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【駐韓米大使襲撃事件】筋金入りの“反日団体”活動家が、なぜ?「過去には日本大使への投石攻撃も……」

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 3月5日朝、韓国駐在のアメリカ大使が、刃物を持った韓国人男性に襲われるというショッキングなニュースが飛び込んできた。建国以来、駐韓米大使への襲撃はもちろん初めてのこと。「戦争訓練、反対!」と叫びながら刃物で襲いかかった男は、その場で取り押さえられ、連行された。逮捕時に「今日“テロ”を実行した」と語ったとも報じられている。


 複数の韓国メディアによると、犯人はキム・ギジョン(55歳)。2010年7月、当時の駐韓日本大使に対して直径10cmほどのセメントの塊を投げつけ、懲役2年、執行猶予3年に処されていた“前科者”だ。市民団体「ウリマダン・独島(竹島の韓国呼称)守護」の代表でもある。

 「ウリマダン・独島守護」は、1980年代に結成された団体。竹島問題にちなんだ活動が活発で、例えば、日本の島根県が「竹島の日」を定めて間もない06年には、同団体の6人が本籍地を竹島に移している。また10年2月には、メンバーが韓国の日本大使館を訪れて、同大使館のホームページに掲載されている「竹島領有権に関する日本の立場」という文章を削除するよう要請。竹島の領有権を明記した日本の教科書問題が巻き起こった際にも、同大使館前で「文科省を解体せよ」とプラカードを掲げたことがある。さらに、10年7月にはソウルで特別講演を行った日本大使へ投石攻撃を行うなど、活動内容を振り返ってみると、筋金入りの“反日団体”に見える。

 なぜ、反日団体を率いるキム容疑者が、韓国駐在のアメリカ大使にテロを行ったのだろうか? そのヒントとなりそうな発言がある。以前、韓国メディアが行ったインタビューで、キム容疑者は「独島守護運動は、すなわち民族統一運動」と語っている。「独島こそ、南北が一つの声を上げることができる共同の関心事で、南北が一つになってこそ独島を守ることもできる。独島守護運動を通じて、統一に向かっていける」との主張だ。つまり、朝鮮半島の南北統一がキム容疑者の元来の悲願で、それを阻むアメリカに糾弾の矛先が向かったと推測できる。

 実際にキム容疑者は最近のブログで、「南北離散家族再会の実現が流れたのは、キー・リゾルブ演習とトクスリ演習のせい」と主張。両演習は、米韓の合同軍事演習の通称だ。そして「この訓練が終わるまで、南北対話が実現しない雰囲気」と指摘し、「1992年にチームスピリット演習(米韓合同軍事演習)を中断していたように、戦争演習を中止しなければならない」と要求していた。さらに、「今からでも軍事訓練の範囲や期間を制限・縮小するならば、北朝鮮も相応する措置を選択するだろう。南北の対話ムードが作られようとしたが、再び凍りついてしまった」と嘆いていた。南北対話に水を差すアメリカに、憤りを感じていたわけだ。

 反米感情が高まっていたキム容疑者にさらなる火をつけたのは、2月27日にシャーマン米国務次官が、日本と中国、韓国が歴史問題をめぐって対立していることについて「『国の首脳』が『かつての敵国』を非難する挑発行為は、国の指導者にとって安っぽい称賛を浴びる容易な方法だが、前進ではなくマヒ状態をもたらす」どと中韓を批判した発言とみられる。その指摘に、韓国メディアは猛反発。キム容疑者もこの発言がきっかけとなって、今回の犯行に及んだのでは、と報じるメディアもある。

 しかし、いかなる理由があるにせよ、テロ行為は容認できることではない。韓国初となる駐韓米大使への攻撃は、両国にどんな影響をもたらすのだろうか?

最終更新:2015/03/05 18:00
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