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『空白を満たしなさい』阿部サダヲの怪演に視聴者騒然…怪しすぎるゆえにシロ?

文=東海林かな(しょうじ・かな)

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ドラマ公式ブログより

 NHK総合の土曜ドラマ『空白を満たしなさい』の第1回が6月25日に放送された。

 このドラマは、2011年から2012年に『モーニング』(講談社)で連載されていた平野啓一郎による同名の長編小説を原作とした作品で、死んだはずの人間が生き返る「復生者」のニュースが世間を騒がせる中、3年前に亡くなった主人公・土屋徹生(柄本佑)が復活し、身に覚えのない自らの死の真相を探っていくというストーリーとなっている。

 ある日、会社の会議室で目を覚ました徹生。なぜか腕時計は割れており、オフィスに入れない徹生は、自宅に帰宅する。だが、会社のビルの監視は「復生者だ!」と騒ぎ、通報。妻の千佳(鈴木杏)も徹生の帰宅に恐怖する。まだ幼児だったはずの息子が大きくなっていることに違和感を覚える徹生。すると保健所のオカダ(岡部たかし)がやってきて、3年前に会社の屋上から転落死したことを知る。止まった腕時計が指し示す時間は、亡くなったときのまま止まっていた。

 自分が突然生き返った「復生者」であると説明を受ける徹生。説明を終えてさっさと帰ってしまうオカダに、「え、これで終わりですか?」「あの人、(自宅に)置いていくんですか?」と動揺を隠せない千佳。死の直前の記憶を無くしている徹生は、なんで屋上から転落したのかと素朴な疑問を口にする。千佳は、警察や周囲の人間から自殺したと思われていると明かす。「なんで自殺なんかすんの、俺が」と徹生は笑い飛ばすが、自分が開発に関わったビールの新商品のCMを偶然目にし、ネットで検索してみると同僚の園田(永岡佑)の手柄になっていたことに愕然とする。園田は、徹生がキックバックを受けているという噂を流し、社内で徹生を孤立させた人間だったのだ。

 徹生は会社に乗り込むが、元上司の安西(渡辺いっけい)は邪険に扱う。亡くなる少し前に徹生が警備員を突き飛ばし、クレームを入れられていたことを指摘されると、徹生はその警備員・佐伯(阿部サダヲ)に嫌がらせを受けていたことを思い出す。そして「俺、佐伯に殺されたかもしれない」と疑念を持つようになる。徹生は次第に、佐伯につきまとわされていたことを思い出していき――。

 物語のキーパーソンとなる佐伯は、エサでおびきよせたハトを蹴り殺したり、徹生に対し「奥さんの遺伝子と私の遺伝子を結合させてくださいよ」と迫ったりと、狂気じみた言動が非常に不気味なキャラクターとして描かれている。そんな佐伯を阿部が演じることが発表されると、ネット上では放送前から「どういう演技を見られるか楽しみ」といった声が多く寄せられていた。中には「数年前に読んだ当時に佐伯役を阿部サダヲにしていた」という原作ファンもいるほどで、まさにはまり役のキャスティングと言えるようだ。

 第1話を見た視聴者からも「阿部サダヲが不気味でトラウマ級に怖すぎる」「これは冷房要らずのドラマ」「怪演ってああいうのを言うんだよ」と、背筋が凍ったという感想が続々と寄せられた。

 また、中には「『死刑にいたる病』よりももっと気持ち悪い。凄まじすぎる……」「『死刑にいたる病』に『空白を満たしなさい』とやばい役続いてるなあ」と、5月に公開された映画『死刑にいたる病』で阿部が演じた連続殺人鬼と比較する声も。脚本が同じ高田亮というのも想起させるポイントなのだろう。『死刑にいたる病』での役どころは、「“誰からも好かれるパン屋の店主”を演じる残虐な殺人鬼」であり、誰にも認められず暗い人生を歩む『空白を満たしなさい』とは、キャラクターしては正反対と言えるかもしれない。しかしどちらもゾッとする言動を見せる役柄で、阿部の怪演が強く印象に残ることは間違いないだろう。

 今後の展開だが、佐伯は見るからに異常なことから、徹生以外の登場人物からも疑いの目を向けられていくのではないか。もし、その方向で物語が転がりだすとすれば、裏を返すとストレートに「佐伯が犯人」というシナリオは考えられないとも言える。阿部もドラマの公式ページで、自身の演じる佐伯について「意外に核心を突いたことを言っていて、回を追うごとに人間性も見えてくると、実は今の社会や人間のことをよくわかっている人なんじゃないかと感じられるキャラクターです」とコメントを寄せている。第1話での印象とは異なる別の顔が見えてこないことには判断が難しそうだ。

 一方で、主人公の徹生についても、復活した徹生と周囲の反応に温度差があったことも気になる部分だ。亡くなったはずの人間が突然現れたら、生前に仲の良かった知人であっても喜びよりも戸惑いのほうが勝るのは仕方のないことだろう。しかしそれにしても周囲に喜びの反応が無さすぎる。妻の千佳ですらいつまで経っても心から喜んでいる様子が見られないのは何故なのだろうか……。

 そんな徹生に対する違和感を、柄本佑の演技がさらに増幅しているようにも感じられた。車内で佐伯と徹生が口論を繰り広げるシーンでは、徹生は鬼気迫る表情で佐伯の身勝手な言い分に反発している。その光景を見た視聴者からは「柄本佑と阿部サダヲの空間が歪むような対峙シーン素晴らしい」「これだけでも見る価値あるドラマだな」と、第1回から圧倒的な見どころを作った2人の演技力を絶賛する声が続出していた。

 自身が死んだときのことが思い出せず、「完全に空白なんだよ」と語った徹生。これからタイトルを回収するように、空白となった記憶を取り戻していくことでどのような真実が浮かび上がってくるのだろうか。第1回終盤では友人の秋吉(萩原聖人)から「徹生くんには話したの? 佐伯と千佳ちゃんとの間にあったことは?」と千佳が訊かれ、否定する場面もあった。佐伯以外の人物にもさまざまな謎がありそうだ。第2回の展開にも注目したい。

■番組情報
土曜ドラマ『空白を満たしなさい
NHK総合 毎週土曜22時~ / 再放送:翌週火曜25:15~ / 配信:NHKプラス
出演:柄本佑、鈴木杏、萩原聖人、渡辺いっけい、うじきつよし、藤森慎吾、ブレーク・クロフォード、田村たがめ、斉藤拓弥/風吹ジュン、阿部サダヲ、井之脇海、本田博太郎、野間口徹、木野花、国広富之、滝藤賢一 ほか
原作:平野啓一郎『空白を満たしなさい』(講談社)
脚本:高田亮
音楽:清水靖晃
制作統括:勝田夏子(NHKエンタープライズ)、落合将(NHK)
演出:柴田岳志(NHKエンタープライズ)、黛りんたろう
公式サイト:https://www.nhk.jp/p/ts/P89L596WL7/

東海林かな(しょうじ・かな)

東海林かな(しょうじ・かな)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

最終更新:2022/07/15 21:47

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