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『水ダウ』で松本人志やスタッフがイジった「ピールおじさん」を決して笑ってはいけなかった理由

『水ダウ』で松本人志やスタッフがイジった「ピールおじさん」を決して笑ってはいけなかった理由の画像1
TBS『水曜日のダウンタウン』公式サイトより

 テレビの存在感がどんどんと薄くなる中、若者を中心に広く支持される番組が『水曜日のダウンタウン』(TBS系)。TVerのお気に入り登録者数ランキングで堂々の1位に君臨する『水ダウ』は、好評だった企画が再登場することも多く、10月11日放送の「説」は2本とも過去に放送されたものだった。

「1本目は、対決する2人がどちらも負けるように指示されている『ダブル八百長対決』で、2本目は『マジで死ぬかと思ったエピソード、誰でも1つは持ってる説』。八百長は第4弾、『マジで死ぬかと…』は第2弾でした。

『マジで死ぬかと…』の第1弾ではスポーツの試合のアクシデント、医療ミス、犯罪絡み、天災など、いろいろなタイプの“死にかけた話”が披露されましたが、第2弾も誘拐、戦争、交通事故など、バラエティに富んだ内容ばかり。スタジオは驚きの声に包まれ、第3弾もありそうな反応の良さでした」(テレビ情報誌記者)

 死にそうになった経験などないに越したことはないが、武勇伝はトークのネタとしては鉄板。そこに目をつけたのは流石というしかないが、その中に気になる場面があったとフリーのジャーナリストは言う。

「インタビューされた一般人が次々と危機一髪体験を話す中、上半身裸で屋外でくつろぐ男性が披露したのは、『うっかりビールを1瓶飲んだら死にかけた』というエピソード。スタジオからは当然、『他におるやろ』『(死にそうな)エピソード出てきてない』といったツッコミが入りましたが、気になったのは男性がビールのことを『ピール』と連呼し、出演者たちがそれを物笑いの種にしていたことです。

 あくまでも一般論ですが、ビールのことをピールと発音する人は一部のアジア諸国系の方である可能性が高い。彼らの言語には濁音と清音の区別がなく、アタマに濁音が来る単語の発音が苦手で、とりわけ年配の人はしばしばビールのことをピールと発音します。彼らが多く在住する関西出身のダウンタウンがそれを知らなかったのは意外でしたが、これは海外で日本人の英語の発音が笑われるようなもの。男性が日本で生まれ育ったのかどうかは不明ですが、いずれにせよ見ていて気持ちの良いものではありませんでした」(フリーのジャーナリスト)

 日本人が英語のLとRの発音が苦手なのは有名だが、そのようなことはどの国の人にもあるということだ。この場面についてはテレビ関係者も違和感を覚えたという。

「男性が披露したエピソードが全く“マジで死にそうな話”でないにもかかわらず、放送で使ったのは、『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)が念頭にあったのは間違いないでしょう。クセの強い一般人をイジって撮れ高を稼ぐのは『夜ふかし』の十八番ですから。ただ、表沙汰になることは滅多にありませんが、ああいった“素人イジり”はしばしばトラブルになっています。

 番組に登場する一般人は必ず出演承諾書にサインしているので、どのように料理されても基本的に文句は言えませんが、MCから強めのツッコミが入ったり、明らかに小馬鹿にしたようなテロップやナレーションが入るケースは多い。発言の一部を切り取られて面白くおかしく編集されてしまい、放送後にクレームが入ることは、バラエティ番組の担当者なら誰もが経験しています。

 今回のピールおじさんの場合、第一に企画の趣旨からズレていましたし、発音をイジるのは率直に言ってタチが悪い。例えば、方言を笑ったら大炎上するのは目に見えていますよね。“説”自体は面白かっただけに、あのパートは必要なかったように思えます」(民放バラエティ番組制作関係者)

 人の発音で笑うのは“いらなかった説”が濃厚か。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2023/10/25 08:00
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