名優・松田優作の遺伝子を受け継ぐ“新米女優”が『コントが始まる』で魅せたポテンシャルの高さ

　菅田将暉主演の土曜ドラマ『コントが始まる』（日本テレビ系）に出演中の新米女優が話題を呼んでいる。

　新米女優の名は、松田ゆう姫（ゆうき）。昭和の大スター・松田優作の娘であり、現在も実力派俳優として活躍する松田龍平、松田翔太の妹だ。数年前までメディアに姿を現す機会は少なかったが、2019年に『今夜くらべてみました』（同）にて地上波デビュー。タメ口を使って若干炎上したものの、独特な世界観や媚びない姿勢がウケたようで、その後次々にバラエティ番組への出演が決まった。

　そんな彼女が、『コントが始まる』でドラマデビューを果たした。ドラマ初出演にもかかわらず、主要キャストであるつむぎ（古川琴音）の勤務先のスナックのママという、まあまあ重要なポジション。時に意味深な発言をしてストーリーの鍵を握ることもあり、初出演にしては重めの役どころを任された印象だ。

　あの伝説の俳優・松田優作の娘である。母は女優の松田美由紀、兄2人は世間が認める演技派俳優だ。これだけの芸能一家に生まれれば、彼女に大きな期待が懸かってしまうのも仕方がない。期待が大きい分、蓋を開けたらガッカリしてしまうことも少なくないのだが……。

 「初めてのドラマとは思えないほど自然な演技で、『遺伝子ってすごい』『血は争えない』ともっぱら話題です。初作品でこのクオリティなら、これから名女優に進化する可能性も十分。ルックスもなかなかのインパクトで、黒髪に白い肌、不思議な引力のある瞳は、個性派俳優として活躍できる条件を兼ね備えています。例えば趣里さんのようなアンニュイなポジションで力を発揮するのではないでしょうか」（芸能ライター）

　スナックのママを演じている彼女だが、これが何ともよくハマっている。落ち着いた喋り方やふいに見せる寂し気な表情、それでいて肝が据わっていそうな雰囲気は、酸いも甘いもかみ分けてきた大人の女性そのものだ。彼女を起用し、ピッタリな役どころを与えた日テレには拍手を贈りたい。

　そんな奥行きのある演技ができるのは、彼女がこれまで決して楽ではない道のりを歩んできたからなのだろう。「FRIDAY DIGITAL」（講談社）のインタビューで、彼女は「10代から20代にかけて引き籠ったりして、本当にいろんなことにイライラしていました」と芸能一家に生まれたことにプレッシャーを抱えていた過去を振り返っている。

　バラエティ番組での自由なふるまいから「甘やかされてきた」と評されることも多いが、幼い頃から異質な環境で、彼女なりに葛藤を乗り越えてきたのだろう。その経験が、彼女の人柄と演技に厚みを生み出しているのではないだろうか。

　33歳ながらも女優としてはまだまだ新米な松田ゆう姫。これからの飛躍ぶりに期待したい。

■番組情報
土曜ドラマ『コントが始まる』
日本テレビ系毎週土曜22時～
出演：菅田将暉、有村架純、神木隆之介、仲野太賀、古川琴音、鈴木浩介、伊武雅刀、松田ゆう姫、明日海りお、小野莉奈、米倉れいあ（821）ほか
主題歌：あいみょん「愛を知るまでは」（unBORDE / Warner Music Japan）
音楽：松本晃彦
脚本：金子茂樹
チーフプロデューサー：池田健司
プロデューサー：福井雄太、松山雅則（トータルメディアコミュニケーション）
演出：猪股隆一、金井紘（storyboard）
制作協力：トータルメディアコミュニケーション
製作著作：日本テレビ
公式サイト：https://www.ntv.co.jp/conpaji/

早乙女りこ（ライター）

東京生まれ神奈川育ちのフリーライター。映画・ドラマはジャンル問わず幅広く鑑賞しており、物語の展開を予想したり、役者の演技を複数作品で見比べたりすることが趣味。

さおとめりこ