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【元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第33回】

「もう廃校寸前!?」島田紳助『行列』チャリティーのカンボジア小学校の現実

asahi0223.jpg「週刊朝日」(朝日新聞社)3月5日号

●第33回(2月17日~2月23日発売号より)

第1位
「石川知裕衆院議員独占インタビュー『新聞・テレビはデタラメだらけ』」(「週刊朝日」3月5日号)

第2位
「真面目に納税がバカらしい脱税首相と脱税幹事長」(「週刊新潮」2月25日号)

第3位
「『日テレ行列のできる法律相談』美談のカンボジア小学校は荒れ果てた」(「週刊文春」2月25日号)

次点
「夫に早く死んでほしい妻たち」(「週刊現代」3月6日号)

 内閣府男女共同参画局が公表した平成21年調査によると、これまで配偶者(女性)から暴行や精神的な嫌がらせ、性的な行為の強要を受けたことがあると答えた男性は、全体(1077名)の約17.8%で、そのなかで、命の危険を感じたことがあると答えた男性は4.7%にもなるという。「週刊現代」によれば、早く夫に死んでもらいたいと思う妻が増えているのだそうだ。

 その心は、「女性は些細な不満でも、忘れることなく覚えています。(中略)そうした不満が5年、10年と溜まっていくことで、夫に対して『死んでほしい』『消えてほしい』と思うようになるのです」(「恋人・夫婦仲相談所」二松まゆみ氏)

 夫と一緒の旅行に行きたくない、同じ墓に入りたくない、共通の趣味を持とうとは思わない妻が増え、自分の寿命を縮める夫には、早く死んでほしいと願うのが、妻の本音だという。このコワ~イ記事が、今週の次点。50代、60代の男性諸君! 必読ですぞ。

 3位は、小さな記事だが、読み捨てにはできない内容だ。島田紳助が司会で人気の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)が一昨年、チャリティー企画でカンボジアに小学校を建設した。番組ではその後も、学校が順調に運営されている様子を放送してきたが、日本のNPO団体が”アポなし”でこの小学校を訪れたところ、「番組では定期的な食料支給や飲料水の確保などが実現したと紹介されたのですが、実際は、食料支給は滞り、水は20キロ先まで汲みに行くような有様です」(「NPO法人 アジア交流協会」〈前橋市〉の石川正安理事長)

 浄水器や井戸は壊れ、浄水器の中には蟻やサソリが何匹もいたという。さらに昨年放送されたなかには、やらせまがいのことまであったと指摘している。

 クルマを用意して子どもたちが相乗りする場面がそれで、小林麻央が子どもたちに手渡したハーモニカは、生活費のために、親が売ってしまっていた。

 石川氏はこう忠告している。

「学校を建設すること自体は素晴らしいと思いますが、予定通り運営されているか定期的に監視する必要があります。(中略)このままでは数年後には廃校になってしまうことが予想されます」

 しばしば、ODAなどの海外援助物資が、必要としている人たちには届かず、政府が横取りしてしまうケースが指摘される。日本はカネや物資は出すが、そのフォローをしないと、国際社会から批判されてもいる。仏作って魂入れずでは、何のための「善意」か。

 納税の季節とあって、鳩山由紀夫首相や小沢一郎幹事長のカネの問題で、納税者の間に、真面目に税金を払うのがバカらしいという気分が高まっている。「ポスト」は「脱税王鳩山兄弟に納税者が叛乱!」。「文春」は、堀江貴文氏に「鳩山首相 僕は捕まったのにあなたはなぜ逮捕されない」と言わせている。

 似たような記事が多いなか、「新潮」の切り口が冴えている。08年分の申告納税額は5年ぶりに前年を下回ったが、09年分はさらに落ち込むことが確実視されていた。そのところへ、鳩山・小沢問題が出てきたことで、想定以上の減収となる可能性が高くなったというのだ。

 しかし、下々の怨嗟の声は鳩山首相には届かない。総理番記者から、国民にどう納税を呼びかけていくかと聞かれ、こう答えた。

「あのー、国民のみなさんには当然税金を払ってもらって、暮らしを守る政治を作り上げていく、と。国民のみなさんにはぜひとも、この国をさらにいい国にしていくために、税金をお支払いいただきたい。そのことは申し上げておきます」

