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『最高の教師』九条は犯人に気づいている? 星崎の映像が新たな波乱を呼ぶのか

『最高の教師』九条は犯人に気づいている? 星崎の映像が新たな波乱を呼ぶのかの画像
ドラマ公式サイトより

 松岡茉優主演の日本テレビ系土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』は9月2日に放送された第7話で“新章”が幕を開けた。生徒である鵜久森叶(芦田愛菜)の死という想定外の出来事が起こった第6話の放送から2週間、鵜久森に手をかけた犯人に鉄槌をくだす九条里奈(松岡茉優)の復讐劇を期待していた視聴者も多いはずだが、繰り広げられたのは同級生の死と向き合う魂の授業だった。

 鳳来高校3年D組の担任教師・九条が卒業式にD組の何者かに突き落とされ、「死にたくない」と願った瞬間、1年前の始業式に時間が巻き戻り「2周目」の人生をスタートさせるというところから始まる本作。第6話では鵜久森もまた「2周目」の人生を生きていることが明かされたが、1周目の人生で自ら命を絶った10月4日当日、鵜久森は帰らぬ人となってしまう。

 警察は鵜久森の死について、不慮の事故、もしくは「自らの選択」との見解を示す。しかし、九条同様に2周目の人生を歩んでいた鵜久森は、九条にだけ、「3回目(の人生)はないという感覚と同じように、この後、自分に明日(10月5日)が来る実感がない」と不安を明かし、「でも、死にたくない」と気持ちをぶつけていた。この死には、何か理由がある。そう感じた九条は、犯人探しを始めて復讐に怒りを燃やすのではなく、D組の生徒たち、そして教師たちをも鵜久森の死と向き合わせることを選ぶ。「本当に心を込めて告げられた『ありがとう』には絶対に報いたいと思わせてしまう」――鵜久森の死にショックを隠しきれず、自室に閉じこもっていた九条だったが、鵜久森の母・美雪(吉田羊)から伝えられた感謝の言葉を受けて、“最高の教師”としてふたたび立ち上がったのだ。

 九条の覚悟に対して、3年Ⅾ組の面々の反応はまさに三者三様だった。鵜久森の死の理由を明らかにしようと奮い立つ生徒、自身の将来を見据えてこのまま真相に蓋をしようとする者、そして今までと変わることなく九条に悪態をつき続ける者。高校3年生という多感な時期ゆえにお互いに主張をぶつけ合うのは仕方がないことだ。ただ、「1周目」と大きく異なるのは、生徒たちが鵜久森の死を“無いもの”にしていないことだ。このクラスは確実に変化している。生徒たちだけで話し合わせたのは、その変化の胎動を担任として肌で感じた九条の大勝負だったのかもしれない。

 そしてこの新章では、ついに教師たちをも巻き込む。九条は4月に盗撮したD組の“鵜久森いじめ”の映像を見せ、大人として、教師として真摯に向き合うべきだと訴える。九条は「この出来事には理由がある。私たちその理由と向き合わなければならない。誰ひとり関係ないとは言わせない」「すべてをさらけだし、彼女がなんでこのような出来事を迎えなければならなかったのかを、考えるんです」として、D組のホームルームの様子を職員室の教員たちに見せていた。生徒の死に向き合うことから逃げ出したい教師たちだったが、九条の覚悟に感化されていく。

 そして、「今回の件について学校として向き合わせてください」とD組の生徒に頭を下げたガッシュ教頭こと我修院学(荒川良々)は、記者会見を開き、「現状の(警察の)見解で結論とするのは尚早だと思いました。我々は全力でその理由と向き合いたいと思います」と宣言。続けて「関係のない人たちが憶測で言葉を投げかけるのはやめてください。なぜならここは学校だからです。ここには未来ある人がたくさんいて、そのひと言で人生を左右されてしまうかもしれない」「それでも何か言葉を投げたいとき、我慢できないときがあれば、私に言ってください。だって、私がここの責任者なので。責任があるのは生徒でも教員でもない。私です。私ひとりです」と訴え、「この学校が本件の生徒について本気で向き合う時間をつくるためなら、私はなんでもする」と誓った。本ドラマの「最高の教師」とは、九条だけを指すのではないのかもしれない。

 これまで盗撮や盗聴など手段を選ばず「D組を変える」という目的を達成しようとしてきた九条が、新章で行ったのは真正面からの対話だった。このスタイルチェンジに関して、筆者はひとつの仮説を打ち出してみたい。それは「九条は鵜久森を死にいたらしめた犯人に気づいている」という説だ。九条がしきりに口にしていた「理由を知りたい」という言葉。普通に考えるなら、理由よりまずは「犯人を見つけ出したい」と考えるのが自然ではないだろうか。にもかかわらず、理由の究明に主眼を置いているということは、すでに犯人に目星がついている可能性がある。また、鵜久森の遺体の第一発見者である九条が、犯人につながる“証拠”を手にした可能性もある。第6話は地面に横たわる鵜久森を発見し、悲しみに打ちひしがれる九条の姿で終わったが、第7話は鵜久森の死から3日後から始まった。そう、その間が描かれていないのだ。

 一方で、3年D組内での犯人捜しは加速するに違いない。第7話のラストでは、星崎透(奥平大兼)が鵜久森転落の日に校内を撮影しており、D組のリーダー格である相楽琉偉(加藤清史郎)の指示に従って波乱を巻き起こしている浜岡修吾(青木柚)が、生徒でもないのに鳳来高校の制服を着て登校している様子が映っていた。これで相楽・浜岡が犯人である可能性が高まったものの、それだけの重要情報をピンポイントで撮影できた星崎も怪しく見えるのは筆者だけだろうか。しかもこの情報を九条ではなく、同級生の東風谷葵(當真あみ)に真っ先に見せた点も違和感がある。九条の「人生2周目」説を唱えるなど妙に目ざとい星崎は一体何者なのか。

 第8話は相楽や星崎がキー人物となりそうだ。さらなる急展開が訪れそうな第8話、今夜の放送も見逃せない。

■番組情報
土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された
日本テレビ系毎週土曜22時~
出演:松岡茉優、芦田愛菜、奥平大兼、加藤清史郎、當真あみ、茅島みずき、山時聡真、本田仁美(AKB48)、窪塚愛流、福崎那由他、田牧そら、山下幸輝、寺本莉緒、萩原護、詩羽、田中美久(HKT48)、浅野竣哉、丈太郎、柿原りんか、橘優輝、莉子、田鍋梨々花、夏生大湖、藤嶋花音、岩瀬洋志、阪本颯希、岡井みおん、藤﨑ゆみあ、のせりん、細田善彦、長井短、サーヤ(ラランド)、犬飼貴丈、荒川良々、松下洸平
脚本:ツバキマサタカ
音楽:松本晃彦
主題歌:菅田将暉「ユアーズ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
演出:鈴木勇馬、二宮崇
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:福井雄太、鈴木努、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
公式サイト:ntv.co.jp/saikyo

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/09/09 12:00
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