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『東京2020オリンピック SIDE:B』良い意味で気味が悪い

文=ヒナタカ

良い意味で気味が悪い『東京2020オリンピック SIDE:B』の画像1
東京五輪の公式ドキュメンタリー映画『東京2020オリンピック SIDE:B』公式サイトより

 2022年6月24日より『東京2020オリンピック SIDE:B』が劇場上映されている。『SIDE:A』がアスリートに焦点を絞った内容であるのに対し、今回は東京五輪の関係者の姿を主に映し出していく内容となった。

 実際にこの『SIDE:B』を観た率直な感想としては「良い意味で(悪い意味でも)気味が悪い」だった。コロナ禍がもっとも深刻化したタイミングで東京五輪が強行されていたという事実、その異常さを様々な視点から改めて思い知らされる内容であり、それを映像として克明に残したことは、掛け値なしに賞賛されてもいいのではないか。

 ただ、「映画として面白いか」と問われれば、『SIDE:A』とは別の理由で厳しいと言わざるを得ない。良くも悪くも「今さら観たくもないもの」をスクリーンで観る体験はある意味で貴重だが、だからこそ素直におすすめするのは憚れる内容でもあった。その具体的な理由を記していこう。

 なお、映画冒頭でも注意喚起のテロップがあるが、本作には東日本大震災時の津波の映像が含まれている。これから観る方は、十分に留意していだきたい。

良くも悪くも気が滅入る東京五輪の「負」の部分

 
 まず驚くのは、東京五輪の開催についての会議にて、その発言が真っ黒の背景での大きな文字で表示されることだ。まるでアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の2話「見知らぬ、天井」のタイトルテロップのようであり、会議シーンの矢継ぎ早な編集は映画『シン・ゴジラ』も彷彿とさせた。そのアプローチが真っ当かどうかはともかく、見た目に面白い画を作ろうとする意志は伝わってきた。

 だが、映画としてのエンタメ性を高める気概が感じられたのはその程度。描かれる主なものは、東京五輪の「負」とも言っていい部分、単純にネガティブなエピソードや、その良し悪しを単純には論じにくい事情、国際的に問題になった発言など、良くも悪くも気が滅入ってしまうものばかりだ。

 例えば、五輪開催への反対デモの様子や、最良のタイミングで身体を仕上げてきたのに延期になった事実に直面するアスリート、無観客になったことに複雑な感情を抱く会場設営の担当、ボランティアを辞退する者、音楽ライブが中止になるのに東京五輪はなぜ開催するのだと不満を口にする者、選手村の食事が酷評される様、内村航平選手の「(東京五輪が)できないじゃなく、どうやったらできるかをみなさんで考えてほしい」という言葉、さらには国内外で女性蔑視的であると批判が殺到した森喜朗の「会議が長い」「わきまえている」発言までもがクローズアップされていたのだ。

 これらの映像を立て続けに観ることによって、「あの頃の日本に蔓延していた異常な空気」を追体験できるのは確かに本作の意義だろうが、やはり良くも悪くも「今さら観たくもない」と思わせる理由にもなっている。

 また、多くが五輪関係者へのインタビューで構成されており、しかも接写で顔を映していくことも居心地の悪さがある。特に森喜朗の極端な発言は多く取り上げられているため、当人への好き嫌いを置いておいても、申し訳ないが「森喜朗の顔のアップをわざわざスクリーンで観たくない」という気持ちにもなってしまった。

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