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塩村議員に批判の声も…AV出演被害防止・救済法の微妙な内容

文=鷲尾香一(わしお・こういち)

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 AV(アダルトビデオ)出演被害防止・救済法が6月15日に成立した。AV製作者にとってはかなり厳しい内容で、懲役刑に加えて、最高罰金額1億円となっている。AV出演被害は減少するのだろうか。

 内閣府男女共同参画局はAV出演被害防止・救済法の内容についてホームページで解説している。https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/index.html

 19日には、セクシー女優の金苗希実がツイッターで同法に対して苦言を呈し、これに対して中心的に動いていた立憲民主党の塩村あやか参議院議員が反応。一連のやり取りの中で22日、塩村議員への批判の声が高まりTwitterなどでトレンド入りする事態にもなっていた。

 その内容を見ると、同法が相当に出演者寄りであることがわかる。特に契約については、通常、民法上はあり得ないような契約破棄が認められ、契約内容も細目まで規定され、厳しい条件が付いている。

 まず、異例なのがAV出演の契約を行っても、契約してから1カ月は撮影が禁止されていること。撮影までの期間をあけることで、出演者にAVに出演することに対して考慮する時間を与えている。

 契約内容も詳細に定められている。撮影の予定日時や場所はもちろん、「撮影の対象となる性行為の具体的内容」や「性行為の相手の特定」、さらにAVの公表の具体的な方法と期間、どこの国でどのウェブサイトを使って配信するのかなども契約事項として定めている。

 その上で、撮影や嫌な行為は断ることができ、撮影された映像は公表前に事前に確認できる。

 また、契約してから1カ月は撮影が禁止されている上に、すべての撮影終了後から4カ月は公表してはいけない。つまり、契約から映像の公開までは、最低でも5カ月かかるということだ。

 このように、撮影された映像が知らないうちに出回り、いつまでも消すことができない“デジタルタトゥー”を回避方策は撮影時に同意していても、公表から1年間(法の施行後最初の2年間は2年間)は、性別・年齢を問わず、無条件に契約を解除できることや、契約がないのに公表されている場合、契約の取消・解除をした場合は、販売や配信の停止などを請求することができる。

 男女共同参画局の説明によると、契約書における「撮影の対象となる性行為の具体的内容」とは、以下のような点を具体的に明示することだ。

・性交、性交類似行為、出演者が自己の性器等を触る行為、他人が出演者の性器等を触る行為、出演者が他人の性器等を触る行為に係る姿態のいずれが撮影されるのか
・性交類似行為に係る姿態を撮影する場合はその具体的態様
・出演者が自己の性器等を触る行為、他人が出演者の性器等を触る行為、出演者が他人の性器等を触る行為に係る姿態を撮影する場合は、その触る部位および具体的態様
・その他出演者の契約締結に係る判断に影響を与える重要な事項(避妊の具体的方法、性行為の回数、特殊な性癖に対応した性行為に係る姿態の撮影の有無など)

 こうした厳しい規定を定めた上で、出演者に対して出演契約の任意解除などを告知しなかった場合や、任意解除を脅迫などで妨げた場合には、3年以下の懲役、300万円以下の罰金が科される。さらに、違反行為の実施が法人ケースでは罰金刑は1億円以下としている。

 出演契約書を交わさなかった場合、あるいは虚偽の契約書の場合などについては、6ヶ月以下の懲役、100万円以下の罰金としている。

 もちろん、18歳や19歳を出演させない、妊娠する可能性の高い性行為を撮影しないことなどは前提として明記されている

 これだけ厳しい規定による契約と、契約解除、映像の公開差し止めが行えるのであれば、AV出演被害はかなり防げるように思える。

 だが、問題点もある。例えばAVに出演した人が契約を解除、あるいは映像の公開を差し止めても、違約金の支払い義務はなく、何ら罰せられることもない。

 つまり、AV出演被害については、ほぼすべての責任は制作者側にあり、出演者にはほとんどないという建付けの法律となっている。これでは、AV出演の被害者を出さないための本当の予防策にはなり得ず、AV出演に対する歯止めにもなっていないのではないだろうか。

鷲尾香一(わしお・こういち)

鷲尾香一(わしお・こういち)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」ほかで執筆中。

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Twitter:@tohrusuzuki

最終更新:2022/06/23 08:00

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