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坂口健太郎×杏『競争の番人』第2話に賛否? 気がかりな「不安要素」も…

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ドラマ公式サイトより

 坂口健太郎と杏がダブル主演を務めるフジテレビ系月9ドラマ『競争の番人』第2話が7月18日に放送されたが、視聴者の評価が真っ二つに分かれるものとなった。

 主要キャストを筆頭に、現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも出演している顔ぶれも複数揃えるなど、俳優陣はかなり豪華で、彼らの芝居には見ごたえがある。しかし一方で、公正取引委員会を主役とするこのドラマで、地方のホテルによるウエディング費用のカルテルの取り締まりという地味な印象の題材を3話まで引っ張るのはどうかとの批判も少なくない。

ついに納入業者いじめで雲海に食らいつくも…

 第1話では、栃木県のホテル3社がウエディング費用をめぐってカルテルを結んでいる疑いがあり、公正取引委員会・第六審査(通称ダイロク)の小勝負勉(坂口健太郎)と白熊楓(杏)が現地調査に向かった。だが、カルテルの中心人物と目される「ホテル天沢」のオーナー・天沢雲海(山本耕史)が一枚上手で、結果は出ないばかりか、逆に雲海に公取まで乗り込まれてしまい、カルテルの調査は棚上げになってしまう。代わりに下請けいじめのセンで調査を進め、ホテル長の長澤俊哉(濱津隆之)が大事に抱えていたノートパソコンを押収することに成功したのだが……。

 第1話ラストで、雲海はテレビに出演し「日光市の老舗の花屋6店舗が結託して不正行為を行なっています」と、ホテル側が被害者だとする主張を世間にアピールする。これにより、花屋が結託している疑いを最優先で調査することになってしまう。しかも、何らかの圧力により、ホテル天沢の納入業者いじめの調査は年内までと期限を区切られてしまった。ノートパソコンからも有力な情報は得られず、ホテル天沢に対する調査は行き詰まる。

 小勝負と白熊は、ホテル天沢をクビになったホテル長の長澤のもとを訪ねる。当初はまったく相手にされなかったが、ノートパソコンにあった謎の寄付金の流れを家の前で叫ぶ小勝負を、長澤は渋々家に招き入れることに。しかし雲海の影響力は絶大で、天沢グループとつながりのある飲食店に再就職することになっている長澤は、ウエディングのカルテルについても、納入業者いじめについても口を割らない。小勝負は、雲海の支配下にあるこの街でも、たったひとりだけ雲海に立ち向かった人がいると言って、長澤の娘が雲海に対し「どうしてパパをクビにしたの?」と涙ながらに訴えたことを明かす。

 この小勝負の説得に心を動かされた長澤は後日、小勝負と白熊のもとに向かう。そして納入業者いじめの中心人物はブライダル部門長の碓井健司(赤ペン瀧川)で、「事務所を調べれば何か出るはず」と訴える。雲海が沖縄出張で不在になる日を狙い、有給休暇を消化中のため形式上はまだホテル長である長澤が許可することで緊急立入検査が実現することに。飛行機の遅延のために雲海が出張を取りやめて戻ってくるというピンチもあったが、無事に検査を終え、納入業者いじめの証拠を掴んだダイロクメンバーたち。だが、雲海は「私の知らないところでそんなことが」ととぼけ、すべての責任を碓井に被せる。

 ウエディング料金のカルテルについては資料の存在すら否定する雲海に、「これで1勝ですね」「俺たちまだ、諦めてないんで」と宣戦布告する小勝負。納入業者いじめについては排除措置命令が出ることが確実になり、さらに翌日、小勝負と白熊は、長澤からカルテルの資料の保管場所がわかったと連絡を受ける。大逆転か……と思いきや、案内されたホテルの旧館の一室にふたりは閉じ込められてしまうことに。「ごめんなさい」と謝る長澤。その肩を叩き、「ご苦労さん」と声を掛けたのは雲海だった――。

原作小説をじっくり3話かけて…でもその後は?

 今回印象的だったのは、ホテル天沢から納入業者いじめを受けていた老舗の花屋の立ち位置だろう。白熊は、納入業者いじめに遭い、夫も雲海への殺人未遂容疑で逮捕された「フラワーショップ石田」の石田七瀬(野村麻純)に同情し、無意識に肩入れしていたが、花屋の結託はあっさりと証拠が揃い、排除措置命令が出ることに。もちろんフラワーショップ石田も結託に加わっており、ホテルや斎場の大きな仕事から新規参入店を締め出していたのだった。ホテル天沢との関係ではフラワーショップ石田は弱者だったが、一方でフラワーショップ石田も、新規店舗に対しては強者の立ち位置だった。ドラマ冒頭、優越的地位の濫用の説明をする小勝負は「どこから見るかによって弱いものって変わりますからね」と話していたが、まさにこのことだった。

 調査対象にも情がわいてしまう白熊は、七瀬に一度裏切られしまうが、それでも怒ることができない。割り切れない白熊が「怒れ、戦えって小勝負さんは言いますけど、それって本当にいいことなんですか?」「強い人が勝って、弱い人が負ける。そんな世の中でいいんですか?」と問いかけると、小勝負は「ずるした人が勝つ世の中よりはいいでしょう」と“競争の番人”の役割を説き、「人には怒らなきゃいけないときがあるんだよ」と伝える。SNS上では「かっこいいな」「小勝負くんのタメ口が新鮮」と時折出る小勝負のタメ口に大きな反響が寄せられていた。

 山本耕史演じる雲海の悪役っぷりも大きな話題となっているが、しかしこのホテルのカルテル問題が3話にまたがるストーリー展開に対し、「まだ引っ張るのか。3話は長すぎる」「初回・2回目で完結して」との声も出ている。公正取引委員会という馴染みの少ないお役所が舞台となっているだけに、序盤のエピソードはテンポよく解決したほうが視聴者を引き込めたのではないだろうか。

 さらに気がかりなのが、7月25日放送の第3話でこのカルテル調査が完結することになりそうなのだが、それはつまり、原作小説の内容を終えてしまうということ。そう、同じ原作者の映像化で、前期の月9ドラマだった『元彼の遺言状』と同じパターンなのだ。『元彼の遺言状』は原作小説の内容を2話までで終えてしまい、あとは同じ主人公の短編集からのエピソードとドラマオリジナルを交えて展開したが、好評とは言い難かった。特に2話で原作小説を終えたことについては、かなり駆け足気味だったこともあって批判的な声も多く上がった。この反省を踏まえて、『競争の番人』では“原作消化”に2話ではなく3話を投じたのだろうか。

 公正取引委員会という珍しい題材ながら、共感性の高いセリフも散りばめられ、豪華キャストによる演技も安定感があり、見どころも多い。だからこそ、このストーリー展開には一抹の不安もよぎる。原作消化後の第4話以降はまたドラマオリジナルになるのだろうか。

 いずれにせよ、「弱者の戦い」を掲げているだけに、まずはカルテル調査の案件が、視聴者がスッキリするような結末を迎えることを期待したい。

■番組情報
月9ドラマ『競争の番人
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:坂口健太郎、杏、小池栄子、大倉孝二、加藤清史郎、小日向文世、黒羽麻璃央、大西礼芳、石川萌香、寺島しのぶ ほか
原作:新川帆立『競争の番人』(講談社)
脚本:丑尾健太郎、神田優、穴吹一朗、蓼内健太
音楽:やまだ豊
主題歌:idom「GLOW」
プロデュース:野田悠介
演出:相沢秀幸、森脇智延
制作・著作:フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyosonobannin/index.html

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/07/25 12:00
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