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室伏広治、五輪汚職に「悲しい」「つらい」お気持ち表明  スポーツ庁長官“お飾り”の軽さ

室伏広治、五輪汚職に「悲しい」「つらい」お気持ち表明  スポーツ庁長官お飾りの軽さの画像1
室伏広治(Getty Images)

 せっかくの金メダリストの名声が、こんなことで地に落ちてしまうのか?

 東京五輪のスポンサー選定を巡る汚職疑惑で、室伏広治・スポーツ庁長官が「残念というか悲しいような」「つらい思いをしている」とコメント。あまりに内容がなく、お気持ちの発表でしかない発言で、世間から失笑を買っている。

 今回の疑惑は、紳士服大手のAOKIと出版大手のKADOKAWAが、スポンサーに選定してもらうために大会組織委員会の元理事にカネを渡していたというもの。冒頭の室伏の発言は、9月1日の定例会見で記者からコメントを求められ、所感を述べたものだ。

「今回の汚職疑惑では、AOKIやKADOKAWA、さらに元理事が務めていた電通などの企業の名前が大きくクローズアップされていますが、スポーツ界として一番の問題は、2030年に誘致を目指す札幌冬季オリンピックのゆくえです。バンクーバーとソルトレイクシティも手を挙げる中、札幌は本命視されていましたが、汚職事件は海外でも大きく報じられており、札幌市長がIOC(国際オリンピック委員会)を訪問する計画は、先方から“タイミングが悪い”と断られました。

 JOC(日本オリンピック委員会)の山下泰裕会長は、かねてより地元の支持率の低さを課題として挙げていましたが、そこへ畳み掛けるように汚職疑惑が持ち上がった。一方、東京五輪は“コンパクト”を掲げていたのに、結局は当初の予算を大幅に上回った。一部では“もう札幌で決まり”、“出来レース”とまで言われていましたが、IOCは支持率を非常に重要視しているという情報もあり、『これで一気に遠のいた』という声が上がっています」(スポーツ紙関係者)

 そんななか、本来であれば存在感を発揮しなくてはいけないのがスポーツ庁長官だ。スポーツ庁は2015年に設置されたスポーツ行政を取り仕切る機関で、初代長官はソウル五輪水泳金メダリストの鈴木大地。そして2代目の室伏広治は、ご存知の通り、日本が誇るハンマー投げの金メダリストだ。しかし、スポーツ界全体が背負う深刻な問題へのコメントは、いささか弱々しいものだった。

「スポーツ庁は、東京五輪開催決定を受け、スポーツにまつわるさざまな政策を総合的に実現するために作られたもの。初代長官には当初、Jリーグチェアマンの川淵三郎の名前が上がっていましたが、水面下で“もっとフレッシュな人材を”という声が上がり、結局40代の鈴木大地が選ばれました。

 決め手となったのは、文教族(※教育政策に対し影響力をもつこと。文部科学省とのつながりが深いこと)のドンで、東京五輪の組織委員会委員長も務めた森喜朗の存在です。森は、日本水泳連盟の会長の鈴木に何度か国政選挙への出馬を打診しており、関係は深かった。一方、室伏も五輪の組織委員会のメンバーで、やはり森とは昵懇の仲。任期は最長5年で、報酬も年間で約1800万円というオイシい仕事です。

 鈴木や室伏が長官に就任した時、森は『イメージがいい』『顔が広い』『語学が堪能』といったコメントを残しており、ハッキリ言って彼らの仕事はただのお飾り。ただ、極めて深刻な状況を前にして『悲しい』『つらい』という言葉はさすがに軽すぎました。汚職問題はまだまだ広がりそうで、世間の怒りの矛先がスポーツ庁に向けられる可能性もあり、一気に矢面に立たされる場面もあるかもしれません」(フリーのスポーツライター)

 金メダリストの意地にかけても疑惑解明に乗り出して欲しいが、持ち前のパワフルさは発揮されるか?

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2022/09/09 07:00
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