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いよいよ『インフォーマ』がNetflixで開幕! 関西ローカルから全世界配信へ異例の展開

Netflixでの予告画面

いよいよドラマ『インフォーマ』の放送が開始される。ちょうど2年前、原作者である沖田臥竜氏と監督を務めた藤井道人氏のひとつの会話からスタートした本作は(参考「沖田臥竜×藤井道人『インフォーマ』を語る」)、関西ローカルの深夜ドラマ枠には収まらない大規模な予算が投下されて製作されることとなった。そして、地上波放送に先駆け、Netflixで先行配信され、その後の世界配信も決定。まさに前代未聞の展開だが、沖田氏はこれをどう捉えているのか。沖田氏自身による特別エッセイ第5弾。

ローカル深夜ドラマがNetflixを介して世界約190ヵ国で配信される

 小説『インフォーマ』(サイゾー文芸)はもう買ってくれただろうか。

 この作品を原作とした、ドラマ『インフォーマ』がいよいよ13日からまずNetflixで配信される。できるならば、頼む! その前に小説を購入してもらえぬだろうか。そろそろワシを印税生活で楽にさせてくれまいか……。

 お陰さまで年末年始も休みなしだぞ……かわいそうと思わぬか……と言いつつすまぬ。文芸としては、発売即重版もかかり、出だし的にはまあまあ好調なスタートは切れている。決して印税でウハウハという訳ではないが、すっかり冷え切った文芸界において、そこそこの状況とはなっている。

 当たり前ではないか。ドラマとして地上波放送と、Netflixでの世界配信が決まっていて、さらにマンガ化もされる。これだけの話題があって「まったく売れてないです……」状態だったら、もう打つ手はないではないか。

 だからこそだ。さらにもうひと声! 私にもそろそろ気難しそうな小説家の顔をさせてはくれまいだろうか。だって、小説を書き始めて21年だぞ。そろそろゆっくりさせてくれよ。そのほうが、もっと名作だって生まれるかもしれないぞ……なんてな。

 さて長々と感情を露わにしてしまったが、聞き流してほしい。そんなことはどうでもよく、大事なのはNetflixの配信である。ちょうどNetflixで『インフォーマ』の配信開始後の週末、私は東京に滞在し、お台場のフジテレビでプレゼント用のサインをせっせと書いているところだろう。

 書籍を発売するたびに、だいたい200冊くらいはサインを書いているのだがいつも思う。 

 「オレのサインなどをもらって本当に嬉しいのだろうか…」

 まあ、かろうじて魔除けの効力があるかもしれないので、サイン本を手にした人にはそういった意味で、クスッと笑っていただければ幸いである。

 立て続けに自虐ネタを綴っているように思われそうだが、それとは裏腹にドラマ『インフォーマ』の展開規模はすまない、世界レベルである。このあと、Netflixを介して世界約190ヵ国で配信されるのだ。どうだ!すごいだろう!!!……とは本当はなっていない。なっていないというか、そこに対して、そこまで執着がないのだ。

 私は小さな時から、とにかく映画館とビデオ屋が好きだった。そして生活の中に当たり前にあったのがテレビだった。それは何も私だけでないはずだ。もうすっかりテレビを観なくなった人たちも、その多くはテレビを観て育ってきたはずだ。ずっと私が描いていた想いはそこにあった。

 『ムショぼけ』もそうだったが、『インフォーマ』も「全国放送ではないんだ?」みたいに言われることがある。ならば、Netflixで世界配信だ、これならばどうだとなるなと、考えたにすぎない。もちろん世界配信は凄いことだ。だが、私の実感はそこになかった。

 どういう意味かというと、『インフォーマ』の放送時期について、カンテレサイドと話し合った際、最終的に2022年の10月にするか2023年の1月にするかとなった。

 私はコロナなど以前と比較して、先のことが不安定になっている世の中で、年を越すのは嫌だった。なので、10月の放送のほうがよいのではないかと思っていたのだが、その時期はワールドカップとぶつかるとなったのである。

