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サッカーW杯日本代表、11月のメンバー発表前にマスコミが頭を抱えるある問題

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2022年9月27日の行われた日本代表対エクアドル戦(Getty images)

 4年に1回の大イベント、サッカーW杯まで残り1カ月あまり。11月1日には代表メンバーも発表されるが、ワクワク感が高まるサッカーファンとは対照的に、今ひとつ浮かない顔なのがメディア関係者だ。

「今回のカタール大会は通常のスケジュールとは異なり、11月から12月にかけて行われる冬のW杯。報じるメディアはもちろん、6月~7月開催という暦に慣れたサッカーファンも違和感ありありですが、大会の盛り上がりを大きく左右するライト層が一向に盛り上がらないのは、メンバーが小粒なことです。

 例えば前回のロシア大会には本田圭佑、長友佑都、長谷部誠、香川真司、岡崎慎司、大迫勇也、槙野智章など、個性が強くて知名度も高い選手が何人もいましたが、今回の代表候補で広く名前が知れているのは、長友や大迫を除けば、吉田麻也、久保建英、堂安律ぐらい。W杯の時しかサッカーを見ない層が三笘薫、伊東純也、鎌田大地、冨安健洋、守田英正、前田大然などを知っている可能性は低く、スターがいなくて記事が作れないんです」(スポーツ紙記者)

 ピュアなサッカーファンや純粋にスポーツを楽しみたい人は、選手の知名度やスター性など重要ではないだろうが、ピッチ以外のことも楽しみたいのが“にわかファン”たち。9月
23日に行われた日本代表対アメリカ戦や27日のエクアドル戦は、ギリギリで視聴率が2ケタに乗ったが、スポーツニュースなどでも扱いは思いのほか小さかった。

「日本代表は今回で7大会連続のW杯出場ですが、これよりも長く連続出場を続けているのはブラジル、ドイツ、スペイン、メキシコ、アルゼンチン、そして同じアジア地区の韓国だけ。1998年の初出場や2002年の日韓W杯の時は、まさに“狂乱”という言葉が相応しい盛り上がりでしたが、徐々に出場するのが当たり前になり、『アジア地区は楽なのでは……』ということに薄々気付き始めてしまった。実際、出場は続けていますが、最高でもベスト16止まりですしね。

 しかも今回は予選でスペイン、ドイツ、コスタリカという“死の組”に入り、過去7大会で最も厳しい戦いになるのは確実です。出場の感動が薄れたことに、クジ運の悪さによる諦めムードも加わって、今の冷めた状況が生まれているのだと思います」(週刊誌スポーツ担当記者)

 ちなみに最新(10月6日時点)のFIFAランキングは、日本の24位に対し、スペインが7位、ドイツが11位、コスタリカが31位。対戦はドイツ、コスタリカ、スペインの順なので、スペイン戦には最低でも1勝1分で臨みたいが、現在の状況は日本代表にはむしろ好都合だという意見もある。

 Jリーグが開幕する前から日本サッカーを見つめてきたベテランスポーツライターは言う。

「大会が注目されるのは喜ぶべきことですが、これまでの大会は騒がれすぎた。それが悪いほうに出たのが2014年のブラジルW杯です。本田、岡崎、香川、大迫、長谷部、長友、大久保、遠藤らを擁したメンバーは“史上最強”と呼ばれ、本田や長友は『目標は優勝』と公言。他の選手からも『自分たちのサッカーをやれば勝てる』といったセリフが漏れましたが、フタを開けてみれば1分2敗の惨敗に終わりました。プレッシャーを力に変えようとして、完全に失敗したのです。

 その点、今回は予選の相手が悪く、ハッキリ言って期待値は低い。むしろ、のびのびとプレー出来る環境は整っています。スター選手が少ないという声もありますが、知名度が低い選手が多いのは、代表メンバーの新陳代謝が進んだ結果。メンバーの大半はヨーロッパのトップクラスで揉まれている選手ばかりで、過去の代表とまったく遜色はありません。

 勝ち進めば日本中が一気に盛り上がり、その話題一色となるのは、オリンピックや野球のWBCなどを見れば明らか。あまり話題になりませんが、実は森保一監督の勝率は代表監督歴代1位ですから、気付けば“森保ジャパンフィーバー”になっているかもしれません」(ベテランスポーツライター)

 まずは予選突破だが、カタールW杯は日本サッカー史上に残る大会となるか。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2022/10/10 11:00
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