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激アツドラマを支える2人が語り合う

『インフォーマ』対談・沖田臥竜×桐谷健太…木原慶次郎というダークヒーローを生んだ男たち

越えたかった2つの作品

――そういう思いの中、沖田さんは、桐谷さんが木原役に決まったとき、原作者が持たれていたキャラクターのイメージと比較して、どういう感想を持たれましたか。

沖田 藤井監督からは、脚本のたたき台を書いてる最中に「桐谷さんはどうですか?」と言われとったんです。ご本人にまだ正式に打診する前のようだったけど、すごくピンと来ました。そこからは、当て書きですよね。桐谷さんが受けてくれようがくれまいが、桐谷さんがしゃべっているイメージでセリフを書きました。
 自分は、娯楽性の高い文芸をやる中で、映像化されることがあったら越えたいと思っていた作品があって、それは黒川博行の『破門』。主人公のヤクザ役を北村一輝さん、相棒のコンサルタント役を濱田岳さんのコンビでドラマ化されているんですけど、それを絶対越えたいなと。

桐谷 (日刊サイゾーに掲載されたコラムで)『インフォーマ』で越えたい作品が2つあると書いてらっしゃいましたが、そのひとつが『破門』なんですね。もうひとつはなんですか?

沖田 敵役の3人が印象的だったのが、韓国映画の『犯罪都市』。今回の森田剛さんたちが演じたヒールの3人組は、『犯罪都市』を越えようと思ってぶつけたんです。
 いつもは他の作家や作品なんて全然意識しないんだけど、小説家として活動を始めて出版業界の人と会うようになって、最初のほうに言われたのが「まだまだあなたは、黒川博行さんにはなれませんよ」という言葉だったんです。これには頭に来て(苦笑)、黒川さんは確かに自分も認めている作家の一人だけど、ヤクザや社会の裏側を扱うジャンルなら、経験と取材では負けていないという自負があった。それに、木原の相棒である三島を週刊誌記者にしたのも、自分の仕事と被るところがあるので勝手がよくわかる。この設定で戦えば、負けないだろうなと思ったんです。実際にドラマでも、三島役の佐野玲於さんと桐谷さんのバディが見事にハマってくれました。二人の動き、声、表情がすごく合っていたなと。

桐谷 そうなんですね。玲於とは初共演でしたが、確かにすごくしっくり来ていましたね。自分が、沖田さんが思い描いていた木原を演じられていたかはわかりませんが、元ヤクザということで、どんな喋り方をして、どんな声を出すんだろうとか、いろいろ思い描きつつも、深くは考えないようにして現場に臨みました。その場で見た景色や起こったことなどを、独特の感受性で受け止めて、行動するのが木原なんじゃないかと思って……うまく説明できないんですけど、もう現場に入ったらそのまま、木原になれた感覚は自分の中にはあったので。すごく役者冥利に尽きるというか。

――沖田さんからご覧になって、桐谷さんの元ヤクザとしての立ち振る舞いみたいなところはどうでしたか。

沖田 サラリーマンも10人おったら10人の個性があるように、ヤクザであっても警察であって一緒なんだけど、桐谷さんの演技はすごく絵になっていましたよね。動きも声も、すごく突き抜けられたというか、桐谷さんの中の、木原のような男臭いところがさらに目覚めたというのか。
 年末の歌番組に、すごいオーラを持った桐谷さんに似た男の人が出ているなと思ったら、本物の桐谷さんだった(笑)。撮影現場で何度も会っていたけど、藤井監督の現場で座長をやられて、さらにステップアップされたんやなっていう印象ですよね。

桐谷 ありがとうございます(笑)。

「日本で一番暑い夏にしましょう」という言葉

――今、座長という言葉も出ましたけども、今回は、連続ドラマ単独初主演。いわゆる座長ということで、ご自身で意識したことやプレッシャーなどはありましたか?

桐谷 本当にワクワクしながら楽しみにしていたので、座長だからとか気負ったところはなかったですね。主演だろうが脇役だろうが、どんな役も向かっていくだけ。沖田さんも、昨年7月下旬の撮影初日に「日本で一番暑い夏にしましょう」とおっしゃっていて、それはいいな、すげえな、みたいな感覚でした。
 いろんな役者さんがいて、それぞれの感覚があって、芝居に対していろんな向き合い方があると思うんですけど、自分の場合は、5歳の頃からこの世界に入りたくて、今はそれができていて充実しています。もちろん苦しい瞬間もありますが、それをまた楽しさに変えていくアイデアが生まれたり、他の役者さんと自分が予期せぬ化学反応を起こしたりと、特に『インフォーマ』の現場ではみんなが同じ方を向いて、ブワっとエネルギーが一体になっている感覚はありましたね。だから、プレッシャーというよりは、この作品、そしてこの役を味わい尽くそうという感覚はありました。で、撮影が終わってしばらくしてから、取材などで『インフォーマ』について聞かれとき、「自分が覚醒した作品」という言葉が出てきたんです。この言葉がいちばんしっくり来るなと。

沖田 いい表現ですよね。「覚醒」は。

――桐谷さんは、ある取材で「これマジで地上波で放送できるんですか?みたいな感じ」とも語っていました。

桐谷 実際には「放送できるんですか?」というより、「本当に放送するんだ、イエーイ」みたいな感覚ですよね。撮影しながらも「これ流しちゃんだ、すげー」みたいな。
 全身火だるまとか、殴り合いや銃撃とかのバイオレンス表現だけでなく、言葉で表しにくいんですけど、「今のテレビでやれるんだ」という、本当にこの言葉のまんまなんですよね。ストーリーもそうですし、映像のクオリティも映画的だし、民放地上波なのに攻めているし、突き抜けている。しかも、Netflixでもやってくれるんだ、と。

沖田 加えて言わせてもらえば、『インフォーマ』というのは、小説やコミックをほほ同時展開しています。ドラマ放送前に小説を発売し、ドラマ放送後には小学館からコミカライズもされる(小学館の電子コミックアプリ「マンガワン」から配信予定)。藤井監督と企画を立ててから、テレビ局や出版社に持ち込んだのは自分なんですが、『インフォーマ』という作品が骨太だからできたこと。芯がしっかりしているから、ドラマの脚本を作るときも、ドラマ用に「もう少し女性を出してください」とか藤井監督のリクエストに応えて手を入れたり、小説やコミックもそれぞれの媒体に合わせた調整をしたりしても、『インフォーマ』の世界観は崩れることはないんです。それぞれが情熱を注がれて作られている。

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