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『アンチヒーロー』明墨・長谷川博己は元検事、弁護士転向に関わる”謎の囚人”

『アンチヒーロー』明墨・長谷川博己は元検事、弁護士転向に関わる謎の囚人の画像1
長谷川博己(写真/Getty Imagesより)

 悪徳弁護士と思われていた主人公の見方が180度変わるラストだった――。

 日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)の第3話が4月28日に放送された。本作は明墨法律事務所の弁護士・明墨(長谷川博己)を主人公とする法廷ドラマであり、明墨がありとあらゆる手段を使って被告人を無罪にする“逆転パラドックスエンタテインメント”。今回は若手弁護士・赤峰(北村匠海)とシンクロするかのように、視聴者の明墨に対する疑念が膨らんでいただけに、第3話の“どんでん返し”は痛快だった。ダークな振る舞いに隠された、人間思いの優しさ。明墨は一体どのような過去を歩んできたのか……。

 ドラマタイトルが示すとおり、主人公の明墨は、盗撮や盗聴、さらには脅迫・身分偽装すれすれの方法など、被告人を無罪にするためなら手段を選ばない型破りな弁護士だ。第1話・2話では社長殺しの罪を問われた緋山(岩田剛典)を弁護し、見事無罪を勝ち取った。しかし、その陰で部下の弁護士・紫ノ宮(堀田真由)、赤峰が「明墨は被告人を無罪にするために法外な方法をとっているのでは……」という疑いを抱く。殺人犯が無罪になるというセンセーショナルな出来事は社会の注目を集め、検察からもマークされる存在になった明墨。弁護士と検察、それぞれの正義が入り混じるなか、新たな裁判が始まる。

 明墨の新たな弁護対象者は、暴力事件の加害者・富田正一郎(田島亮)。政治家・富田誠司(山崎銀之丞)の息子が起こした事件とあり、明墨は世間が好奇の目を向ける裁判に挑むことになる。罪に大小はないと前置きしたうえで、前話までのシリアスな事件性と比べると、今回はクラブ内でのいざこざが発端となった暴行事件とあり、明墨にとってはイージーな事案に見えた。

 ただ、ただならぬ憎しみをもって正一郎を見つめる人物が。それは赤峰だった。赤峰はかつて正一郎が関わる暴行事件を担当しており、父・誠司が金にものをいわせて目撃者を買収した結果、身に覚えのない罪を着せられたのが第1話から登場するコンビニ店員・松永(細田善彦)なのである。赤峰が無罪を主張し続けたのもむなしく松永は有罪となり、現在の松永が赤峰を避ける関係にいたっている。赤峰が弁護士の立場そっちのけで、今回の暴力事件も正一郎の犯行だと断罪するのも理解できる。

 これまで無罪請負人である明墨と、明墨の方針に疑問を抱く赤峰との信頼関係は崩壊の一途であり、第3話で筆者は正一郎の弁護を巡り、明墨と赤峰は決別すると予想していた。ストーリーも正一郎のアリバイを立証する証拠が“明墨の思い描くように”揃い、赤峰が明墨法律事務所を離れる時が近づいている、と思われた。

 まさかのどんでん返しとはこのことだ。公判で検察側は、誠司の私設秘書が正一郎のアリバイの“ウソ”を握る関係者を買収する一部始終を収めたVTRを証拠として提出したのだ。有罪待ったなしの動かぬ証拠を突きつけられ、傍聴人がどよめき、紫ノ宮と赤峰が動揺するなか、ひとり動揺している“ふり”をしていたのが明墨。権力・金で無実の人に罪をなすりつけてきた富田一家に、明墨は弁護士でありながら検察側に有利な証拠を準備し、間接的に正義の鉄槌を下した。正義観について対称的に描かれてきた明墨と赤峰は、手段が違えど悪に闘志を燃やす同志だったのだ。

 悪一色であれば、明墨の人間性はどれほど分かりやすかっただろう。悪人を憎み、部下の敵を討つ男気溢れる一面が見えたことで、明墨の過去を俄然知りたくなった。明墨は5年前までは検事だったことが判明し、検察官・緑川(木村佳乃)とのどっちつかずの微妙な関係性からも、検事時代に無罪至上主義の弁護士に鞍替えする“出来事”があるのだろう。

 その出来事の筆頭候補は、ラストシーンで明墨がようやく面会できた謎の囚人(緒形直人)ではないか。謎の囚人はこれまで幾十もの明墨からの手紙を拒み続けるシーンがあっただけに、明墨とそれに関わる過去を忘れたいのだろう。元検事・明墨と緒形直人演じる男が背負う過去とは。第4話は冒頭シーンから要注目だ。

■番組情報

日曜劇場『アンチヒーロー』

TBS系毎週日曜21時~
出演:長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵
演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
音楽:梶浦由記、寺田志保
主題歌:milet「hanataba」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
法律監修:國松崇
警察監修:大澤良州
制作著作:TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antihero_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2024/05/05 08:00
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