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宮下かな子と観るキネマのスタアたち37

不妊治療で自身の精子を提供していたおぞましき医師のドキュメンタリー

不妊治療で自身の精子を提供していたおぞましき医師のドキュメンタリーの画像1
イラスト/宮下かな子

 とんでもないドキュメンタリー作品を観てしまった。

 皆さんの周りでも話題になっているのだろうか。Netflixにて5月11日から配信したばかりの『我々の父親』である。偶然か否か、私は同じ日に3人からこのタイトルを聞いた。「やばいドキュメンタリーがあるよ」と。

 そのうちの1人は私のマネージャーKマネで、普段こちらが心配になるほど映画を観ない彼が「この作品観てみたらどうですか?」と突然勧めてきた。Kマネはまだ未見だったが、きっと業界でも話題になっているに違いない。「それほど話題ならば……」と気になったし、しかも勧めてくる人たちの様子が、どうも普通の勧め方と様子が違うのだ。

 聞けばザワザワ胸騒ぎがする感じで、心霊スポットをこっそり耳打ちするように勧めてくる。その様子が何だか引っかかって、私はその日のうちに、覚悟を決めてこの作品を鑑賞した。観終えた今、ノンフィクションであることを疑いたくなる衝撃の内容に絶句している……。皆さんも、覚悟してこの作品を知って頂きたい。

 アメリカインディアナ州に住むある女性がDNA検査をしたところ、街中に異母きょうだいがいる事が発覚した。精子ドナーは3人までとされているのに反する人数。全員の共通点は、母親たちが皆、不妊治療の専門医ドナルド・クライン氏の診察を受けたという事実だった。そう、この医師は無断で、自身の精子をドナーからのものだと偽り患者に提供していたのだ……!

 音声等は実際のものを使用していて、当時の様子を再現したシーンは、被害者本人と俳優双方が出演している。

 監督ルーシー・ジョーダンは、社会問題をテーマにしたドキュメンタリーシリーズに精力的な監督であり、製作に加わっているジェイソン・ブラムは「パラノーマルアクティビティ」シリーズ等ホラー作品を手掛けている。なるほど納得。だってもはやホラー作品だったもの。しかもここでも偶然、私が最後に観たホラー作品が『パラノーマルアクティビティ』だったのだ。今でも忘れない、当時小学生だった私は、その後毎晩大量の汗をかきながら3日間眠れない事態に陥った。今に階段から引きづられるんじゃないかと恐ろしくてあれ以来、私はホラー作品を観ていない。しかしホラー作品よりもこのドキュメンタリーはもっと恐ろしい。〝事実は小説よりも奇なり〟という言葉があるがまさにその通りで、この医師の犯した事は人間性に欠けている。いつも曖昧な言葉を使う私だが、この医師に関してはそう強く断言出来る。

 病院から半径50キロ圏内に、異母きょうだいが無数にいるのだ。しかも、精子提供を希望した患者だけではない。夫の精子を持参し診療に来た患者も、この医師の精子にすり替えられていたことが判明したのだ。これはDNA検査をして初めて分かった事実であり、今まで自分の血縁に子供だと思って育ててきた両親にとっても、おぞましい悲劇である。

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