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庄村聡泰(ex-[Alexandros])、人生の一部である「ロックマン」とTEAM SHACHIのコラボを呪う

庄村聡泰(ex-[Alexandros])、人生の一部である「ロックマン」とTEAM SHACHIのコラボを呪うの画像1
TEAM SHACHI 公式サイトより

 さて、過去記事でも幾度か言及した通りではあるが、おっさんはとうとう齢38を迎えより一層活動と執筆の混沌みを増さんと朝日や夜月に誓うのであった。

 そんな齢を重ねる度に思う。筆者にとって”青春”とは”若さ”とは”ティーンエイジ”とは”ジュブナイル”とは、それ自体との距離が離れれば離れる程偏執的な(最早変質的と言ってしまっても良い)愛と言うか憎と言うか嫉みと言うか妬みと言うか、でも回りに廻ってそれを一言で意するにはやはり愛と言う他にないと言うか、望んでも戻れぬ時や望んでも得られぬ物(時間の経過的に)に対するソレ(愛と定義する)は募るばかり(よって偏執的であり変質的でもある)。

 前回のドングリーズもそうでビーファのバイグッバイだってそう。取り扱われている主題は、先に枚挙した事物より連想され得るモノである。そして大概これは己の年齢的に仕様のない事ではあるのだが、そこに付いて回りやがるは郷愁言わばノスタルジィ。このコンボにやったらめったらに弱いのだ。


 筆者がゾンビ映画と同じくらい胸キュンティーンムービーを偏愛する由縁はそこにある。

 そうした意味で筆者の(歪んだ)青春をメッタ刺しにした挙句本当に泣かせやがったおまわりさんこの人です的な楽曲が、TEAM SHACHIの「Rocket Queen feat. MCU」。思い入れが強過ぎる故アルバム「TEAM」の記事では書き切れず、こうして延長戦をしたためる次第だ。

 先ず初めに紹介しておこう。作詞はポルノグラフィティより新藤晴一様。作曲はポルノグラフィティやいきものがかりのプロデュース他数知れずの功績並びに関ジャムの出演などでもお馴染みのak.hommaこと本間昭光様。RAP詞とラップはKICK THE CAN CREWよりMCU様。何故様と付けたか。当曲に泣かされすらした俺からすりゃあ頭が上がらんからだ。

 その昔、今やお化け番組となったCSフジテレビONEにて放送中のゲームセンターCX、その劇場版『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』に、コメントを寄せさせて頂いた事がある。実に誉な事であるのだが、その際人生の一本として挙げたゲームが『ロックマン2』で、当曲はカプコン公認のロックマンコラボソング。曲の随所に『ロックマン2』の「Dr.ワイリー Stage1」のBGMが、そしてサビ頭にはボス決定時のBGMがフィーチャーされる。

 そして歌詞は”目深のcapでも目立って”いて”重ための前髪越しに見てる景色はきっとfreedom”な”彼”の規範や同調圧力とは別世界を歩む行動力や人生観に”この世界 塗り直して”欲しい”私”が憧れ、感化されて行く物語となっている。

 コラボ元とは敢えて距離を遠ざけたのであろうが、”髪をほどいた”というとても小さな行為がもたらすとても大きな作用(その行為は昨今取り沙汰されるブラック校則下に於いては大きな反抗、並びにその意思表示ともなり得る場合があるのではないだろうか)の暗示で締められる歌詞。立ち向かう意志への畏敬を鮮やかに描き出すストーリーテリングが実に素晴らしい。

 曲もまたコラボ元からの引用を最小限にとどめ、むしろオリジナル楽曲としての強さの方が立っている作りとなっており、”分かる人だけに分かる”楽曲ではなく「POPでLOUD」を掲げるグループとしてのバランスを最大限に活かした采配と言えるだろう。歌とラップ、エレキ楽器とホーンセクションの棲み分け(ロックマンのあのフレーズをサビ裏のファンファーレとして使うニクさやCメロのスカ調のギター、それまではルートを追いつつ3サビのみ動きまくるベースラインなど)に顕著だが、2Aで早くもボーカル的なピークポイントを置き(”秘密のデート”の”デ”)、そちらをブラフとして更なるピークポイントの応酬を見せる後半(Cメロからラスサビに行かずラップ~アレンジされたBメロ~転調サビ~ダメ押しでメロディ違いの”Rocket Queen”)の怒涛の展開には、その余り類を見ないトリッキーな構成が感情をガシガシに揺さぶりテンションは爆上げされ、気が付けば筆者の目からは鱗と涙の濁流が流れるのである。

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