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『ドライブ・マイ・カー』世界から絶賛される一方で…気になる国内映画賞での評価

文=与良天悟(よら・てんご)

『ドライブ・マイ・カー』世界から絶賛される一方で…気になる国内映画賞での評価の画像
オスカー受賞を喜ぶ濱口竜介監督とキャスト陣(写真/Getty Images)

 映画界最大の祭典として知られるアカデミー賞の授賞式が3月27日(日本時間28日)、米・ロサンゼルスで行われ、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞に輝いた。作品賞などほかのノミネートは逃したものの、国際長編映画賞で邦画作品が受賞したのは2009年の『おくりびと』(滝田洋二郎監督)以来13年ぶり5度目。大きな栄冠を手にした。

 海外でも人気の作家・村上春樹氏の小説を映画化した『ドライブ・マイ・カー』は濱口監督の商業長編映画2作目となる作品で、脚本家の妻を突然失った俳優・舞台演出家(西島秀俊)を主人公に、彼が演出する多言語演劇の様子や、そこに出演する俳優たち、主人公の愛車を運転する専属女性ドライバー(三浦透子)との関わりが描かれている。

 濱口監督は、商業映画デビューとなった『寝ても覚めても』(2018年)で第71回カンヌ国際映画祭の長編コンペティション部門に正式出品され、脚本で関わった黒沢清監督『スパイの妻〈劇場版〉』(2020年)が第77回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)に輝くなど、すでに国際的に注目されていたが、昨年7月に第74回カンヌ国際映画祭で『ドライブ・マイ・カー』は日本作品としては初となる脚本賞など4冠に輝き、以降も海外の映画賞を総なめしていった。

「春樹作品の熱烈なファンであるハルキストたちも珍しく絶賛した実写化作品。約3時間にわたる長編だが、短い会話を通じて物語を発展させる濱口監督の手法が世界各国で高い評価を受けることに。ニューヨーク映画批評家協会賞で日本初の作品賞に輝き、ロサンゼルス映画批評家協会賞と全米映画批評家協会賞でも作品賞を受賞。この3つで作品賞に輝いた外国語映画は史上初とのことです。ほかにもボストン映画批評家協会賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞など、海外の映画賞で90以上も受賞。『ドライブ・マイ・カー』の配給は大手ではなく、独立系のビターズ・エンドだが、こうした海外での絶賛に続き、先日の第94回アカデミー賞では邦画で初めて作品賞にもノミネートされたことで国内でも急速に注目度が高まり、公開館数や観客動員も増えていった」(映画業界関係者)

 そこで気になるのは国内の映画賞だ。昨年11月の第13回TAMA映画賞では、最優秀作品賞および最優秀新進女優賞(三浦透子)を受賞。今年2月の第95回キネマ旬報ベスト・テンでは日本映画1位など5冠。3月の第45回日本アカデミー賞では最優秀作品賞など最多の8冠となったが……国内では「総なめ」というほどの状況ではないという。

「辛めの評価だったのはスポーツ紙系。第34回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞や第76回毎日映画コンクールではそれぞれ作品賞(日本映画大賞)など2冠でしたが、第64回ブルーリボン賞は5部門ノミネート中で受賞したのは助演女優賞のみ、第46回報知映画賞に至っては4部門ノミネートで無冠に終わった。選考委員は、日刊、毎日、報知は外部で、ブルーリボンは在京スポーツ紙7紙の記者たちだが、3時間におよぶ作品とあって、そもそも映画を見ていない選考委員が多かったようだ。主演男優賞に至っては、ブルーリボンは岡田准一、報知は木村拓哉で、ジャニーズ事務所への忖度があったのではと思ったほど。実際、岡田が他に主演男優賞でノミネートされたのは報知だけですし、木村は報知だけで、どちらも他の賞では話題にもなってないですからね。そんな選考では賞の権威が下がるだけ。日本アカデミー賞での『ドライブ・マイ・カー』8冠には、関係者一同、モヤモヤが晴れたのでは」(映画ライター)

 映画ファンの国内映画賞に対する見方も変わりそうだ。

与良天悟(よら・てんご)

与良天悟(よら・てんご)

1984年、千葉県出身のウェブメディア編集者。某カルチャー系メディアで音楽や演劇を中心にインタビューなどを担当するほか、フリーで地元千葉県の企業の記事なども請け負っている。

最終更新:2022/04/04 11:00

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