日刊サイゾー トップ > エンタメ > アイドル > STARTO(旧ジャニーズ)  > 「ジャニーズ名称変更」人材大量流出のおそれも

「ジャニーズ名称変更」問題が大詰め…求心力失って人材大量流出のおそれも

 ジャニーズ事務所が19日、新社長となった東山紀之の名義で公式サイトに今後の会社運営に関する報告文を掲載した。世間でも議論の対象になっている「社名変更」の可能性を示唆したが、ファンからはグループ名なども含めて多方面にわたる影響の大きさを心配する声が上がっている。

 今月7日に開かれたジャニーズ事務所の会見では、東山社長が創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害の事実を認めたうえで、ジャニー氏の名前を冠した社名を継続する意思を表明。だが、会見終盤にジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦が「(ジャニーズという社名は)犯罪者の名前、ということについてはこれからも考えていかなければならない」と発言すると、東山社長はそれを受けて「(社名変更を)検討する余地はある」としていた。その後、スポンサー企業からは「社名変更すべき」との意見が続々と上がり、「CM撤退ドミノ」が起きたことで、社名を変更しなければ企業としての存続すら危うくなってきた。

 こうした状況を受けてか、報告文では「本日、弊社取締役会を開催し、藤島(ジュリー景子前社長)が保有する株式の取り扱い、被害補償の具体的方策、社名変更、所属タレント及び社員の将来など、今後の会社運営に関わる大きな方向性についてあらゆる角度から議論を行い、向かうべき方針を確認いたしました」と記され、社名変更が取締役会の議題になったことが明かされている。法務・税務等の面からも精査したうえで、10月2日には進捗内容を具体的に報告するという。

 もし創業から60年以上続いてきた「ジャニーズ」という屋号を変更するとなると、多方面に大きな影響が及ぶことになるのは間違いない。本社はもちろんのこと、ジャニーズアイランドやジャニーズ出版、ジャニーズ・ミュージックカンパニー、頭文字のJを使ったジェイ・ストーム、ジェイステーションなどの関連会社も含め、すべてのロゴや各種資料などを作り直さなくてはならず、銀行口座や登記などの事務的な手続き作業も膨大になる。

 さらに、ファンにとって最も気がかりなのがグループ名だ。関ジャニ∞、ジャニーズWESTといったジャニーズに由来するグループ名は存続が難しくなり、未デビュー組のジャニーズJr.という名称も使えなくなるだろう。こちらも一気に名称変更するとなれば、とてつもない手間と費用がかかるとみられるうえに、メンバーやファンにとっては「グループ名への思い入れ」という問題もある。

 社名変更による金銭的な損失については、明石家さんまが16日に出演したラジオ番組で言及。かつて芸人のおさるが占い師の細木数子さんの勧めで「モンキッキー」に改名した時のことを例に、「ほんま大変なの。各局に配ってあるパンフレットとか資料とか全部名前を差し替えなあかん。ポスターも刷り直しになったり。その作業だけで何百万円かの損害」と述べ、ジャニーズ事務所ほどの規模になると「ひょっとしたら3桁億やろ、いや2桁億くらいか」と数十億円レベルの損害になると推測した。一部スポーツ紙では「社名変更なら費用は数億円規模」といった予測もあるが、「ジャニーズ帝国」の巨大さを踏まえると、数十億円規模に達するとの見方のほうが業界内では強いようだ。

 それでも、年商1000億円ともいわれるジャニーズ事務所なら払えない額ではなく、名称を変えて再出発したほうが得策に思える。だが、先述したようにファンにとって思い入れのあるグループ名にも影響が及ぶという問題があり、タレントによっては「ジャニーズ」という名前にあこがれて事務所に入った者も少なくないため、名称変更をきっかけに求心力を失って退所者が続出するおそれもある。ある意味、人材流出は名称変更による出費よりも大きなダメージになるかもしれない。

 ジャニーズWESTの中間淳太は、9日に出演した関西の情報番組で「ジャニーズという名前は好きですし、誇りもあります」「今のグループ名で続けていきたい気持ちはある」と前置きしたうえで、「世間一般の目から見て、ジャニーズという名前を続けるのはおかしいんじゃないかというのは分かります。僕も1人の人間としては変えるべきだと思っていますし、ジャニーズWESTの名前がなくなる覚悟もできています」などと、言葉を詰まらせながら語っていた。被害者の心情などを踏まえて「名称は変えるべき」としながらも、ジャニーズという会社名やグループ名に愛着があることを正直に話すという、真摯な告白だったといえる。中間の言葉に共感したファンは多く、所属タレントやファンの思いを代弁したともいえそうだ。

 ネット上では、仮に名称変更しても、メディア上では「X(旧Twitter)」のように「〇〇(旧ジャニーズ)」と表記されるので意味がないという指摘もあるが、現状の流れだと「ジャニーズの名称消滅」は不可避だろう。ファンだけでなく老若男女に浸透していた「ジャニーズ」がジャニーズでなくなった時、どれほどの社会的影響が生じるのだろうか。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2023/09/21 09:00
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

『光る君へ』疫病の流行と宮中での火事

──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NH...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真