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『Re:リベンジ-欲望の果てに-』第5話 未経験のボンボンが理事長になるトンデモ展開

錦戸亮

 すっかり「赤楚衛二vs錦戸亮の演技合戦」という様相を呈してきたフジテレビの木曜劇場『Re:リベンジ-欲望の果てに-』も第5話となりました。

 ドラマ序盤では天堂記念病院という大病院を舞台に余貴美子や梶原善といったベテランに妖怪じみた芝居をさせるなど、せっせと“本格ドラマ”のイメージを作っていた同作ですが、そんな妖怪が退場してからというもの、やはりスケールダウンは否めません。

 振り返りましょう。

■え! 週刊誌記者が理事長に!?

 今回は、つい先日まで週刊誌で記者をやっていた天堂記念病院のプリンス・海斗くん(赤楚)が、理事長になってしまうお話でした。海斗くんとしては「できらぁ!」という気持ちでしょうが、もはやトンデモの類に入る展開です。実際、理事長になったところで仕事ができるわけないのですが、まあドラマが「海斗が理事長です」と言うなら、それは飲み込むしかない。苦いけど。

 海斗くんが理事長のイスをゲットした経緯も、なかなかに奮っています。

 海斗くんの父親である元理事長・智信(光石研)が暗殺されたことが公になり、大半の融資を引き揚げられることになった天堂病院。会長の皇一郎(笹野高史)は海斗くんと大友先生(錦戸)を呼び出し、1週間以内により多くの融資を引っ張ってきた者を次の理事長にすると宣言しました。

 海斗くんはどっかのお偉いさんと食事会の約束を取り付けると、週刊誌時代の部下の女の子・紗耶(見上愛)を同席させ、お偉いさんと紗耶が2人でワインバーに消えていくのを見送ります。

 案の定、紗耶はテキーラをガン飲みさせられ、バーの奥にある個室にご案内。週刊誌記者の女性を強引に抱こうとするお偉いさんも迂闊すぎますし、「融資してくれるなら」とか言って体を許そうとする紗耶も大概です。

 結局、紗耶は寸前でお偉いさんを柔道部仕込みの締め技で失神させて事なきを得ました。なんでそこまでするのかと訝しがる海斗くんに、紗耶は「アナタガスキダカラ」とキッス。この一連、ドラマとしては海斗くんが周囲からも愛される、情熱あふれる好人物だという印象を与える意図があったかと思いますが、逆に彼の鈍感さと無能さが浮き彫りになる結果となっていました。

 ほかにも、海斗くんの元カノである陽月ちゃんが妹の手術代を稼ぐために高級クラブで働き、太客とネンゴロになって大金を出してもらったことを示唆するくだりがあったり、「若くてきれいな女が体を使っておじさんから金を引っ張る」という構図を、まるでその女の子たちが「健気で献身的だ」というニュアンスで伝えてくるのが、すごく嫌な感じでした。

 倫理的に嫌だということより、「欲望の果てに」なんて大仰なタイトルを打っておいて、こういうおじさんのシンプル肉欲を本筋の要素として取り扱うことで、物語のスケールが小さくなるんです。本来、成熟した大人たちによる権力争いを描きたいはずなのに、「誰でもいいから後先考えずに若い女を抱きたい」というおじさんが2人も出てくると、世界観として提示してきた重厚さが薄れてしまう。そういう一貫性のなさが嫌なんです。

■1週間で23億の融資が集まりました

 会長の用意したリストをもとに営業をかけた海斗くんと大友先生でしたが、結果、大友先生は8社から8億、海斗くんは1社でしたが15億の融資を取り付けることに成功。海斗くんが理事長に選ばれることになりましたが、どうやらこれは大友先生の意図通りだったようです。

 ラストでは、海斗くんが理事長のイスに座って、ニヤリ。どういう感情なのか全然わかりません。

 たぶんですけど、この物語は大友先生を発端に作られていると感じます。最初は悪者に見せておいて、今回あたりでちょっと情に厚い部分もあることを匂わせておいて、ラストに向けて、大友先生の本来の目的や人間的な部分、そういう謎を明かしていくという縦軸があって、主人公の海斗くんを含む登場人物たちは「大友先生っていったい何者?」という物語を補足するために配置されている。

 海斗vs大友先生というタイマン勝負を見せるには、海斗くんという人物への掘り下げが甘すぎるんです。最終的に「大友先生って、そうだったのか!」というところに落ち着くはずですが、そのとき海斗くんにどれだけ存在感を与えられるか、というのがこの先の見どころになると思います。

 なので、現状では全然おもしろくないです。つづく。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

最終更新:2024/05/10 19:00
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