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 >  >   > なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは
お笑い評論家・ラリー遠田の【この芸人を見よ!】第69回

なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは

nadagir1.jpg『R-1ぐらんぷり2007』R and C Ltd.

 3月6日、以前から交際していることを公表してきたお笑いタレントの友近と「ザ・プラン9」のなだぎ武が破局したことが明らかになった。2人は、「ディラン&キャサリン」というネタを共に演じる芸人仲間でもあり、仕事でも共演する機会が多かった。ただ、互いに多忙を極め、私生活ではすれ違いが続いていたという。ゴールイン目前とも言われていた2人だったが、約6年の交際に終止符が打たれることとなった。

 ただ、振り返ってみれば、彼らの間の恋愛や性生活について積極的に語っていたのは、いつも友近の方だったという印象がある。2人の付き合いは、友近の猛烈なアタックになだぎが押し切られる形でスタートしたと噂されている。友近は、自らの女としての自意識や欲望のすべてを笑いのネタにするという覚悟を持ち、なだぎとの恋愛関係についてもよく話題に出していた。一方、なだぎは、バラエティー番組でもその種の話題を出されるのを避けているようなところがあり、あくまでも仕事とプライベートをきっちり分ける主義のように見えた。

 そんななだぎの芸人人生にとって、ある意味では友近との出会いよりも大きなものだったと考えられるのが、「ディラン」との出会いである。ディランとは、海外ドラマ『ビバリーヒルズ青春白書』の登場人物であるディラン・マッケイのこと。なだぎは、そんなディランを大幅にデフォルメして、自分のキャラクターとして演じて爆笑を呼び、全国区で活躍するきっかけをつかんだのである。

 なだぎはもともと、松村博司と共に「スミス夫人」というコンビで活動していた。当時のなだぎはツッコミ担当で、不思議キャラの松村に対して、おかしい部分をひとつひとつ丁寧に突っ込み倒していくスタイルだった。スミス夫人は、大阪の若手お笑い界ではそれなりに名の知れた存在だったが、人気が定着しないまま解散してしまった。

 今にして思えば、現在のなだぎの芸風のルーツとなるようなものは、当時すでに完成していた。ただ、コンビ時代には、その才能をうまく生かし切れていなかったように見える。なだぎの芸人としての魅力は、発想の根本的なバカバカしさと、台詞や演技の細部にまでこだわる潔癖さにある。ただ、当時は、その真面目な部分が前面に出すぎたせいで、演技がやや不自然で芝居がかった感じがするところがあった。

 なだぎはその後、「ザ・プラン9」に加わり、グループの一員として活動するようになった。そして、ピン芸に関しても模索を続け、試行錯誤の末に「ディラン」のキャラを生み出したのである。

 ディランは、なだぎの生来の潔癖さや真面目さが有効に作用するように巧妙に計算されたキャラクターだった。まず、ベースとなっているのが一種の物真似芸である。物真似というジャンルでは、緻密であることが不利にはならない。また、海外ドラマの吹き替えにありがちな不自然な口調を真似るというネタなので、なだぎの芝居がかった演技が違和感なく笑いに直結するのである。いわば、ディランと出会ったことで、なだぎは新たなステージに進むことができたのだ。

 その後の活躍については改めて記すまでもないだろう。ディランのキャラを武器にして、彼は2005年の「オールザッツ漫才」で旋風を巻き起こし、2007年の「R-1ぐらんぷり」で優勝を果たす。そして、2008年には前人未踏の「R-1」2連覇を達成。ピン芸人の頂点に輝いた。

 ディランは、「緻密な演技でアホなことをする」というなだぎの芸風の集大成とも呼べるキャラクターである。なだぎは、プライベートで友近とは縁がなかったが、笑いの世界では、運命の男「ディラン」と切っても切れない赤い糸で結ばれていたのだ。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)

●イベントのお知らせ
粒谷区立ツブヤ大学 presents
「粒谷区立ツブヤ大学レギュラー講座 RaKuGo3限目 ラクゴ イズ デッド ~落語はすでに死んでいる~」
【出演】ラリー遠田 /立川こしら
【会場】TOKYO CULTURE CULTURE
【日時】3/23(火)OPEN18:30/START19:30
前売¥2000/当日¥2500(共に飲食代別)
前売はイープラスにて絶賛発売中。詳細は以下より。
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●「この芸人を見よ!」書籍化のお知らせ

日刊サイゾーで連載されている、お笑い評論家・ラリー遠田の「この芸人を見よ!」が書籍化されました。ビートたけし、明石家さんま、タモリら大御所から、オードリー、はんにゃ、ジャルジャルなどの超若手まで、鋭い批評眼と深すぎる”お笑い愛”で綴られたコラムを全編加筆修正。さらに、「ゼロ年代のお笑い史」を総決算や「M-1グランプリ」の進化を徹底分析など、盛りだくさんの内容です。手元に置いておくだけで、お笑いを見るのがもっと楽しくなる。そして、お笑い芸人を通して現代が見えてくる。そんな新時代の”お笑い批評”をお楽しみください。
ラリー遠田×担当編集S「お笑いを楽しむための”ツールとしての批評”でありたい」

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当時の彼女さんも出てました。

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●連載「この芸人を見よ!」INDEX
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【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論
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