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『すずめの戸締まり』配給元が“独禁法スレスレ”のゴリ押しも…早くも失速か

文=黒崎さとし(くろさき・さとし)

『すずめの戸締まり』配給元が“独禁法スレスレ”のゴリ押しも…早くも失速かの画像
映画公式サイトより

 『君の名は。』『天気の子』と立て続けに記録的なヒットを飛ばしている新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』が11月11日に公開。大方の期待通りロケットスタートを切ったが、批判も集まるほどの配給元による“ゴリ押し”ぶりの反面、その勢いは長くは続かないとの見方も出ている。

 同作は、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる「扉」を閉めていく少女・岩戸鈴芽(すずめ)の解放と成長を描く冒険物語。1700人を超えるオーディションから抜てきされた女優の原菜乃華が主人公の声を担当し、ほかにジャニーズ事務所の人気グループ・SixTONESの松村北斗を始め、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉らが声優として参加している。

 11日に公開されると、11月12日と13日の土日2日間で観客動員98万3000人、興行収入13億8600万円を記録。公開3日間の累計成績(11月7日のIMAX先行上映分含む)は、動員133万人、興収18億8400万円を記録した。これは、これまでの新海誠作品と比べても圧倒的な勢いで、2016年の『君の名は。』(累計250億3000万円)対比で動員138.7%、興収147.4%、2019年の『天気の子』(累計興収141億9000万円)対比で動員114.9%、興収114.7%というロケットスタートとなった。

 翌週も土日2日間(11月19日と20日)で動員82万9000人、興業収入11億4700万円で、「国内映画ランキング」(興行通信社調べ)2週連続1位となり、累計成績は動員299万人、興収41億5400万円。だが、この“大ヒット”にはカラクリがあるという。

「『君の名は。』が296館でのスタートだったのに対して、『すずめの戸締まり』は通常版379館、IMAXを含めると400館超えとなる異例の規模での公開だったので、『君の名は。』の数字を大幅に上回るのは当たり前。さらに、配給元の東宝直営となる首都圏の『東宝シネマズ』では、今月11日の公開時には1日20回~30回も上映。TOHOシネマズ新宿ではスクリーン全体のおよそ4割が『すずめ』に割り当てられた結果、ほかの作品が締め出されるような状態となり、批判の的となった。その後も15回~20回の上映で、ほかの配給会社から独占禁止法違反でクレームが入ってもおかしくないレベル。ヒット作になることが始めから約束されている」(映画担当記者)

 ただ、このロケットスタートによって、『君の名は。』のような爆発的な伸びは期待できないのではないかとの見方もある。

 296館スタートの『君の名は。』は、最初の公開2日では興収7.7億円と、新海作品として前作を大幅に上回る成績だったが、この時点では最終興収60億円程度の出足と見られていた。ところが、公開10日で38億円を突破と2週目以降急速に伸び始め、公開から28日間で100億円を突破するなどハイペースで数字を積んでいった。

 一方、『君の名は。』の大ヒットを受けて全国359館448スクリーンで公開された『天気の子』は、最初の公開2日では興収11.8億円と『君の名は。』を大きく上回ったものの、公開10日で39億円突破とペースが落ち始め、100億に乗せるまで34日かかった。

「『すずめの戸締まり』はさらなる大規模で公開されており、加えて上映回数も大きく増えていることを考えると、公開2日で13.8億円を記録したものの、公開10日で累計41億円突破というペースからは、初速こそ勢いはあったが、以降は『君の名は。』『天気の子』と比べると失速気味……と見ることもできる。しかも今回は、『君の名は。』『天気の子』のときと違って、300万部限定で『新海誠本』というファン垂涎の上映特典も配布しており、むしろ東宝はなんとか数字を上乗せしたいと必死になっているようにすら感じられる」(同)

 配給元の東宝は、『天気の子』の累計141.9億を上回る成績を期待しており、そのへんが“ゴリ押し”に作用したと見られるが、その背景にはそれなりの理由があるという。

「11月20日までで東映配給の『ONE PIECE FILM RED』が興収184億円で、ぶっちぎりで今年の興収トップを独走中。一方、東宝は、昨年末公開の『劇場版 呪術廻戦 0』が100億超えの大ヒットとなったし、4月公開の『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』も、作品に合わせてハロウィン時期にリバイバル上映を行って97.4億まで乗せた。ただ、対する東映は12月3日に『THE FIRST SLAM DUNK』の公開が控えており、予告映像のCGや、声優交代などの問題から前評判はいまひとつなものの、なんだかんだヒットするのではと見られている。東映との“アニメバトル”を意識して、東宝としては『すずめの戸締まり』でできるかぎり稼ごうという算段なのだろう。また、『すずめ』の企画・プロデュースを務めている川村元気氏は、初監督作品『百花』が東宝配給で250館以上の規模で展開されたものの、累計6億円に届かないレベルの大コケだったので、その穴埋めもしたいところだろう」(映画業界関係者)

 賛否を呼ぶ上映回数は、『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』を始め、『劇場版 呪術廻戦 0』『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』で繰り返されており、『すずめの戸締まり』もその成功例に倣った形だが……。『ONE PIECE FILM RED』は2週目までの興収が64億7400万円、公開から20日間で100億円突破。東宝の期待を背負った『すずめの戸締まり』は『ONE PIECE FILM RED』にどこまで迫れるだろうか。

黒崎さとし(くろさき・さとし)

黒崎さとし(くろさき・さとし)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。

最終更新:2022/11/23 21:07

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