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画家・増山麗奈がおススメする1冊


Cocco初の長編小説『ポロメリア』で感じるウチなる沖縄



cocco.jpg
『ポロメリア』(幻冬舎)

 亜熱帯化してきたニッポンの夏。寝苦しい夜に、沖縄を満喫する読書はいかがでしょう。Cocco初の長編小説『ポロメリア』は"ウチナーンチュ"(沖縄出身者)であるCoccoの自伝的エピソードをたっぷり交えた、生きた沖縄文化を感じる一冊。手当たり次第伸びまくった植物に囲まれたジャングルのような墓地に親族一堂が御馳走を持って集まる先祖供養のお祭り"シーミー"や、琉球劇団のスターだった祖父の女性関係、祖母の働く飲み屋街に残る戦時中の防空壕"ガマ"の跡地のことなどが、中学一年生の主人公の目で瑞々しく書かれている。

 6月に発売されたシングル「ミライカナイ」や8月11日に発売されたアルバム『エメラルド』でも音階、歌詞、PVでの衣装、踊りなど琉球色満載なCocco。ここまで郷土愛を全身全霊で表現しつつ全国的に知名度のある芸能人も珍しい。メジャー化していく途中でなんとなく洋風化するより、むしろ潔くてかっこいいかも。活動停止宣言したり、拒食症になったり、リストカットしたりと不安定なイメージのあったCoccoだけど、ギリギリのところで"生"へと向かっていくパワーの源は、やっぱり青い海と島の強い太陽、そして家族の愛に囲まれて育った記憶なんだろうな。

 筆者は画家なのですが、同じ表現者として、自己のコアな部分を見つめることから、故郷・沖縄へと向かうCoccoの嘘のない姿勢に共感します。本来は表現者の仕事って、自分の足場から言葉を繋ぎ、その土地に脈々と伝わる文化の地下水脈を掘り当てて、次世代に繋げていくことだと思うのです。沖縄戦の記憶や、在日米軍についてもきちんと語るけれど、組織的運動に利用されすぎない、絶妙なバランス感覚も貴重。芸能界のパワーゲームに取り込まれすぎず、できたら長く、流行に振り回されない活動を続けてほしいと願っています。

 この作品のもう一つの見所は繊細さや痛みを含んだ、独自の文章表現です。万引きしたり、好きな男の子に背の高さを指摘されて、成長を止めたくてタバコを吸ったり、学校の屋上から飛び降りたり、主人公が抱える思春期の鋭敏な想いが綴られる。独り語りなので取っ付きにくいと思いながら読み始めたはずが、不覚にも感情移入してしまいました。「でも知りたいのは今なのに、理解するのはいつも、途方の無い『いつか』なんだろ」(『ポロメリア』より)。単純なのに、哲学的な言葉はどことなく中原中也を思わせる、といったら褒めすぎか。ちなみに小説タイトル『ポロメリア』は、ハワイや沖縄に咲く白と黄色の花のこと。Cocco6枚目のシングルと同タイトルなので、音楽と一緒に楽しむのも一興です。
(文=増山麗奈)

増山麗奈(ますやま・れな)
1976年、千葉県生まれ。東京芸術大学出身。画家、平和活動家。
2003年よりカワイイ系反戦アート集団「桃色ゲリラ」を結成、各地でパフォーマンスを展開。2004年、戦火の残るイラク・バグダッドへ飛びアーティストと交流。代表的な展覧会に「ART LAN@ASIA」(2007)の総合キュレーションや、「ネオ春画」(銀座芸術研究所/2007/08)などがある。<http://www.renaart.com/profile/>


ポロメリア


マツコと対談したり、なんだか最近積極的。


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2010.08.13 金  



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