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映画『エルヴィス』てんこ盛りな豪華さでより悲劇を際立たせたバズ・ラーマン

文=ヒナタカ

映画『エルヴィス』てんこ盛りな豪華さでより悲劇を際立たせたバズ・ラーマンの画像1
C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 7月1日より『エルヴィス』が劇場公開されている。

 本作は「世界で最も売れたソロアーティスト」としてギネス認定もされているエルヴィス・プレスリーの実話を描いた映画だ。生前の姿は見ていないけど名前は知っている、その楽曲は聞いたことがある、という方がほとんどだろう。ざっと数字を見るだけでも、1日で売り上げたレコードは2000万枚、レコード総売り上げは6億枚、出演テレビ番組の最高視聴率は82%、ライブ世界中継視聴数は15億人など、その人気が規格外どころじゃないことがわかる。

 加えて注目は、監督が『ムーラン・ルージュ』(2001)や『華麗なるギャツビー』(2013)のバズ・ラーマンであり、その作家性が「世界一売れたスターの物語」に最大限にプラスに働いていたということだろう。音楽映画としての魅力はもちろん、1960年~70年代のアメリカを追体験する意味でも意義深く、「華やかさがあってこその切なさも際立つ物語」であることも重要になっていた。さらなる魅力を記していこう。

完璧なまでのエルヴィスの再現と、もう1人の主人公

映画『エルヴィス』てんこ盛りな豪華さでより悲劇を際立たせたバズ・ラーマンの画像2
C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 強欲なマネージャーとして世間から批判を浴びていたトム・パーカー(トム・ハンクス)は、エルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー)との日々を回想する。そのセンセーショナルなパフォーマンスは若者に熱狂的に愛される一方で、誹謗中傷の的になり警察の監視下に置かれたこともあった。トムは逮捕を恐れ、エルヴィスらしいパフォーマンスを阻止しようとするなど、たびたび衝突してしまうのだが……。

 本作の魅力の筆頭は、ほぼ全編に渡り吹き替えなしでエルヴィスになりきり、世界一の人気を得るほどの歌唱とダンスに説得力を持たせた、オースティン・バトラーの完璧なまでの「再現」ぶりだろう。約2年をボーカルトレーニングや役作りに費やしたその演技は、エルヴィスの元妻にも「エルヴィスそのもの」と評されたほどだったという。

 オースティン・バトラーは撮影の前に『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)でフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックに連絡を取り、パフォーマンスを再現するためのアドバイスを求めていたこともあったそうだ。そのミュージシャンとしてのカリスマ性はもちろん、立て続けの公演とさまざまな困難に直面し、次第に心身ともに憔悴しきっていく様にも注目してほしい。

 そして、実質的な主人公はもう1人いる。生涯にわたりエルヴィスのマネージャーを務めていたトム・パーカーだ。彼を演じるのは2度のアカデミー賞受賞を誇るトム・ハンクスであり、表面上は激しい非難を浴びることも当然な悪徳マネージャーながら、「それだけではない」厚みのあるキャラクターを文句なしに体現している。そのモノローグの数々、初めてエルヴィスのパフォーマンスを見た時などの表情からは、決してカネという目的だけではない本気の思い入れ、転じて愛情さえも垣間見えるだろう。

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