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『オールドルーキー』綾野剛の“ピュアな主人公”が「ビクトリー」社内までも変えていく?

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Paravi配信ページより

 引退したスポーツ選手や現役アスリートにまつわるリアルな輝きと苦悩、葛藤を描き、社会に生きるすべての人々の心に響きわたる……。そんな強いメッセージ性をひしひしと感じるTBS日曜劇場『オールドルーキー』の第2話が7月3日に放送された。

 綾野剛演じる元サッカー日本代表の新町亮太郎が、引退後のセカンドキャリアとしてスポーツマネージメント会社「ビクトリー」に就職した第1話。今回は、先輩の塔子(芳根京子)とともに、9歳にして全国大会で優勝したスケートボード選手・牧村ひかり(佐竹晃)とのマネージメント契約の獲得に向けて奔走するストーリーだった。

 新町と塔子は、ひかりのコーチでもある父親の悠一(桂宮治)のもとを訪ねるが、悠一は「自分がコーチとしてひかりを一流の選手に育て上げたい」という思いもあり、契約のオファーには一切応じない。さらには、ライバル会社にあたる世界最大手のスポーツマネージメント会社「WPM」もひかりの獲得に動き出すという苦境に立たされ、焦る塔子。ただ、ここで動じないのが新町という男。新町は「ひかりちゃん本人はどう思ってんだろ?」と、元プロアスリートらしく、9歳のひかりをいちアスリートとして扱い、「すべてのアスリートにリスペクトを」というビクトリーの理念を”素で”やってのけた。

 このシーンは、2人の性格が相反していることをわかりやすく打ち出している。社長の高柳雅史(反町隆史)の下で経験を重ね、どうしても打算的かつ利益重視で動いてしまう塔子は、新町に「余計なことは考えなくていい。牧村ひかりをビクトリーに所属させる。それだけです」と言い切る。一方、兎にも角にも献身的で、アスリートに寄り添う姿勢でこの仕事に臨む新町は、ひかりが抱えている問題を解決しようと動くのだ。今後のストーリー次第では、ビクトリーが大きなピンチに陥ったとき、“アスリートファースト”の精神を持つ新町が会社を救う展開も考えられる。それはまるで、ピッチ上に倒れこむ選手に手を差し伸べるように。そんな想像が膨らむほど、筆者にとって新町のピュアな人間性は異端に映った。

 もっとも、そのピュアさはある種の諸刃の剣ともなり得るかもしれない。現役引退を強いられた新町は、第2話の時点ではまだ現役復帰に相当な未練を残している様子で、そのためのトレーニングも欠かしていなかった。同じく福田靖が脚本を手がけた4月期の『未来への10カウント』(テレビ朝日系)では終盤、コーチとしてボクシング部を軌道に乗せた主人公のもとに、コロナ禍で店を畳むまで経営していた焼き鳥屋を再開できるという人生の選択肢が提示された。この主人公はボクシング部コーチも焼き鳥屋も両方やるという決断をしたが、同じように新町が現役復帰とスポーツマネジメントのどちらを選ぶか迫られるという展開もありえそうだ。

 「担当アスリートとは腹を割って話すことが大事」と考える新町は、ひかりにスケートボードを教わりながら会話を重ね、ひかりの本心を聞き出す。学校を休んでまで練習に励み、国内の試合で勝つことを求める父親の指導方針とは異なり、「アメリカで世界を目指したい。学校にも行きたい」と考えていたのだった。9歳ながら、スケートボードを通してすでに将来の夢をはっきりと描いていたひかり。新町はすでにライバル会社のWPMに話をしに行き、ビクトリーとの契約直前でWPMを勧めるのだった。ひかりとの契約を逃す窮地に立たされた塔子だが、機転を利かせ、WPMとの共同マネージメント契約という離れ業を決める。ひかりのアスリート活動を最高の形で後押しできる関係をつかみとった2人の行動は、まるでスケートボードの高難度トリック「バックサイド540メロングラブ」だった。

 有望な選手の獲得を2話連続で手助けし、ビクトリーで存在感を増し始める新町。第2話にして、そんな新町に感化され始めるビクトリー社員が早くも現れている。エース社員の梅屋敷(増田貴久/NEWS)は、担当するプロゴルファー・高槻(竹財輝之助)がスランプ状態に陥り、そのケアに悩まされるが、新町の行動や言葉がきっかけとなり、アスリートに敬意を払い寄り添うことの大切さを実感した様子だった。

 新町の存在が少しずつビクトリー社内に影響を与え始めている状況を見ると、梅屋敷に関してはドラマ終盤には”第二の新町”として描かれているのではないか。高飛車だけどどこか憎めない梅屋敷がガラッと変わる展開があれば、本作がさらに盛り上がるうえでのスパイスになることは間違いない。ネット上では「(担当するプロゴルファーのために)40万円のワンちゃんを自腹で買う梅屋敷好きになった」「塔子をライバル視してる割にプンプンしてるだけの梅屋敷かわいい」などポジティブな意見が上がっており、第1話よりも人気が格段に上がった印象だ。スポーツの知識に自信のないライトな視聴者層にとっては、梅屋敷の喜怒哀楽がはっきりとしたコミカルな言動だけでも十分に楽しめるかもしれない。

 第1話ではサッカーのドイツリーグで活躍するスター選手・矢崎十志也役で横浜流星が出演というサプライズが話題になったが、第3話にはSixTONES・田中樹が日本マラソン界のトップランナー・秀島修平役で登場。こちらも一筋縄ではいかないクセ者のようだ。秀島の競技人生に、新町や塔子、変わりつつあるビクトリー社員がどのように関わっていくのか。7月17日放送の第3話も見逃せない。

■番組情報
日曜劇場『オールドルーキー
TBS系毎週日曜21時~
出演:綾野剛、芳根京子、中川大志、岡崎紗英、増田貴久、生田絵梨花、稲垣来泉、泉谷星奈、高橋克実、榮倉奈々、反町隆史 ほか
脚本:福田靖
音楽:木村秀彬
主題歌:King Gnu「雨燦々」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
協力:Jリーグ、公益財団法人 日本サッカー協会
サッカー監修:大久保嘉人
料理監修:Mizuki
編成:東仲恵吾、高橋秀光
プロデュース:関川友理、松本明子
演出:石井康晴
製作著作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/OLDROOKIE_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/07/17 11:30
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