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ジャニヲタおじさんのアイドル公論(4)

アイドルとスキル──実力派“非デビュー組”ジャニーズから学ぶ「技術力」の重要性

──ジャニーズを愛するおじさんが考える、アイドルと世相のあれこれ。

アイドルとスキル──実力派非デビュー組ジャニーズから学ぶ「技術力」の重要性の画像1
公式HP「寺西拓人 | Johnny’s net」より

 7月3日に、ミュージカル『四月は君の嘘』の大千穐楽を、私の地元である博多座で観覧しました。主要キャストには、元乃木坂46の生田絵梨花さんをはじめ、テレビや舞台で活躍する若手俳優が名を連ねています。そしてその中に含まれているのが、ジャニーズ事務所に所属する俳優、寺西拓人くんです。ジャニーズが好きな方であれば、知る人ぞ知る存在だとは思います。ですが。いわゆるCDデビューを果たしているグループしか知らないライトなファンにとっては、まだ馴染みの薄い存在かもしれません。ただ、この寺西くん、舞台が好きな方であれば、知っておいて損はない俳優だと私は思います。

 寺西拓人くんは現在27歳です。ジャニーズ事務所に入所したのが14歳のときなので、10年以上のキャリアを誇ります。昨年ジャニーズJr.を卒業し、現在俳優として活動しています。ジャニーズで俳優と言えば、生田斗真くんや風間俊介くんが思い浮かびます。寺西くんも、彼らと同じく「CDデビュー」ではなく、俳優業をメインに舵を切ったジャニーズです。寺西くんの魅力と言えば、その全方位的なスキルの高さだと思っています。歌ってよし、踊ってよし、演じてよし。トークをさせても面白いし、弾き語りもできてしまう。しかも、ただ単にいろんなことができるだけでなく、その1つ1つがきちんと磨かれていて、レベルが高い、そんなところが、彼の魅力です。

 私が初めて目の前で寺西くんを観たのは、やはり博多座で開催されたミュージカル『Endless SHOCK』でした。舞台映えのするビジュアルに、ダイナミックで力強いダンス、繊細な場面に対応できる演技力と、彼の才能に将来性を感じたことを覚えています。あと、特別印象深かったのが、テレビ番組『ザ少年倶楽部』(NHK BSプレミアム)で、屋良朝幸くんや浜中文一くんたちと披露した、KinKi Kids『Misty』のカバー。あのときのハイレベルなパフォーマンス、今でもたまに録画を見返します。こういうパフォーマンスができる人がジャニーズにいるということを、もっとたくさんの人に知ってほしい、そう今でも思っています。

 今回、『四月は君の嘘』という舞台で、寺西くんがジャニーズ以外の役者とどう渡り合うのか、非常に楽しみにしていました。……いや、本当に期待以上のパフォーマンスでした。私が観た回で主演を務めた木村達成さん(小関裕太さんとWキャスト)の歌と演技も非常に素晴らしかったのですが、寺西くんの歌、ダンス、演技、どれも見劣りすることなく、『SHOCK』を観て将来性を感じていた彼のスキルが間違いないものであったことを、5年越しに確信したのでした。この舞台を観て、寺西くんのことが一層好きになりました。

 私は、ジャニーズに限らず、明確にスキルを売りにできるアイドルが好きです。理由は2つあります。1つは、シンプルに、カッコいいと思う瞬間に魅了されるからです。彼らが歌やダンス、その他のさまざまなスキルを発揮したときの、体温が上がるような興奮を得たくて、私はアイドルを応援しているのかもしれません。そしてもう1つは、スキルが努力の証だからです。彼らが生まれながらにして持つ才能、アイドルになる前から能力を育んできた環境、そしてアイドルになってから人を楽しませることと向き合ってきた努力、さまざまな要素がスキルには凝縮されています。スキルは嘘をつかない、スキルをきちんと磨いてきた跡が見られるアイドルが好き、これは私のアイドル観の根幹です。

 アイドルがスキルを遺憾なく発揮したとき、そのアイドルのことを好きになる、そんなことが往々にしてあります。歌声に魅了されて好きになることもあるでしょう。ダンスにその人の魅力を感じて好きになることもあるかもしれません。もしかしたら、アイドルなのに大きな笑いを取る姿に好きと感じることもあるでしょうし、アイドルなのに大きな魚を捌く姿に惚れるなんてこともあるでしょう。アイドルのスキルが発揮されて、アイドルが輝いた瞬間に立ち会うと、私たちのそのアイドルに対する印象は一気にポジティブになります。このとき、スキルの輝きはアイドル自身の輝きになります。つまりスキルを磨くことは、アイドルにとっての大きな武器になる、私はそう考えています。

スキルが高くなくともアイドルはアイドル

 一方、スキルが優れていなければアイドルじゃないかと言われれば、実は決してそうではないと私は考えています。スキルは重要な要素の一つではありますが、スキルが優れているからと言って、それがアイドルとして優れている証しかと言われると、正直ちょっと違和感があります。ミュージシャンより歌唱力が劣っていたからと言って、ダンサーよりダンススキルが足りないからと言って、お笑い芸人ほど高度な笑いができないからと言って、アイドルとして魅力がないわけではありません。その意味で、アイドルとしての評価は、実はスキルとそれほどリンクしないと言えるかもしれません。

 極論かもしれませんが、何かに特化したスキルなんか全然なくても、アイドルは十分成立すると思っています。歌わなくても、踊らなくても、その姿を見ているだけで、楽しくなったり、幸せな気持ちになることがあります。アイドルを好きになるきっかけだって、笑った瞬間がかわいかったからとか、しゃべってる姿が気になったからとか、スキルと関係ないところで生まれるものも多々あります。突き詰めると、スキルなんかなくても、アイドルは存在しているだけで、アイドルとして成立する、そう私は思うのです。

 実際、私が子供の頃に好きだった80年代のアイドルで、当時のポピュラー歌手より歌が優れていたかと言われれば、そもそもそんなもの比べることもありませんでした。ダンスなんて、今のアイドルのダンスに対する成熟度を考えれば、当時のダンスなんて比べるに値しないものがほとんどです。それでも私が子供の頃、他に歌やダンスが優れた人たちがいながら、アイドルの歌やダンスに魅了されていたのは、上手下手ではなく、そのアイドルが歌って踊る姿に、幸せを感じていたからです。スキルがあるからアイドルなのではなく、存在だけで人を幸せにするからアイドルなのです。

 にもかかわらず、私がスキルを重視するのは、スキルがアイドルであり続けようとする意志の表れだから、という思いがあるからです。

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