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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.712

韓国で大ヒットした新型パニック映画! 欠陥住宅をめぐる恐怖『奈落のマイホーム』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

韓国で大ヒットした新型パニック映画! 欠陥住宅をめぐる恐怖『奈落のマイホーム』の画像1
マンションを手に入れて、大喜びするドンウォン(キム・ソンギュン)一家

 大地震、大火災、大水害、人喰いザメ、巨大隕石の落下、謎のウイルスの感染爆発……。さまざまな災害が人類を襲うパニック映画が、これまで数多くつくられてきた。韓国では実話系マッドマックス『モガディシュ 脱出までの14日間』(21)に続く、2021年の年間興収第2位の大ヒットを記録した『奈落のマイホーム』(英題『SINKHOLE』)は新種のパニック映画となっている。「シンクホール」と呼ばれる都市型災害を題材に、名もなき市井の人々が闘う姿を描いた作品だ。

 シンクホールとは、地下が空洞化し、地表に大きな穴が開く現象のこと。2016年に福岡市のJR博多駅前の公道が直径30mに及んで大陥没したニュースを覚えている人も多いだろう。地下鉄工事などの人為的な掘削や、地下水の過剰な汲み上げなど、さまざまな要因からシンクホールが発生している。酸性雨によって、石灰岩やコンクリートなどが侵食されやすくなっていることも関係づけられている。

 韓国では、ソウルにある超高層ビル「ロッテワールドタワー」の周辺でシンクホールが多発しており、大きな騒ぎとなった。年間平均で900以上ものシンクホールが韓国では発生しており、そのうち78%がソウル市内で発生したものだそうだ。

 本作の主人公となるのは、平凡なサラリーマンであるドンウォン(キム・ソンギュン)とその家族。ソウル市内にある会社に勤めるドンウォンはずっと遠距離通勤を続けてきたが、11年越しでようやくソウル市内にあるマンションを手に入れた。妻のヨンイ(クォン・ソヒョン)も、ひとり息子のスチャンも、大喜びだ。久しぶりに家族一緒での朝食を楽しみ、会社に向かおうとするドンウォンだった。

 ところが、息子のスチャンが不吉なことを口にする。ビー玉を床に置くと、転がるというのだ。確かに、床に置いたビー玉は勝手に転がり始めた。新居に引っ越したばかりで浮かれていたが、窓は閉めにくく、水道水の出も悪い。もしかして、欠陥住宅なのか? 苦労して手に入れたマイホームだけに、すぐには信じたくないドンウォンだった。

 悲劇は唐突に訪れた。会社の部下たちを招いた引越しパーティーの翌朝、大きな地響きと地割れが起き、ドンウォンたちの暮らすマンションは、丸ごと地下へと沈んでいく。パーティーで飲み過ぎて、ドンウォン宅に泊まったキム代理(イ・グァンス)とインターンのウンジュ(キム・ヘジュン)も、この大災害に巻き込まれてしまう。酔いから覚めたドンウォンたちは、自分らが地表から500mもの地底に埋没したマンションにいることに愕然となる。

 長年の夢だったマイホームが埋没したショックに加え、家族の安否も分からないという二重三重の恐怖がドンウォンを襲う。住宅ローンや家賃の支払いに頭を悩ませている世代には他人事とは思えない、都市型ディザスタームービーの襲来である。

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