るまでのおよそ83年もの間恐らく平穏が訪れた事が一度もないでお馴染みの、全世界住みたくない街ランキング首位を未だに独走し続ける奇跡の街、ゴッサムシティ(何と2022年02月21日に広島県福山市が世界初の友好都市となり、調印式まで行われたらしい。何考えてんだ広島県)。

 だが89年のティムバートン監督マイケルキートン版から我々の世代(アラフォー)としては実に馴染みの深い街であり、今まで幾度となく名だたるヴィランにその存続を脅かされるも、孤独な自警団ヒーローであるバットマンの暗躍によって何とか街としての機能は守られている模様(それでもやっぱり住みたくない)。

 読者の皆様としてはやはりクリストファーノーラン監督クリスチャンベール版の『ダークナイト』3部作が記憶に新しいだろうが、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の世界線では未だベンアフレックがバットマンを演じており、その中での単独作『ザ・フラッシュ』(国内公開は2023年を予定)に於いては、

 ”ベンアフレックと上述のマイケルキートンが演じる2人のバットマン?が?登場?する?予定?”

 との事で、本稿で取り上げる『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の世界線も3部作らしく、そうなると現在進行形のバットマンが3人いると言う事になり、もう無茶苦茶。何が言いたいかと言うとそれはゴッサムシティの治安を超える凄まじいケイオスだと言う事だし、それには別世界の自警団ヒーローである某親愛なる隣人スパ(以下略)も匙を投げる思いであろう。

 さて、話を戻すと本作のバットマンは『TENET テネット』(2020)での好演が光り、『ハリー・ポッター』シリーズや『トワイライト』シリーズでその名を知られるロバートパティンソン。

 彼が見張るゴッサムシティはかつてない程の荒み方をしており、街の有力者はほぼ汚職塗れ、ドロップと言うドラッグが横行し、その利権絡みの事件が多発しているがまあゴッサムについてはそれがデフォであり安定でもあるのでここでの言及は避けるとして、実はかつてない程の荒み方をしているのはバットマンご本人様。両親を殺され、その生き様と正義感を良くも悪くも妄信してしまっている彼は自身の財団の事などフル無視。

 ブルース・ウェインとして表にも滅多に顔を出さず”復讐”と称して街を変える事に取り憑かれてしまっており、言わば従来のバットマン像とはかけ離れまくった”ド陰キャコミュ障ヒキニートの逆ギレ”(と言ってしまっては些か乱暴でもあるだろうがキャラクターの描き方としてはそう言ってしまってあまり相違ないと思ったけど個人の感想です)でもって悪を成敗していく。

 会話に於ける言葉数がやたらと少なかったりモノローグがやたらと多かったりする事から”ヒーロー足る者黙して語らず”を実践する自分に快感を覚える厨二病+単なるコミュ障と考えると、涙を禁じ得ない。

 ヴィランには『バットマン フォーエヴァー』以来の映画出演となるリドラー。

 これは初めて触れたのがジムキャリー版だった筆者にも責任があるのだが(しかもリドラーつうよりはほぼジムキャリーだった)、なぞなぞキャラと言う設定さえ共通項であれば何でもいいのかと思うくらい上述の作品とはこちらもこちらでかけ離れまくっており、今回のコイツも孤児に生まれ街と時代に搾取され続けた挙句”ド陰キャコミュ障ヒキニートの逆ギレ”(法廷会計士と言う職に就いている事が明かされてはいるもののキャラクターの描き方としてはそう言ってしまってあまり相違ないと思ったけど個人の感想です)でもって街を混乱の渦に叩き落とす。

 恐らく市販品をDIYしたであろうカッコ良さの欠片もないコスチュームやマスク、そしてその上から掛けているこちらも恐らく市販品のメガネから漂うチープなコスプレ感に、涙を禁じ得ない。

 収監後のサシの会話でバットマンに”マスクは革製か?”と恨めしそうにそしてちょっとだけ羨ましそうに問い掛けるリドラー。2人の出自の圧倒的な違いがこのたった一言に全て込められている様で、やはり涙を禁じ得ないのだ。

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