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強制わいせつ致傷疑惑の西武・山川穂高、追放も不可避な“最悪のタイミング”

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山川穂高(Getty Images)

 記憶に新しいWBCの感動に水を差す事件が発生し、野球ファンがため息をついている。

 侍ジャパンの一員で、昨年のパ・リーグHR王の山川穂高(西武)が、週刊誌で女性への強制わいせつ致傷疑惑を報じられ、一軍登録を抹消。本人は関係があったことは認めつつ、無理やりだったことは否定しているが、女性からは被害届が提出されており、選手生命は風前の灯となっている。

「今年でプロ10年目の山川は、これまでHR王に3度輝いた球界きってのスラッガー。実績もさることながら、ホームラン後のパフォーマンス、ぽっちゃり体型の明るい三枚目キャラ、出身地・沖縄の豚から取った“アグー”というニックネームなどで非常にファンが多い選手だったたけに、ファンの落胆もひとしおです。

 プロ野球界で強制わいせつ事件で逮捕された過去の2例は、いずれも即解雇。山川は警察に対し、『同意はなかったが無理やりではない』などと話しているようですが、女性は『何度も断ったが無理矢理押し倒された』と話しており、状況は真っ黒です」(週刊誌スポーツ担当記者)

 現時点で山川は嫌疑を掛けられただけで、今後、示談が成立する可能性もある。しかし、ファンあってのプロ野球だけに、球団や球界が様々な要因を総合的に判断して結論を下すのは致し方ないこと。その観点から見ると、山川の事件が報じられたタイミングは“最悪”だった。

「現在、世間の関心事はジャニーズの性加害問題。これまではゴシップレベルでしか報じられなかったことがNHKや大手新聞でも報じられるようになり、政治家まで首を突っ込んで、さながら“国の一大事”です。

 これまで度々噂されてきた問題に、大手メディアが重い腰を上げて向き合う姿勢を示したタイミングで、大物プロ野球選手のわいせつ事件が報じられれば、当然、処罰感情は高まる。“示談になったからOK”というわけにはいきません。これでもし山川が簡単に復帰すれば、プロ野球界は“コンプライアンスに甘い”イメージを持たれてしまう。もはや、西武だけの問題ではありません」(同上)

 チームから見放されそうな事情もある。今季から西武を率いているのは、西武黄金時代のリードオフマン、松井稼頭央氏。彼が掲げる今シーズンのスローガンは「走魂」で、走れる野球を目指しているのだ。

「松井監督は現役時代、並外れた身体能力でスピード感溢れるプレーを身上とし、監督就任会見でも、『走るのが野球の原点』と、走力重視の方向性を示しました。西武は貧打戦で、山川が抜けると本当に痛いですが、今季は21年目のベテラン中村剛也が好調で、大砲は備わっている。体重が100kgを越える中村と山川がスタメンに並ぶようでは、スピード野球は“絵に描いた餅”なので、山川の離脱で図らずもチーム改革の絶好のチャンスが訪れました。

 そもそも西武は女性や子どものファンが占める割合が高く、“結果さえ残せばOK”というようなチームではない。もしも示談が成立したとして、わいせつ騒動を起こした選手がプレーし続けられるかどうか……。もう1度、西武のユニフォームを着てグラウンドに立つ姿は正直、想像できませんね」(野球ライター)

 ちなみに山川は既婚者。悲しんでいるのは相手女性やファンだけではないが、“アグー”は戻って来られるか。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2023/05/23 17:24
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