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『ぽかぽか』の『いいとも』っぽさ、お笑い生態系への影響は

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『ぽかぽか』(フジテレビ系)

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(1月8~14日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

東野幸治「ほぼ『マルコポロリ!』の優勝ということでよろしいですか?」

 ウエストランドの優勝で幕を閉じた昨年のM-1グランプリ。年が明けても新チャンピオンは連日さまざまな番組に出演している。

 そんななか、8日の『マルコポロリ!』(関西テレビ)にウエストランドが出演していた。この日は「M-1戦士ちょっとだけ大集合SP」と題した回で、出演ゲストはウエストランドのほかにカベポスターとキュウである。

 で、この『マルコポロリ!』、かつては芸能ニュースを扱ったり、俳優や歌手などをゲストに招いてトークをしたりといったこともあったのだけれど、現在は芸人中心のお笑い色が濃い番組になっている。同番組を見たことがある人はご存知のとおり、全国区の番組ではあまり見られなくなったような強めのイジりも多い。芸人をおいしくイジる番組を“芸人愛がある”みたいに称える向きもあるけれど、そんな言い方もしゃらくさくなるほどである。

 錦鯉が優勝しM-1の感動物語が極まったあとで、そんな風潮にツッコミを入れるウエストランドが優勝するように、お笑いでは特定のベクトルが趨勢を占めると、それをフリにした逆ベクトルの笑いが生まれる。生態系のごとくバランスが図られる。『マルコポロリ!』もまたそんなお笑いビオトープの一角にあり、優しい笑いが好まれると言われるなかにあって、強めの笑いを欲するお笑い好きの一部に愛好されている。

 そんな番組だから、ウエストランドの井口浩之の芸風とのシンクロレベルは高い。過去に何度か出演し、MCの東野幸治をはじめとした芸人たちに強めにイジられてきたし、それに井口も悪口や難癖で応戦してきた。「ウエストランド井口大好きクラブ」と題した彼中心の企画が組まれたこともある。今回のM-1企画への出演も、半年も前からブッキングしていたらしい。

 ウエストランド・井口は、昨年はM-1優勝前からテレビ出演が少しずつ増えていた。それはひとつに『マルコポロリ!』での井口の活躍があるのかもしれない。井口のテレビ露出が増え、キャラクターがある程度知られるようになったことは、M-1優勝の追い風に少なからずなっているかもしれない。だから今回、ウエストランドの優勝を称えるくだりで東野は言う。

「ほぼ『マルコポロリ!』の優勝ということでよろしいですか?」

 そんな『マルコポロリ!』は今回も井口をイジっていく。ただ、そこで面白がられるのは新しいエピソードではない。過去に番組が何度も扱ってきた内容だ。たとえば、いぐクック(井口がYouTubeに上げている料理動画)、いぐビール(井口が芸人仲間などと一緒にビールを飲む動画)、いぐトレカ(井口がTwitterなどに載せている自身の写真)。もちろん、かつて家族の笑いをかっさらったという、面白メガネをかけた幼少期の写真も再度取り上げられる。そんな再放送のような一連の流れに井口がツッコミを入れる。

「まったく同じこと前もやってますよ」

 だが、同じことは何度やっても面白い。というか、何度もやるから面白い。繰り返しのなかで“おもしろ”は育つ。かといって、他の番組が扱いはじめたことはもう言及しない。今回の放送でいえば「いぐちんランド」にはもう触れない。

 お笑いビオトープのなかで、『マルコポロリ!』が占めている一角は笑いが特殊な進化を遂げている。そこは確かに周囲より淀んでいるが、その淀みのなかでこそ息をする笑いもある。

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