 この国をさらにいい国にするためには、この人と小沢さんに、政界から退いていただくのが一番手っ取り早いと、私は思うのだが。

 いまや、検察の天敵になった感のある「朝日」が、小沢幹事長の元秘書で衆議院議員の石川知裕氏のインタビューに成功した。インタビュアーはジャーナリストの上杉隆さん。イマイチ切り込み不足だが、釈放後初のインタビューということで、今週のグランプリに推す。

 水谷建設から5,000万円の裏ガネを受け取ったのではないかという核心部分については、「石川:絶対にないです。なぜ水谷建設が、こんなウソをつくのかまったく分からない」と全面否定。

 TBSが1月27日に放送した、都内のホテルの喫茶店で、石川氏が水谷建設元幹部と会い、手提げの紙袋に入った5,000万円を受け取ったというニュースは、「石川:そもそもホテルの喫茶店なんかで、そんな大金の受け渡しをする人間はいませんよ」とにべもない。

 検事の取り調べに関しては、ときどき怒鳴ることはあったが、紳士的だったようだ。だが、毎日9時間前後もある長時間の取り調べで、精神的にも肉体的にも辛かったと話している。

 昨日行われた長崎知事選挙で、自民、公明両党の支援を受けた無所属新人で元副知事の中村法道氏(59)が、民主、社民、国民新の与党3党が推薦した候補を大差で破ったことで、民主党内で小沢幹事長批判の声は高まるだろう。

 地検特捜部は、本丸には届かなかったものの、3人の秘書を起訴することで、小沢幹事長辞任への流れをつくり出したと言えよう。また、鳩山内閣の支持率も37%(朝日新聞社によれば)にまで落ち込み、鳩山首相辞任の可能性まで出てきた。

 何をやり出すか分からない小沢という豪腕政治家への恐怖感は、私の中にはあるが、我こそ正義だと、自分たちの物差しで政治を壟断しようとする司法検察はもっと怖い。

 この勝負、どちらが勝っても、日本の将来に暗雲が立ちこめるような気がする。
(文=元木昌彦)

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

緊急シンポ!「小沢VS検察」にみる検察と報道のあり方
出演者:三井環(元大阪高検公安部長)
鈴木宗男(国会議員)
安田好弘(弁護士)
青木理(ジャーナリスト)
上杉隆(ジャーナリスト)
元木昌彦(元『週刊現代』編集長)
他にも交渉中数人。

司会:篠田博之(月刊『創』編集長)
入場料:500円(当日会場受付でお支払いください)
定員:約250人
主催:月刊『創』編集部/他
日時:2月26日(金)18時~21時。開場17時45分
会場:文京区民センター3階A(文京シビックセンターとは別ですのでご注意下さい)<http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1754>
入場料:500円
会場定員は約250人ですが、もし座席を確実に確保したい方は、「創」のホームページ<http://www.tsukuru.co.jp/kensatsu.html>にアクセスして予約をして下さい。

 検察が政局を左右するという異常な状況をどう考えるのか、そしてそのなかでマスコミ報道が危うさを露呈したことをどう考えるのか。その2つの大きなテーマを議論します。
 特にマスコミ報道をめぐっては、検察リークについてこれまでなされた議論を超える形で批判が相次いだのが今回の特徴です。これは恐らく、新聞・テレビの世論への支配力が相対的に落ちたためで、ネットを含む多様な言論がひとつの状況を作りだした結果といえます。
 こうした議論については新聞なども無視するわけにはいかず、例えば東京新聞では特報面で何度か特集を組んだり(1月23日他)、1月31日には佐藤敦社会部長による〈「リーク批判」に答えて〉という異例の見解が掲載されました。その中で佐藤部長はこう書いています。〈「検察リーク」の批判は、自民党政権時代の疑獄事件の際にも、同党側から上がっていました。今回の特徴は、かつて「政治とカネ」について厳しい論陣を張ってきた識者、ジャーナリストたちからも同様の批判が聞かれることです〉
 この「検察リーク」批判は「週刊朝日」など幾つかの週刊誌やネットで大きな声になっており、それに新聞が紙面を使って反論するという形で論争になりつつあります。新聞・テレビの報道をめぐってこんなふうに批判を含めた議論ができるというのは、市民のメディアリテラシーを鍛えるという点では非常によい機会で、これを機にもっと大きな議論がなされる必要があります。
 2月26日のシンポジウムには新聞労連や日本ジャーナリスト会議などにも呼び掛けて、ジャーナリズムに関わってきた人たちも巻き込んで議論を行いたいと思っています。ぜひ参加してください。

マジでガチなボランティア

「梅つば推薦!」(笑)

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最終更新:2010/02/23 21:00
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