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円安、インフレで“洋楽離れ”? ビリーアイリッシュもレディガガもチケット高騰でファン心痛

円安、インフレは日本の音楽業界にも深刻な影響を及ぼす?

 また、日本では1990年代からほとんど物価が上がっていませんが、そんな国は日本だけ。海外は賃金も物価も上昇しているので、アーティストのギャラは着実に上っています。それは当然、チケット代に転嫁されます。

 そして最も大きな理由は、サブスクの普及でCDが売れなくなり、アーティストはライブで稼ぐことが重要視されていることです。かつてはアルバムの売上だけで食べていくことも可能でしたが、今や音楽はタダ同然で聞けるようになり、アルバム制作に掛かった費用を回収する場所はライブ会場しかない。いきおいチケット代は高くなりますし、グッズも大量に作って、何とか収支を合わせているのです」(コンサートプロモーター関係者)

 さらに追い打ちを掛けているのが円安だ。何せ年初には1ドル110円台半ばだったドル円相場は、先日には144円を記録。実に3割近くも下げており、それはダイレクトに洋楽ファンの財布を直撃している。

「先日、音楽関係者の間で話題になったのが、ビリー・アイリッシュの来日公演(※先述)です。ビリー・アイリッシュは2020年に来日公演が決まっていましたが中止になり、今年8月に改めて来日公演が行われました。そのチケット代ですが、中止になった2020年はSS席1万5000円、S席1万2000円だったのに対し、今年8月の公演はSS席が2万5000円、S席が1万9000円と、一気に跳ね上がりました。この間にアーティストとしての格が上がったこともありますが、急激な円安も影響したのは間違いありません。

 海外アーティストへのギャラはドルで払うので、契約してからライブをやるまでに円安が10円も20円も進めば、払う額は何百万円も変わってしまう。下手したら儲けが円安で吹っ飛ぶこともあり得るわけで、リスクヘッジのためにチケット代が高く設定される状況はしばらく続きそうです」(音楽ライター)

 さらに、こんな指摘もある。

「邦楽のフェスなら1日で2万円前後、通し券なら1日あたり1万5000円前後で楽しめるのに、洋楽のライブに行くと1バンドで2万円近く取られるのなら、若者は邦楽のフェスを選ぶでしょう。

 そもそも高額のチケット代を取る洋楽アーティストのファンはおおむね中高年ばかりですし、レコード屋は絶滅寸前で、洋楽に気軽に触れられるコンテンツもなかなかないので、洋楽離れは深刻です。下手すれば“洋楽”という単語さえ死語になりつつある。日本のアーティストは短期的には大歓迎な状況かもしれませんが、今後、日本の音楽シーンはガラパゴス化が一挙に進む可能性は大きいでしょう」(前出・音楽ライター)

 ビートルズが来日したのが1966年のこと。それから半世紀以上を経て、海外のアーティストは再び“雲の上の人”になってしまうのかもしれない。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2022/09/13 20:00
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