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宮下かな子と観るキネマのスタアたち40

『花束みたいな恋をした』にも登場した劇団ままごと『わたしの星』がU-NEXTで配信

『花束みたいな恋をした』にも登場した劇団ままごと『わたしの星』がU-NEXTで配信!の画像1
イラスト|宮下かな子

 殺人的な暑さが続いていますが皆さんはお元気でしょうか。

 梅雨明けと聞いて「雨、もうちょっと降ってもよかったんじゃない?」と思ったり。「来年は少しお高めの良い傘買おうかなぁ」と毎年梅雨の終わり頃に思うのだけど、今年はそんな間もなく梅雨明けしてしまったので、未だに私はビニール傘と日傘しか持っていない。とにかく水分しっかり摂って、マスクも外せる時は外して休憩しながら今年の夏も乗り切りましょうね。宮下は久しぶりに、長くご一緒できる現場に行けそうでワクワクしているところだ。

  さてこの連載、今回で40回目となるのだが未だにペースが掴めていない。時間に余裕があるからか、毎日必ず「連載どうしよう」が頭に浮かぶ。「そんなに力まなくても良いのでは?」とも周囲に言われるので、今日はスマホで書いてみたり。映画は好きなのでほぼ毎日観ているのだが、ポンポン書けるほど自分にハマる作品ばかりじゃないし、加えてイラストも描くとなると意外と難しいんだよ!とここで嘆いておきます。

 しかも最近の私、邦画を全く観ていない。というか観れない。役者仲間に聞くとそういう時期もあるらしいし、海外作品の知識が邦画に比べて劣っているという自覚があるので、視野を広げる良い機会なのかもしれないと思い、最近はエンタメ感バリバリの海外シリーズものを楽しんでいる。イケおじジェームズ・スペイダー主演の『ブラックリスト』を3月からコツコツ観終えて新シリーズの配信待ち。Netflixオリジナルで人気の『ストレンジャー・シングス』にようやく手をつけ、最近は『アンブレラ・アカデミー』という超能力家族の物語を夜の楽しみにしている。春から連載リニューアルと言いつつ未だ迷走中で、文体が変わったり不安定で申し訳ないが、読者の方には色々ひっくるめて楽しんで頂けたらありがたい。

 今回は何を書こうかしらと配信サービスを探ってみたら、U-NEXTで舞台映像も配信していることを知った。「あら、城山羊の会も観られるの、ケラさんもあるの!」と画面をスクロールしていくと“劇団ままごと”『わたしの星』を見つけたので観てみた。映画『花束みたいな恋をした』にも登場するから、名前だけ聞いたことのある方もいるだろう。

 蝉の鳴き声、机の匂い、わーわーうるさい同級生たちの騒がしい声、はりつく制服、夏の夕方のちょっと寂しい日差し。恐ろしいことに10年以上前になってしまう自分の学生生活の夏が蘇ってくる。

 再演は観劇したことがあったが今回観たのは初演。観返してみるとどことなく私の初舞台『転校生』にも似ている気がした。2015年、今は無きZeppブルーシアター六本木にて上演された『転校生』、それまで私はMVへの出演経験しかなく、初めて役名をもらって声を発した仕事でもあった。初日の本読みで私が台詞を発すると、監督やスタッフ、共演者が身を乗り出して私を見てきて、その日私は「あら、私そんなにすごいのかしら」と良い気になっていたのだが、後から聞けばびっくりするほど声が小さくて聞こえなかったらしい。オーディションを受けた時の日記帳を見ると「台詞がない木の役でもいいから出たい」(そんな役はない)だなんて書いてあるのに、なんと根拠のない自信家だったこと。今や羨ましい。そんな私は最後まで「大きな声で」としか演出されなかったし本当何も考えずにお芝居をしていたが、あの時の私ほど純粋でただ真っ直ぐだったお芝居はないと、色々積み重ねてきた今は思う。

 当時の記憶でものすごく鮮明に覚えているのが、公演後に何人かの出演者が

「ねぇ、今日すごくなかった?」
「わかる…!今日よかった!」

 と共感し合っていた姿を見た時のこと。なんだか虚しくて取り残されたような気持ちになったのを、今でも覚えている。〝舞台はなまもの〟とよく言うがそれは本当で、同じものをやっていてもお客さんの雰囲気や出演者のテンポや間が、すこーしずれるだけで全く違う。今は感じられるが、確かにあの時の私は、その空気が分からなかったのだ。

 そういえばあの頃一生懸命色々な舞台を観に足を運んでいたが、感想を伝えるのがすごく苦手だった。だけどやっぱりエンターテイメントって、舞台って、綺麗な感想文じゃないんだよな。空気を感じることなんだよな、特に舞台は。難しいこと考えずに何かを体感できたらそれが正解だし、演じる側も同じなのだ。『わたしの星』だって、あの子達がなんで踊ってるのか転校生がどうとか火星とか地球とかなんだか全然分かんないけど、私はしっかり私の夏を思い出す。暑苦しくてただがむしゃらで、でもなんかちょっと寂しいいろんな夏。どんなに綺麗な言葉を並べた感想でも素晴らしい解説でも、その体感には叶わないのだ。

 あぁ久しぶりに、舞台に立ちたいなぁ。心からのため息が出た。

 そういうわけで、いつもより綺麗にまとめずに書いてみたが気持ちは伝わったかな。
 
 暑くてもう既にバテバテだけど、今年もいつか思い出すような良い夏になりますように。

宮下かな子(俳優)

1995年7月14日、福島県生まれ。舞台『転校生』オーディションで抜擢され、その後も映画『ブレイブ -群青戦記-』(東宝)やドラマ『最愛』(TBS)、日本民放連盟賞ドラマ『チャンネルはそのまま!』(HTB)などに出演。現在「SOMPOケア」、「ソニー銀行」、「雪印メグミルク プルーンFe」、「コーエーテクモゲームス 三國志 覇道 」のCMに出演中。趣味は読書、イラストを描くこと。Twitter〈@miyashitakanako〉Instagram〈miya_kanako〉

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【アミューズWEBサイト公式プロフィール】

みやしたかなこ

最終更新:2023/02/22 11:29
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