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本多圭の『芸能界・古今・裏・レポート』

ここぞの「ジャニーズ叩き」でしたり顔をする記者たちに、ベテラン芸能記者が感じた違和感

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 故・ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐり、9月7日、初めて記者会見を開いたジャニーズ事務所。

 先月、同氏の性加害を認定する調査結果を公表した再発防止特別チームの提言を受け、事務所としても性加害の事実を認め、藤島ジュリー景子氏が謝罪。自らの社長辞任と、後任にタレントの東山紀之が就任したことを発表したが、その後、行われた質疑応答に関して、SNS上では記者に対して厳しい声があがっている。

「再発防止特別チームは、提言書の中で、性加害の背景に“マスメディアの沈黙”があったとして、メディアの報道姿勢に踏み込んでいます。それを受けて各メディアは反省の色を示すコメントを出していましたから、当然、今回の記者会見では各社、自責の念を持って挑むものと思っていました。ところが、テレビ局の記者がこうした問題に切り込むことはなく、他方で、過去の報道を見聞きしただけの一部の記者が、まるで鬼の首でも取ったかのように質問を浴びせていました。あれならいっそ、質問者はこれまでジャニー氏の性加害について追及してきたメディアに絞るべきだったのではないかと思います」(芸能ライター)

 記者会見は4時間以上にも及んだが、その中で、会見をざわつかせた質疑応答のひとつが、新社長に就任した、ジャニーズの最年長タレント・東山と、2012年に他界した女優・森光子(享年92)さんとの関係についてのものだ。

 生前、東山がとりわけ森さんから懇意にされていたことに対して、記者が「性接待はあったのか」「莫大な遺産を受け取ったのは本当か」と質問。怒りをにじませた東山が、記者の言葉を遮るように、「全くありません」と否定した。

「おそらく質問した記者は、過去に『週刊文春』が詳報した“森光子『東山紀之』への遺言状”という記事(2012年12月20日号)を読んで質問したのでしょう。ただ、自らこの記事の裏取りや検証をしたわけではなかったようで、単に質問をぶつけただけで、否定されて終わってしまった。如何にレベルが低いか? メディアの恥の上塗りで、情けないです」(大手プロ役員)

 実際、この質問に対しては、SNS上でも、「関係なさ過ぎて、呆れる」「どさくさに紛れに事件と関係ない」といった批判が相次いだが、筆者も、ここ数年、活字媒体やネットニュースの記者で、“芸能界のドン“や芸能界の裏事情を直接取材したことがないまま、過去の記事を持ち出して、したり顔で執筆する輩が増えているように感じている。おそらく、この記者もその類だろう。

 また、東京新聞の望月衣塑子記者は、東山への質問に際して、2005年に出版された元ジュニアによる『SMAPへ―そして全てのジャニーズタレントへ』の記述を引用しながら、「ご自身の陰部を晒し『俺のソーセージを食え』って見出しを取られてますよね?」との質問を浴びせ、視聴者を当惑させた。

「望月記者は鬼の首を取ったかのように東山に質問していましたが、ご自身で裏を取ったのか、はなはだ疑問です。実際、彼女はNetflixの配信ドラマ『新聞記者』でも、取材相手である遺族とトラブルになっているでしょう」(前出の大手プロ役員)

 22年に配信された米倉涼子主演のドラマ『新聞記者』は、望月記者の著書『新聞記者』が原案で、森友学園事件をモチーフにしたもの。

 もともとは、望月記者とプロデューサーが、公文書改ざんを命じられて自死した近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻・赤木雅子にドラマ化を持ちかけて始まった企画だったが、意見の食い違いから赤木さんが協力を拒否したにもかかわず、「あくまでもフィクション」として、ドラマ化が強行されたという。

「赤木さんは『また真実を歪められかねない』と協力を拒否したにもかかわらず、赤木さん側の要望はほぼ受け入れずに制作が進められたと聞いています。取材相手と信頼関係を築けない望月記者が、果たして、ジャーナリストと言えるのか、疑問です」(前同)

 ちなみに、今回のジャニーズ事務所による記者会見の中では、望月記者が、東山らが過去に自ら性被害を受けていたのかどうかを尋ねたことも、批判を浴びている。

「この質問に対して、社会学者の古市憲寿氏が自らのX(旧Twitter)で、『会見出席者に対して、自身も性被害にあっていたかどうかを(すでに本人が会見前半で触れているのに)、執拗に聞き出そうとする。事実上のアウティングを強要していて、セカンドレイプにもつながりかねない』と指摘していますが、古市氏だけでなく、SNS上でも、“公の場で聞くものではない”“個人のプライバシーを尊重すべきでは?”などの声があがりました」(芸能ライター)

 前出の大手プロ役員も、「記者会見で、東山はジャニー氏の性加害を“鬼畜の所業”と断罪しているんですよ。そんな彼を責めるより、ジャニーズ事務所の解散を求めるべきですよ」と憤る。
 
 今回の記者会見を受け、メディアが自社の見解を述べるなか、民放では“タレントに非はない。これからも起用する”との姿勢が多勢のようだが、事態打開に向けては、まだ問題が山積しているのが現状だ。

「民放は“タレントに罪はない”と言いながらも、『嵐』・相葉雅紀をCM起用している東京海上日動火災保険を筆頭に、企業がジャニーズとの契約解除を検討し始めたことで、スポンサーの顔色を窺っている。問題を解決するには、ジャニーズ事務所が解散して、タレントを他の事務所に移籍させるしかないのではないでしょうか」(芸能ライター)

 前出の大手プロ役員は、「東山はジャニー氏の性加害を“人類史上最も愚かな事件”と断罪している。欧米だったら、会社は解散です。しかし、ジャニーズは事務所の存続だけを考え、メディアも解散について追及するものはなかった。異常ですよ」と断罪する。

「将来あるタレントを本当に守りたいなら、事務所を解散して,彼らの新天地を探してやることですよ」(前同)

 ジャニーズ事務所が今後どのような対応を取るのか、注目したい。

(文=本多 圭)

本多圭(ジャーナリスト)

芸能取材歴40年以上、タブー知らずのベテランジャーナリスト。主な著書に『 スキャンダルにまみれた芸能界のトンデモない奴ら』など。

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最終更新:2023/09/19 15:00
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