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安倍元首相の患った「潰瘍性大腸炎」、世界初“ミニ臓器”による移植治療実施

文=鷲尾香一(わしお・こういち)

安倍元首相の患った「潰瘍性大腸炎」、世界初ミニ臓器による移植治療実施の画像1

 凶弾に倒れ亡くなった、安倍晋三元首相が患っていた持病が「潰瘍性大腸炎」だった。その潰瘍性大腸炎に対して、東京医科歯科大学研究グループは7月7日、世界で初めて“ミニ臓器”による移植治療を実施した。
 https://www.tmd.ac.jp/press-release/20220707-1/

 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、腹痛や血便を伴う下痢を起こす原因不明の病気で、症状が重い場合には入院や大腸全摘術が必要になる。厚生労働省の難病対策における「指定難病」の一つで、国内には22万人以上の患者がいると推計されている。

 近年では、炎症を制御し症状を抑えるためのさまざまな治療を選択することが可能となったが、病状を長く良い状態に保つためには症状や炎症だけでなく、炎症によって傷んだ腸の粘膜上皮を修復再生することが重要。

 だが、潰瘍性大腸炎は腸の修復再生が滞る難治性潰瘍のため、大腸の組織再生を促す治療の選択肢はなかった。

 発表によると、そこで、研究グループは粘膜上皮再生の起点となる腸上皮幹細胞を含むオルガノイドを潰瘍性大腸炎の患者自身から採取した少量の組織から樹立し、大量のオルガノイドに増やした上で内視鏡を使って移植する技術を開発した。

 オルガノイドは「ミニ臓器」とも呼ばれるもので、体外で3次元構造を持ちあたかも小さな臓器のような構造と機能を備えた細胞の集合体。

 今回移植に使われた腸上皮オルガノイドは、腸上皮幹細胞を含み、適切な環境と操作の下で大量・長期に増やすことができる。

 研究グループは伴う潰瘍性大腸炎の患者から内視鏡を使って少量の粘膜組織を採取し、患者自身の腸上皮幹細胞を含む「自家腸上皮オルガノイド」を樹立した。

 これを培養することで、必要な規格を備え、かつ移植に必要な量まで「自家腸上皮オルガノイド」増やすことに成功した。さらに、内視鏡を用いて標的病変へこのオルガノイドを移植した。

 研究グループは、この患者自身の細胞から培養されるオルガノイドを移植治療に用いた世界初の実施で、「さまざまな臓器におけるオルガノイド医療の実用化に道を拓く第一歩となる」とし、さらに、「この技術を用いた2例目以降の移植を計画しており、これにより潰瘍性大腸炎に対する自家腸上皮オルガノイド移植の安全性および効果が明らかになることが期待される」としている。

 また、潰瘍性大腸炎と同じく難病に指定されおり、小腸・大腸の粘膜等に原因不明の慢性炎症が起きる消化管の病気である「クローン病」など他の消化管難病についても、「この技術を応用・展開することにより、オルガノイド医療の開発が進むことも期待できる」としている。

 安倍元首相も潰瘍性大腸炎に悩まされた。第1次安倍政権は、2006年9月から2007年9月という1年間の短命政権だったが、この時、首相を辞任するに至った理由は潰瘍性大腸炎だった。

 その後、ゼリア新薬の開発した潰瘍性大腸炎の新薬「アサコール」が2009年12月に発売されると、この薬が病状を軽減したことで、2012年12月に安倍首相は再び政権の座に返り咲いた。

 それから約7年8カ月続き、憲政史上最長の政権となった第2次安倍政権は、安倍首相の辞任により、2020年9月に突然、幕を閉じた。この時も辞任の理由は持病である潰瘍性大腸炎の悪化だった。

 安倍元首相が2度も政権を投げ出したのは、共に潰瘍性大腸炎という難病が原因で、もし、この病気が完治できるような治療法が見つかっていれば、今なお日本の首相は安倍晋三だったかもしれない。

 今回の治療法により、潰瘍性大腸炎が完治できる病気となることに期待したい。

鷲尾香一(わしお・こういち)

鷲尾香一(わしお・こういち)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」ほかで執筆中。

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Twitter:@tohrusuzuki

最終更新:2022/07/26 07:00

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