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『カラダ探し』橋本環奈のコメディエンヌっぷりが、恐怖演技にエスプリを加える!!

『カラダ探し』橋本環奈のコメディエンヌっぷりが、恐怖演技にエスプリを加える!!の画像1
©2022「カラダ探し」製作委員会

 今年も映画『バイオレンスアクション』や『キングダム2 遥かなる大地へ』などの出演作が公開され、絶好調。大みそかの『NHK紅白歌合戦』の司会にも抜擢され、話題に。そんな橋本環奈の最新作にして、初のホラー映画出演作となる『カラダ探し』が、10月14日から公開されている。

 本作が目指したのは、海外ティーンホラーということもあって、橋本環奈の他にも眞栄田郷敦や山本舞香、神尾楓珠といった、誰が主役をやってもおかしくない、日本映画・ドラマ界の最前線で活躍する若手俳優が集結している。

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©2022「カラダ探し」製作委員会

 また原作の小説が、和製ホラーよりも『13日の金曜日』(1980)や『エルム街の悪夢』(84)などの海外ジャンルホラーから着想を得ていることもあり、海外色が強い演出も特徴だ。しかも、映画版では『エクソシスト』(73)や「死霊館」シリーズといった、スーパーナチュラル(超常現象)系もミックスされている。さらに加えてゲーム的な要素も組み込まれていることから、日本映画としてはいまだかつて観たことのないジャンルに仕上がっている。

 “終わって欲しいけど、終わってほしくない日々”を何度も繰り返す苦痛と並行して、共通の問題に立ち向かうことで築かれていく友情、そしてそれがかけがえのないものにもなっていくーー「あれ、この映画のジャンル何だっけ?」と思ってしまう、そんな新感覚・新体験なホラーでもあるのだ。

【ストーリー】
7月5日。主人公の女子高生・明日香(橋本環奈)はいつも通りの高校生活を送っていたが、学校にいるはずのない幼い少女から「ワタシのカラダ、探して」と不気味な言葉を言われる。不思議なできごとに違和感を覚えつつ、その日もいつも通り1日を終えようとしていた。しかし、深夜0時を迎えた瞬間、気付くと明日香は深夜の学校にいた。そこには、明日香と幼馴染だが遠い存在になってしまった高広(眞栄田郷敦)と、普段接点もないクラスメイト4人がいた。何が起きているのか分からない6人だったが、そこへ突如、全身が血で真っ赤に染まった少女“赤い人”が現れ、全員を次々に殺していく。全てが終わったかと思ったその時、明日香は自分の部屋のベッドで目を覚ます。そこは再び「7月5日」の朝だった……。

橋本環奈、アイドルからコメディエンヌへ独自の道を突き進む!

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(右)橋本環奈、(左)眞栄田郷敦。©2022「カラダ探し」製作委員会

 橋本環奈といえば、福岡のご当地アイドル時代に「天使すぎる」として話題となり、『セーラー服と機関銃 -卒業-』(16)や『ハルチカ』(17)などの主演に抜擢され、順調にアイドル的女優の道を進んできていた、はずだった……。

 が、しかし近年はアイドルというより、コメディエンヌという印象のほうが勝っている。

 その要因としては、やはり『銀魂』シリーズや『斉木楠雄のΨ難』(17)、『今日から俺は!! 劇場版』(20)といった、福田雄一監督作品における橋本環奈の扱いの影響にほかならない。

 毎回、変顔を要求されてもやってのける度胸と精神力の強さと、自分のイメージへの影響を気にしない橋本の姿勢は素直にスゴい。

 良し悪しはともかく、その影響は飛び火しており、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(19)は福田監督作品ではないものの、明らかに意識したものとなっているし、キラキラ恋愛映画の『午前0時、キスしに来てよ』(19)ではヒロインなのにリアルな自虐ネタも盛り込むなど、通り一遍のアイドルや若手俳優なら躊躇するようなこともやってのける。橋本が映画やドラマにひっぱりだこになるのも納得であろう。

 意外な感じがするかもしれないが、実は橋本環奈にとって、今作が初のホラー映画。つまり、普段のコメディエンヌっぷりを封印して恐怖演技に挑んでいるのだ。それでもどことなく、おもしろさが隠しきれてない感じがしないでもないのは、なぜだろう……。

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 そもそもホラーというジャンル自体が、恐怖とおバカの境界線に位置している作品も多い。そのふたつは表裏一体というか、紙一重なのだろう。橋本の存在によって、それはそれでホラー色が増すし、福田作品で鍛えられた「変顔」が、心からの恐怖の叫びを演じるうえでうまく生かされているのだ。

 そう考えると、日本映画界において、ここまで全身全霊全力で恐怖を表現してくれる若手俳優はなかなかいないのではないか? そんな橋本環奈は、日本映画界の財産と言っても過言ではない!!

 

『カラダ探し』
10 月 14 日(金)、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

主演: 橋本環奈、眞栄田郷敦、山本舞香、神尾楓珠、醍醐虎汰朗、横田真悠、栁俊太郎、西田尚美、柄本佑ほか

原作:ウェルザード「カラダ探し」(エブリスタ)
監督:羽住英一郎
脚本:土城温美
主題歌:Ado 「行方知れず」 作詞 作編曲 椎名林檎(ユニバーサル ミュージック)
作:「カラダ探し」製作委員会
制作プロダクション:ROBOT 製作幹事・配給:ワーナー・ブラザース映画

公式 Twitter:@karadasagashi_m
公式 Instagram:@karadasagashi_movie

バフィー吉川(映画ライター・インド映画研究家)

毎週10本以上の新作映画を鑑賞する映画評論家・映画ライター。映画サイト「Buffys Movie & Money!」を運営するほか、ウェブメディアで映画コラム執筆中。NHK『ABUソングフェスティバル』選曲・VTR監修。著書に『発掘!未公開映画研究所』(つむぎ書房/2021年)。

Twitter:@MovieBuffys

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ばふぃーよしかわ

最終更新:2022/10/19 14:09
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