 挙げ句に、1月ならば、世界配信ができる可能性があるとなった。ただ、それはあくまで私にとっては、商業的なメリットと世界配信というパンチが聞いた響きがあるだけだ。Netflixで世界配信のみか、関西ローカルの地上波のみならば、私は断然、後者を選ぶ。『ムショぼけ』でも叫び続けたが、関西ローカルの作品を全国へと刺し込みたいのだ。だが、今回は両方実現した。

 心配せずとも『インフォーマ』の制作費は、関西ローカルの作品としては考えられない予算を出してもらっている。なんだったらカンテレの30分ドラマならば、史上最高額だ。当たり前ではないか。クオリティが世界レベルでなければならないのだ。ただ関西を制さずに、全国も世界もないと思っている。

 今では「月額いくら」のサブスク側の配信が主流となっている。その上でPPV(ペイ・パー・ビュー)。しっかり私も格闘技中継などはPPVで視聴している。内心、サブスクさせておいた上にPPVって、それはあんまりとちゃうんかいっと思いながらもだ。

 だが老若男女、どの世代も網羅することを考えると、子どもも主婦もサラリーマンもじいちゃんもばあちゃんも、テレビのリモコン一つ押すことで誰もが観られなければ、ドラマを作る意味がないのではないだろうか。

 私は、私のことを知っている人に「がんばってるね」と言われたいし、すごいなと言ってもらいたい。

 その上で、私が25歳のときに小説を読んで受けた感動を、今度は私がまったく知らない世の中の人たちに伝えられる側になれればと思ってペンを握っている。実際、作品作りにおいて、金銭的なことなんてどうでもよいと思っている。関西ローカルではもったいないと言われるが、テレビ局間の垣根や都合があるなど、次便で携わってみて初めてわかるというものがある。

 作品の価値観はそこにはない。関西ローカルなのに、なぜ世界配信なのか。それは世界に通用する作品だからだ。まずは、Netflixで『インフォーマ』を観てもらえればわかるだろう。

 『ムショぼけ』に続き、シゲ役の藤井陽人は、今度はシゲオ役という主要キャストで出演している。そのほかにも友人の猫組長や大人気YouTuberの「たっくー」。それにRIZIN選手の皇治も出ている。

 私たちが生まれた時代にはいつもそばにテレビがあった。Netflixで観てもらえるのも本当にありがたいし、毎週木曜日に「今日、夜中にインフォーマだね!」、金曜日に「昨日のインフォーマ観た? 凄かったね!」と学校や職場で、言ってもらえたら、それにまさる喜びはない。

 『インフォーマ』が幕を開けようとしている。

(文=沖田臥竜/作家)


小説『インフォーマ』
沖田臥竜/サイゾー文芸/税込1320円
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週刊誌記者、三島寛治の日常はひとりの男によって一変させられる。その男の名は木原慶次郎。クセのあるヤクザではあったが、木原が口にした事柄が次々と現実になる。木原の奔放な言動に反発を覚えながらも、その情報力に魅了された三島は木原と行動をともにするようになる。そして、殺人も厭わない冷酷な集団と対峙することに‥‥。社会の表から裏まで各種情報を網羅し、それを自在に操ることで実体社会を意のままに動かす謎の集団「インフォーマ」とはいったい何者なのか⁉パンデミック、暴力団抗争、永田町の権力闘争、未解決殺人事件…実在の事件や出来事を織り交ぜ生まれた「リアル・フィクション」の決定版!


ドラマ『インフォーマ』
2023年1月19日(木)スタート 毎週木曜深夜0時25分~0時55分(関西ローカル)/見逃し配信:カンテレドーガ・TVer/Netflix全世界配信
公式サイト https://www.ktv.jp/informa/


ドラマ『インフォーマ』予告映像

桐谷健太演じる主人公で、裏社会・政治・芸能など、あらゆる情報に精通するカリスマ的情報屋“インフォーマ”木原慶次郎と、佐野玲於(GENERATIONS)演じる週刊誌「タイムズ」記者・三島寛治が、警察・ヤクザ・裏社会の住人たちを巻き込み謎の連続殺人事件を追うクライムサスペンス。事件の背後に存在する謎の集団のリーダーで、木原の因縁の相手となる男を、事務所移籍後初のドラマ出演となる森田剛が演じる。Netflixでの全世界配信も決定。

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)、『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

最終更新:2023/01/11 18:12
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