【夏ドラマ】最終回『笑うマトリョーシカ』清家がまさかの告白、“黒幕は存在せず”の衝撃展開
#笑うマトリョーシカ
9月6日、金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』(TBS系)の最終回が放送された。政界の出世街道を駆け抜けてきた若手政治家・清家(櫻井翔)の“笑顔の仮面”に隠された素顔、そして清家を裏で操る黒幕の正体とは……。気になっていた謎が回収される、息もつかせぬ展開となった。
本作品は、若くして官房長官に抜擢された清家の固く閉ざされた心の内と、清家の身のまわりで起きる不審死や事故の真相に迫るヒューマン政治サスペンスである。清家の出生から官房長官就任までの激動の人生には、多くのキーパーソンが関わっている。中国にルーツをもつ清家の母・浩子(高岡早紀)、高校時代からの親友であり清家の元政務秘書官・鈴木(玉山鉄二)、人並外れた野心を抱く清家の元恋人・美和子(亜里沙、田辺桃子)……。彼らは清家を支配し、自身の野望を達成しようと試みるが、結局清家は誰の意見も聞かなくなってしまった。ジャーナリストの道上香苗(水川あさみ)は、清家を操る黒幕を突きとめようと奔走してきたが、浩子・鈴木・美和子のいずれも黒幕ではないと気づき、動揺する。「清家を支配する黒幕は他にいるのではないか?」と思案する道上は、清家から突然「私のブレーンになってほしい」と誘いを受ける。清家の狙いが見えず困惑する道上。謎に満ちた『笑うマトリョーシカ』の最終回の幕がついに上がった。
道上は清家のブレーンとして国政に関わるやりがいと、ジャーナリストとして政治の闇を暴く使命の間で揺れ動いたが、やはり父親譲りの生粋のジャーナリストだった。道上は浩子から受け継いだ不正事件『BG株事件』の証拠にもとづき、民話党総裁・内閣総理大臣の羽生(大鷹明良)が『BG株事件』に関与しているとする記事を公表する。羽生のスクープは世間を駆け巡り、羽生は『BG株事件』への関与を認めて失脚。通常であれば、悪事をはたらいた国のトップが陥落してハッピーエンドなのかもしれないが、本作品は大きな謎である“清家の本質”を明らかにする必要がある。
実は清家を操っていた黒幕など存在しなかったのだ。強いて言えば、清家を操っていたのは清家自身の意志だった。「ぼくには、ぼくがわからない」という清家の言葉どおり、清家は“本当の自分”を追い求めて人生をさまよう。その半面、清家は己を利用する人々をひどく憎んでおり、人生の過程で自身を見くびってきた人間である浩子・鈴木・美和子を排除してきた。
清家は父親・和田島譲りの演技力・学習吸収力を持つゆえ、周囲から利用される運命をたどったわけだが、ただひたすらに真実の愛、そして友情を欲していたのではないだろうか。浩子が清家に汚れのない愛情を注いでいれば、鈴木が打算なしで清家と青春を過ごしていれば、清家は真っ当な使命感を抱き政治家を志したのかもしれない。清家が偽りの笑顔ではなく、心からの笑顔で有権者の前に立ち国を変えていく。そんな世界線を想像してしまうほど、清家は底知れない魅力のあるキャラクターだと思う。
最終回の最終盤で清家は晴れて内閣総理大臣に就任したわけだが、マトリョーシカのごとく入れ子可能な空っぽの人間のまま。その一方、道上は独裁政治に走りかねない清家を見守る使命感を持ち、鈴木は幼少期からの夢である政治家になるため、父親姓の「宇野俊哉」として区議会議員選挙に立候補した。「自分がやりたいことはなにか」というテーマを突きつめようとしているのは清家だけではない。道上、鈴木、そして現代を生きる人たちも同じ境遇にいるのだ。清家の人生は他人事ではない、だからこそ我々も日々を真剣に生きていかなければならない。そんなことを突きつけられたフィナーレだった。
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金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』
TBS系毎週金曜22時~
出演:水川あさみ、玉山鉄二、櫻井翔、丸山智己、和田正人、渡辺大、曽田陵介、渡辺いっけい、高岡早紀、ほか
プロデューサー:橋本芙美
演出:岩田和行、城宝秀則、小林義則、朝比奈陽子
原作:早見和真「笑うマトリョーシカ」(文春文庫)
脚本:いずみ吉紘、神田優、福田昌平
音楽:大間々昂
主題歌:由薫「Sunshade」(Polydor Records)
政治監修:須山義正、武田一顕
法律監修:岡本直也
児童福祉監修:永野咲
警察監修:石坂隆昌
医療監修:中澤暁雄
編成:杉田彩佳
製作:共同テレビ、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/waraumatryoshka_tbs/
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